海外で莫大な医療費が…なんて場合も大丈夫!

給料からおカネ引かれすぎ…が納得に!日本の「社会保険」のスゴさを解説(1)

お金
給料日になると突きつけられる「額面」と「手取り」の差。そこで税金以外に僕たちの手取りを減らす原因になっているのが、「社会保険料」だ。どうやら、僕たちはそのお金を支払う代わりに、勝手に「社会保険」なるものに加入しているらしい。

ただ、コレって実際にどんな恩恵が受けられるんだっけ?…ということで、今回はR25世代にはいまいちピンと来ないこの社会保険について、社会保険労務士の井戸美枝(いど みえ)先生に詳しく話を聞いてきた。

そして結論から言うと、社会保険は素晴らしくありがたい制度だということがわかった…!
出典

井戸先生提供

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーとして活動中の井戸先生。複雑なお金にまつわる動きをかんたんに読み解く経済エッセイストとして活躍中です。

財源は僕らが払う保険料だけじゃない。会社も負担&国の税金も投入

そもそも“保険”ということは、僕たちが毎月払っている保険料がサービスの元手になっているということ?

「そうです。ただし社会保険の場合、財源はそれだけじゃありません。会社員は毎月給料(額面)の約15%を社会保険料として支払っていますが、雇用主である会社もそれとほぼ同じ金額を負担していますし、国や地方自治体の税金も投入されています

なるほど! 会社や国もお金を出してくれていると知ると、急におトクな制度のように思えてきた。しかし、肝心なのはその中身。一体どんなサービスが受けられるのだろうか。

月にかかる医療費は上限が決まっている!(僕らだと9万円くらい)

「まず、日本では医療費の自己負担は3割で済みますよね。この残り7割を負担してくれているのが社会保険の1つである『健康保険』なんです。さらに、健康保険のおかげで月にかかる医療費は「上限」が決まっているんですよ(※1)」

この制度、実は国民の7割が知らないというデータがあるそう。ちなみに、その「上限額」というのはどれくらい…?

「所得によっても変わるんですが、平均的な年収の人で月9万円くらいです。たとえ100万円の手術をしても9万円。この場合、医療費は1割もかかっていないということになります」

これは相当ありがたい! もし急に100万円払えと言われたらゾっとするな…。

大企業だと最大2万円/月くらいしかかからない場合もある!

「さらに大企業の社員だと、会社負担でさらに充実した健康保険に入っていることも多いんですよ(※2)。医療費の上限はさらに安くて、だいたい月2万円くらいですかね」

ええ! それはうらやましい…。ちなみに、ここまでの福利厚生があると、わざわざ民間の医療保険に入る必要はほとんどないそう。

海外でケガをして莫大な医療費がかかった…なんて場合も大丈夫!

「ちなみに、アメリカには日本のような社会保険制度がないので、たとえばハワイで盲腸の手術をすると300万円くらいかかります」

盲腸で300万! 何かの間違いかと思う金額だ…。できるだけ海外では病院に行かないほうがよい?

「いや、実は私たちは大丈夫です! 仮にハワイで盲腸になったとしても、日本に帰ってきたらお金を返してくれるので。日本で健康保険が適応された場合にかかる治療費との差額が支給されます(※3)」

え、そうだったの!? 日本でかかる治療費以上はかからないということ?

「そうです。つまり、世界のどこにいても日本の保険がきく。こんな国はほとんどないですから、日本の社会保険は本当にすごいんです」

まだまだこんなものじゃない社会保険!次回へつづく…

日本に生まれたことに猛烈に感謝しはじめている筆者。しかも社会保険には、今回紹介した「健康保険」以外にもまだまだ手厚いサービスがあるらしい。

次回以降の記事では、出産・育児費用の手厚いサポート老後じゃなくても受け取れる年金ビジネスマンがもらえる嬉しい給付金などをご紹介。お見逃しなく!

〈取材・文=渡辺将基(新R25編集長)〉
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(※1)「高額療養費制度
(※2)大企業は福利厚生の一環で、独自に「健康保険組合」を運営していることが多い。
(※3)「海外療養費制度

※本記事では会社員が加入している社会保険について説明しています。個人事業主(フリーランス)などの場合は、加入対象となる保険の種類やサービス内容が異なります。

新R25的「社会保険」特集