さよなら、平成! 新元号は来年には公表か

実は2〜3年前から考え中!? 天皇陛下退位でどうなる「新元号」研究家の予想は…

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「これだから平成生まれはよ~」。上司からのこんなイジりは、まもなく死語になるかもしれない。天皇陛下が退位されることが決まり、新元号が制定されることになったからだ。

次の元号はいったいどうなるのか? 文化史研究家・文筆家であり、『歴代天皇と元号秘史(別冊宝島)』で記事を執筆するなど元号にくわしい尾崎克之さんに話を聞いた!

有識者が集まり、2~3年かけて元号を考える! 2018年中には事前公表されるかも

まず、そもそも元号は誰がいつ決めてるんでしょう?

「戦後できた『元号法』という法律に、そのあたりが定義されています。まず天皇陛下のご年齢や体調などによって、内閣が『そろそろ…』と、中国の書物を研究している学者などの有識者を集めます。ここから2~3年かけて元号を決めていくのです」

報道によれば、今回は「2019年4月30日に退位し、5月1日に皇太子さまが即位され、同時に改元する方向で最終調整に入った。(中略)新元号は、来年中に事前公表する方針だ」(11月23日付読売新聞)、「政府は既に複数の学者に考案を依頼。それぞれから複数の案を受け取っている」(6月9日付毎日新聞)とのことで、すでに有識者が集められ、元号が考えられているらしい!

「元号」は漢の武帝がはじめた文化。その影響で、中国の書物から考案する

新元号を決めるうえで、ルールなどはあるんでしょうか?

「元号は、漢の武帝がはじめて作ったもの。紀元前115年ごろに、統治をはじめた年にさかのぼって『建元』という元号を制定したんです。周りのアジア諸国は、この文化の影響を受けています。日本で最初の元号は、『大化の改新』でおなじみの、飛鳥時代の『大化』。以降、文章博士(もんじょうはかせ)という役職の人物が、中国の書物(漢籍)を研究して元号を考えるようになりました」

いまは文章博士なんて人はいないが、中国の書物を参考にして考えるしきたりは続いているもよう。

「大正」は『易経』のなかにある「大享以正天之道也」から、「昭和」は『書経』の「百姓昭明、協和萬邦」という部分から考案。「平成」は、司馬遷の著した『史記』『書経』のなかにある『内平外成』『地平天成』という一節から決められたのだ。

元号は“幸せを呼び込むため”につける。世界情勢が不安定な現代だから、新元号は「安○」に!?

では、新たな元号はどんなものになるのか。予想できるか聞いてみると…。

「まず、何のために日本人が元号を考えてきたのか、を考えてみてください」

えっ、何のためなんでしょうか?

「それは幸せを呼び込むためです。元号は、地震や戦乱が起きたタイミングで、世の中に幸福が訪れるようにと考えられてきたもの。現代社会をかんがみれば、日本のみならず、世界についても『安心』『安寧』が訪れるよう、私は『安』の一文字は入るだろうと思います。アルファベットにしても頭文字がAなので、明治以降のM、T、S、Hとかぶらないですしね」

なるほど! では、気になるもう1文字は?

「わかりません。矛盾するようですが、誰もが考えつくような元号はつけられないのです。まず、これまでの257ある元号と重複してはいけない。さらに、『内平外成』の例を見ても、遠くにある2文字をつなげるわけではなく、文脈にそって文字をチョイスする必要がある。これはもう専門家にしかつくれない『ワザ』だといえます」

漢文の授業もニガテだったし、中国の書物にあたるのはハードルが高すぎるけど、「安」につづく1文字をみんなで予想してみますか!

〈取材・文=天野俊吉(新R25編集部)〉