情報のコンフォートゾーンから抜け出せ

すべては、圧倒的アウトプットのために。ビジネス賢人たちに聞く「情報収集のルール」

仕事
「情報があふれている」とさかんに言われる現在。ビジネスの一線で活躍する人たちは、忙しいなかどうやって情報収集をしているのか?

今回は、9人の“ビジネス賢人”に、以下の2つの質問を投げかけてみた。

普段チェックしている情報ソース
紙、Web、SNSなど、どのようなメディアや人から情報を得ることが多いか?

情報収集のマイルール
情報収集をする際の自分なりの鉄則や、情報を活用するコツなど

箕輪厚介「情報収集を目的にしない。目的は圧倒的なアウトプット」

【箕輪厚介(みのわ・こうすけ)】2010年双葉社に入社し、『ネオヒルズジャパン』与沢翼 創刊。2015年7月に幻冬舎に入社し、堀江貴文『多動力』、与沢翼『ネオヒルズジャパン』、藤井健太郎『悪意とこだわりの演出術』の3冊でアマゾン総合ランキング1位を獲得
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箕輪厚介

箕輪厚介

ニューズピックス。超一流のトップと街の人

よく道玄坂のガードレールに座ってハイボール飲みながら街の人を観察してる

ホリエモン(堀江貴文さん)、佐渡島庸平さん、イケダハヤトさん、田端信太郎さん、梅木雄平さん、宇野常寛さん。
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箕輪厚介

箕輪厚介

圧倒的なアウトプットのために情報を得る。情報を得ることを目的にしない。

金泉俊輔(NewsPicks編集長)「情報のコンフォートゾーンから抜け出すことが大切」

【金泉俊輔(かないずみ・しゅんすけ)】『NewsPicks』編集長。立教大学経済学部卒業後、扶桑社に入社。『週刊SPA!』『日刊SPA!』編集長を務める。2018年4月、株式会社ニューズピックスに移籍し、現職
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金泉俊輔

金泉俊輔

芸能関係の某大物キーパーソンがこう言ってました。「週刊文春の報道は、6割のファクトと、4割の見解の相違で構成されている。だから簡単には訴訟を起こせない。敵ながらあっぱれである」と。

最近は文春砲に関して、批判的な意見が増えてますが、多くの人は週刊文春記事の全文を読まず、一部を切り取ったテレビ報道やSNSなどで判断し、報道の二次被害が起きています。

元来、週刊文春とは数十万人程度の見識ある大人がこっそり読む媒体でした。電車中吊りと新聞に広告は出てますが、表紙にだって何も書いてありません。しかし、今では、小学生までがその一部を切り取った情報を知っているという状況にあります。

2000年代中盤以降、人間の摂取量の限界を超えた情報がインターネット空間を中心に広がっています。この情報空間の中で重要なことは「無料情報の大半がポジショントークである」と認識することです。

その中で自分がどの情報を取捨するか。自分と異なる意見、理解に努力と教養を要する情報に触れて、情報のコンフォートゾーンから抜け出すことが大切です。そのために心がけることは、良質な書籍を読むことだと思います。 

鈴木涼美「ネット検索は“正式なインプット”ではない」

【鈴木涼美(すずき・すずみ)】慶應義塾大学、東京大学大学院卒。AV女優、日経新聞記者を経て作家として活動。著書に『おじさんメモリアル』(扶桑社)、『オンナの値段 鈴木涼美のオンナの現代資本主義論』(講談社)など
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鈴木涼美

鈴木涼美

三面記事的なニュースや実際の調べ物はテレコムやネット検索などが便利ですが、私自身はもう少し自分の興味から離れた分野についてもランダムに情報に当たりたいので、「新聞」と「図書館」は使い続けています。

新聞はネット記事と違い、見出しの文字の大きさなどから、各紙がそのニュースをどれだけ重要と考えているか、などの価値判断が伺えますし、紙面で見ることで、興味のあるニュースのたまたま隣に載っていた一見興味がない記事から学ぶこともあります。

図書館は、古いものと新しいものに同時に触れられるほか、本の古び具合や、並べ方の癖など、楽しみながら情報収集できるのも魅力です。

若い人の発信にそれほど興味はありませんが、かつてものすごい切れ味で一世風靡したような作家が老いて何を語っているのかを追うのは好きです。橋本治(『桃尻娘』などで著名な作家)は今何を語っているか、岸田秀(『ものぐさ精神分析』などで著名な思想家)は今何を思うのか、など。
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鈴木涼美

鈴木涼美

ネット検索は便利ですが、それを正式なインプットだとは思っていません

その場に必要な情報は手に入るけれど、それで調べた気になったところで、本来的な意味での「知識」「教養」がついたとは思えないからです。

その場でネット検索したとしても、そのキーワードはメモるなり覚えておくなりして、必要ならばきちんと文献、できれば古典に当たるべきだと考えます。
オンナの値段 | 鈴木涼美 | ノンフィクション | Kindleストア | Amazon

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高木新平「最強のインプットは、アウトプットすること」

【高木新平(たかぎ・しんぺい)】コンテクストデザイナー、NEWPEACE代表。“20世紀をぶち壊す”をビジョンに掲げ、社会課題からストーリーを組み立てる新しい形のブランディングを実践。小泉進次郎委員会アドバイザーも務める
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高木新平

高木新平

SNSと本。ただ、SNSは現代のTVザッピング。みんなが一斉に別々のお題で大喜利しているようなものなので、中身よりも世の中の気分を観察してます

もし何か思考したいテーマがあれば、関連本を一気に何冊か買って読みます。

あとはバイリンガルニュースというPodcast。世界中のマニアックなニュースを日英会話で紹介してるんですが、NewsPicksみたいな一般目線のコメントも見られて、面白いです。
✔︎高木新平情報収集のマイルール
高木新平

高木新平

最強のインプットは、アウトプットすること

なので、のテーマに興味がある時点で、何かしらの仕事にしちゃいますね

英語を身につける最高の方法は、アメリカ人の彼女を作ること、みたいな(笑)。

はあちゅう「情報摂取で終わらせず、人生に役立てる」

出典

撮影=長谷英史

【伊藤春香(はあちゅう)】ブロガー・作家。「ネット時代の新たな作家」をスローガンに読者と直接つながって言葉を届ける未来の作家の形を摸索中。著作に『半径5メートルの野望』『「自分」を仕事にする生き方』などがある。noteの月額課金制マガジン「月刊はあちゅう」も好評
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はあちゅう

はあちゅう

SNSと書籍とオンラインサロンとVoicy。

SNSの中でも特にツイッターは表アカウントと裏アカウントでは見える世界が違うので、表、裏を使い分けています(サブアカウントではなく、フォロワーの少ない裏アカを持っています)。
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はあちゅう

はあちゅう

毒になるものは見ないことと、情報を摂取しただけで終わらせず、ちゃんと人生に役立てること。
「自分」を仕事にする生き方 | はあちゅう |本 | 通販 | Amazon

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佐野恭平(MTRL編集長)「ある程度、自分の“偏差値”を下げる」

【佐野恭平(さの・きょうへい)】株式会社MTRL代表取締役。16歳からモデル活動を始め、雑誌や広告などで活躍後、一般企業に就職。働きながら大学院で経営学の知識を学ぶ。2015年5月にWebメディア『MTRL(マテリアル)』をローンチ
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佐野恭平

佐野恭平

仕事柄、高校生や大学生となるべく会話をするようにしています。そうすると新たな言語の発見につながるし、メディアのコンテンツにも生きるので。

若い子との会話をキャッチアップして、ある程度自分の偏差値を下げる

ディグる」って分かります? 「深堀りする」って意味なんだそう。

「彼女と喧嘩してマジメンブレだわ」に対して友人が詳しく内容を探ろうとした際に「いや、マジディグらないでw」と言うのが例文です(笑)。
✔︎佐野恭平の情報収集のマイルール
佐野恭平

佐野恭平

一方的に情報を受け取らないこと。賛否の意見を見たいので、コメント欄とか、反響の部分で世の中の人の捉え方を観察します。

ニュースとか炎上してる話題に対して、フォロワー数の多い人、少ない人、男性、女性の意見を見て、自分の意見を持つ

「いいね」だけしてスルーしたり、文句だけ言ったりしてるよりも、自分の意見を持つことで視野が広がると思うんです。

藤井大輔(R25創刊編集長)「“時間”と“距離”を意識して情報を集める」

【藤井大輔(ふじい・だいすけ)】大阪大学経済学部を卒業後、リクルート入社。『ゼクシィ』『ダ・ヴィンチ』などの雑誌編集に携わったのち、フリーマガジン『R25』を創刊。2005年4月~2008年3月まで編集長を務める。現在は富山で介護事業に携わる
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藤井大輔

藤井大輔

一次情報的なものは、新聞とSNSです。新聞は、東京と富山の二拠点生活になってから、毎日読むようになりました。SNSは主にフェイスブックのタイムラインです。

二次情報的なものは、書籍が中心です。キンドルは僕には合わないので、重いけど書籍を持ち歩いて読んでます。気になる箇所はページを折っておきます。なので気に入った本は、ほぼ全てのページが折れてます(笑)

SNSでは、実際にお会いしたり仕事したりした人が発信する情報しか、チェックしていません。発信頻度が多いのもあるでしょうが「田端信太郎さん」「須藤憲司さん」「尾原和啓さん」のシェアした記事は、見てしまうことが多いです。
✔︎藤井大輔の情報収集のマイルール
藤井大輔

藤井大輔

「過去」「現在」「未来」の時間軸と、自分の考えや経験に「近い」「遠い」の距離軸で、情報を整理するようにしています。

なるべく「未来」×「遠い」情報を摂取するように心がけています
逃げない・めげない カイシャ道 | 藤井大輔 |本 | 通販 | Amazon

逃げない・めげない カイシャ道 | 藤井大輔 |本 | 通販 | Amazon

ゆうこす「ファンより一歩先に行かない」

出典

撮影=森カズシゲ

【菅本裕子(ゆうこす)】2011年7月にHKT48に加入後、2012年8月にグループから卒業。2015年に「ミスiD 2016」準グランプリを受賞。現在はモテるために生きてる「モテクリエイター」として、InstagramやYouTubeで紹介した商品が完売するなど、20代女性を中心にカリスマ的人気を誇る
✔︎ゆうこすが普段チェックしている情報ソース
ゆうこす

ゆうこす

自分のフォロワーから情報を摂取しています。

特に、ツイッターやインスタグラムの「アンケート機能」は、サクッと答えられるしリアルな声をもらえるので楽しいです。
✔︎ゆうこすの情報収集のマイルール
ゆうこす

ゆうこす

ファンより一歩先に行かないことです

私はローラさんにはなれません。本当のおしゃれさんではないということを自覚する

ファンや雑誌から情報を得るってことは、その情報はもう既に流行ってるもの(本物のおしゃれさんからしたら遅い)なので、インフルエンサーとしてお金をもらえるようになった今でも、一歩先には絶対に行きません。

その情報を誰よりも分かりやすく「モテ」というフィルターを通して発信するから、私は影響を与えることができているんだと思います。

えとみほ「知りたいことは、フォロワーに聞く」

【江藤美帆(えとみほ)】Jリーグ栃木SCマーケティング戦略部長。スナップマート創業者(現顧問)。高収入リモートワーク求人サイト「コデアル」アンバサダー
✔︎えとみほが普段チェックしている情報ソース
えとみほ

えとみほ

だいたい家にいるときは、テレビを聴きながら(観てはいない)SNSでツイートしています。知りたいことをツイートすればだいたいフォロワーさんが答えてくれるので、ツイッターをSiri感覚で使っています

ソーシャルメディア周りの情報は@jigen_1さん。あと、20代でSNSに明るい若手マーケター20人くらいをチェックしています。
✔︎えとみほ情報収集のマイルール
えとみほ

えとみほ

ネットでの情報収集がメインになるとどうしても自分の興味関心に偏っちゃうので、そうならないように工夫しています

たとえば、情報収集用のアカウントを別に作って、あえて自分が普段はフォローしないようなアカウントをランダムにフォローするとか。
ビジネス賢人の情報収集方法は人それぞれだが、共通しているのは皆ハッキリとした軸や目的を持っているということ。R25世代も自分なりの情報収集の“型”を模索してみよう!

〈構成・文=天野俊吉 新R25編集部(@amanop)〉