メンタリストDaiGo著『人間関係をリセットして自由になる心理学』より

良い人間関係を築くには、最高の友人を求めてはいけない。それは自分の幸福度を下げます

ライフスタイル

特集

2020年 ジブン改革

特集へ

平成から令和へと変わった2019年

この1年を振り返ってみると、「人生を変えるような転機があった」「成長した実感がある」「なんとなく過ごしてしまった…」など、さまざまな思いがあるはず。

年末年始は、多くのビジネスパーソンにとってしばしの休暇になります。

そこで、新R25では年末年始にかけて、これまでの自分の働き方を振り返ったり、心機一転してスタートダッシュをきったりできるような書籍をピックアップする特集を考えました。

その名も「2020年 ジブン改革」。
第2回は、メンタリストDaiGoさんの著書『人間関係をリセットして自由になる心理学』をピックアップ。

同書では、イヤな人間関係を絶たなければならない断固とした理由や、絶つことで得られるさまざまなメリットについて詳細に語られています。

内心ではイヤだと感じながらも、行きたくない飲み会で予定を埋めることで、本当に会いたい友人に会えてなかったり、自分ひとりで何かをインプットする時間を取れていなかったりする人は、同書より抜粋した本記事内のアドバイスを参考にしてみてください!

イヤな人間関係への対処を学ぶ時間に意味はない

人間関係」についての本を検索してみると気づくことがあります。

職場のやっかいな人への対処法」「めんどうくさい人の扱い方」苦手な人とのうまいつき合い方」「人間関係に疲れたら読む本」「人間関係にうんざりしたら読む本」「人間関係がラクになる本」…などなどといったタイトル、キャッチフレーズの背後には、共通した考え方があります。

それは不本意な人間関係、楽しくない人間関係、不幸な人間関係になんとかうまく対処しようという考え方です。

しかし、そうやってイヤな人間関係への対処を学ぶことに、はたして意味はあるのでしょうか。

そのやっかいな人、めんどうくさい人、嫌いな人との関係は、本当にあなたの人生にとって必要なものなのでしょうか?

もしそうでないとしたら、あなたは必要のない人間関係をうまくやるために、貴重な時間を浪費していることになります。

本来であればその時間は、大切な人、大好きな人、本当に必要な人のために使うべき時間ではないでしょうか。

めんどうな人や、やっかいな人とうまく付き合う必要はありません。

そういう人とは、二度とつき合わなくて済むようにして、これ以上時間や労力を使わないようにする。

これが正しい対処法です。

人間関係の限界は、仕事もプライベートも含めて50人未満

不要な人間関係をカットしても問題ないこと。もっと言えば、カットしなければいけないこと。

このことは、脳科学的にも理由があります。

世の中には、人づき合いが得意で顔が広い人もいれば、人見知りが激しくて数人としかつき合わない人もいます。

何人くらいの人と人間関係を結べるかは、人によって差が大きいように見えるかもしれません。

しかし、人間がつき合える人数の目安というのは、実は決まっている、と現在では考えられています。

これは、オックスフォード大学の進化生物学者、ロビン・ダンバー博士が定式化した「ダンバー数」という概念です。

ヒトの大脳新皮質のサイズをもとに算出すると、人間関係を維持できる人数は150人前後である、というのです。

150人というと「かなり多い」という印象を受けるかもしれません。

けれども、ここで言う人間関係には、数年に一度しか連絡を取らないような相手もカウントされます。

遠縁の親戚や、帰省したときにしか会わない同級生なども含めて150人が限度、ということです。

また、150人というのは、あくまでも脳の機能から見た理論的な限界であることにも注意が必要です。

脳のポテンシャルを最大発揮するのは難しいことですから、実際に150人との関係を維持するのは至難の業と考えた方がいいでしょう。

つまり、日常的に顔を合わせたり、頻繁に連絡を取り合ったりする人間関係を維持できる人数は、150人よりもかなり少ないと考えるべきです。

それは具体的にどのくらいの人数でしょうか。

私の実感では、なり人づき合いが得意な人でも50人が限界でしょう。私自身にとっての最適な数はもっと少なく、30人くらいだと感じます。

これはあくまでも経験にもとづく実感ですが、これを裏づけてくれそうな知見があります。それは 客家(ハッカ)の思想です。

客家というのは、漢民族の一支族で、「東洋のユダヤ人」と呼ばれる民族です。世界中に散らばって経済活動を行い、成功している華僑のうち、1割弱を占めるのが客家です。

それでいて、華僑の総資産の約3割を保有していると言われている客家は、ユダヤ人と並ぶ富豪民族だと言っていいでしょう。

客家の多くは道教に基づく信仰・思想を持っています。この道教の教えのなかにあるのが「あなたを幸せにしてくれるのは、あなたのまわりの50人である」という言葉です。

世界中に散らばって成功し、幅広いネットワークを持っているはずの民族でも、重要な人間関係はせいぜい50人くらいである、と考えているわけです。

人生の幸福度に関する研究では、友人が増えて幸福度が高まるのは20代までで、30代以降は友人の数が減る、つまり質のいい人間関係に絞ったほうが、50代以降の幸福度はより上がることがわかっています。

なくなって困る人間関係などない

人間関係をカットすること自体には、特別な方法は必要ありません。

問題は本当に人間関係をカットしていいのか、という不安や恐怖を乗り越えることと、人間関係を断固処分していく過程でのストレスへの対応でしょう。

誘われても断る。こちらからは連絡しない。向こうから連絡が来ても素っ気なく返す。めんどうなら返事をしない。自然と相手と疎遠になるように、行動を変えれば十分です。

実際に行動を変えてみると、人間関係をカットすることに対する怖れや不安がぶり返すこともあるでしょう。

そんなときには、自分に言い聞かせましょう。「なくなって困る人間関係などない」と。

誤解を招きそうな表現ですが、これは何も人間関係を大切にするなと言っているわけではありません。何かがなくなれば、新しい何かが手に入る。これが人間関係です。

どうしようか迷うような人間関係を処分し、その分、本当に大切な人と過ごすようにしましょう。

良い人間関係を築く注意点「最高の友を探してはいけない」

良い人間関係とは、どんな人間関係でしょうか。

なんでも話せる親友が何人かいる。メンターをつとめてくれる優秀で人格者の先輩がいる。仕事では信頼できるチームメイトに恵まれている。もちろん、最高に魅力的で相性のいいパートナーもいて…。

よい人間関係というと、こうした理想的な状況を想像するのではないでしょうか。

理想を思い描くのは、もちろん悪いことではありません。しかし、実際に人間関係を選ぶときの戦略としては、理想を追うことはマイナスに働きがちなので注意が必要です。

たとえば、なんでも話せる親友、心の友のような最高の友達を求めることは、幸福度を下げるということがわかっています。

南カリフォルニア大学で行われた研究では、学生たちに日記をつけてもらい、どのように友人と付き合っているかを2週間調査しています。

その結果わかったことは、よりよい友達を求めてがんばった日ほど幸福度が下がっていることです。

よりよい友人を求めていると、いまつき合っている友達は「あまりよくない友達」「満足できない友人」ということになってしまいます。

これでは、一緒に過ごしていて幸福を感じることはできなくて当然です。

どんなにおいしいものを食べていても、「もっとおいしいものがあるはずだ」と考えていては、満足できないのと同じことです。

また、理想の友人と現実の「あまりよくない友達」を比較することで、「いまいちな人たちと付き合っているみじめな自分」という自己イメージができてしまいます。

これが自尊心を低下させ、幸福度を下げてしまうというのです。

いいところもあるけれど、「ここはどうにかしてほしい」というところもある。

部分的には好きだけれど、好きになれない部分もある…というくらいの友達でよしとして、その人と過ごす時間を楽しめるよう過ごすと、幸福度は上がるのです。

POINT

×「もっといい友達が見つかるはずだ」という発想

〇「友達ともっと楽しい時間を過ごすには?」という発想

現実的な行動としては、イヤな人と過ごす時間を減らして、楽しく過ごせる相手との時間を増やす、というのがいいでしょう。

ストレスになりえる人間関係を楽に捉えることができるメソッド

少しの付き合いが積み重なると大きな労力や時間を割くことにつながるもの。

ストレスがかかるのがイヤで現状の輪を重んじるあまり、自分が本当に大切にしたい人をおざなりにしたり、自分の健康を損ねたりするのは本末転倒でしょう。

年末年始で少し落ち着ける今だからこそ、日頃の人間関係について一度振り返ってみてはいかがでしょうか。そして心機一転、2020年の日々をスタートしましょう!

〈写真撮影=小川孝行〉