昔は“ブスネタ”しかなかったが…

活躍する「女芸人」のルールが変化。現代の視聴者が求める“情報ショー”とは?

  • 芸能・エンタメ
  • 2017.12.06
  • by 新R25編集部

12月11日、女芸人ナンバーワンを決める「THE W」という大会の決勝がおこなわれる。

渡辺直美、横澤夏子、ゆりやんレトリィバァ、尼港インター、ガンバレルーヤ…。テレビにおいて「女芸人」が以前より重要なポジションを占め、人気者が続出している気が。何か理由があるんだろうか?

以前は「女芸人はこうあるべき」という縛りが強かった。キャラが同質化して面白くなかった

リアルな声を聞くべく、編集部では「4年半、女芸人として活動していた」という女性・Eさんにコンタクト! 話を聞いた。

「私が活動していた時は、『女芸人はこうあるべき』といった縛りが強かったです。ブスじゃないといけない、彼氏がいてはいけない、ましてや結婚や出産をしてはいけない…。『女芸人の定義』みたいなものがあったんですね」

たしかに女芸人といえば、そういった人たちが“自虐ネタ”をやるというイメージが強い。

「それでどうなるかというと、女芸人たちのキャラもネタも、みんな似てくるんです。だから、正直、男性芸人たちに比べると意外と個性がなくて面白くないんですよね。テレビ番組の雛段でも、『女芸人枠』って感じで一応呼ばれることもあるんですが、以前はお飾りでしかなかったと思います」

男社会のお笑い界で活躍したパイオニア、森三中&友近。「女芸人のルール」を打ち破った

出典

Motoo Naka/アフロ

そんな“暗黙のルール”を破り、男社会のなかで活躍した女芸人がいたという。

森三中です。ネタでもロケ番組でも、振り切り方が尋常じゃない『女芸人のカラダの張り方』じゃなく、男のなかに混ざっても面白かった。しかもその後、大島美幸さんが鈴木おさむさんと結婚、そして出産。女性たちから支持され、祝福されましたよね。それまでの女芸人のルールを壊して、『やってのけたな!』と思いました」

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さらにEさんは、「友近」の名前を挙げた。

「彼女は、オジさんなど色んなキャラを演じるネタが多くて、とにかく器用。芸の幅がとても広かったので、『ブスネタ』しかない女芸人たちとは一線を画していました」

現在はプライベートをさらけ出せる女芸人が活躍する“情報ショー”が全盛。女性の共感を集めている

出典

つのだよしお/アフロ

「35億」は「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」のトップテンにノミネート

ただ、現在人気を獲得している女芸人たちは、ネタや体当たりの面白さで評価されているわけではないようだ。

お笑いライブの演出などを手がける放送作家O氏は「もちろんブレイクするには面白さが必要ですが、いま女芸人に求められているのは、女性視聴者にとって身近な存在として、自身のプライベートをSNSやテレビでオープンにすることです」と話す。

「いま、普通にショートコントや漫才を披露するネタ番組はどんどん減ってきています。人気なのは、芸能人たちが自分の私生活を披露する、いわば“情報ショー”。家の中がどうとか、どういう生活をしているかといった素の部分を見て、共感したい視聴者が多いんです。女優さんだとなかなかプライベートや恋愛をオープンにできないですが、女芸人はそこに踏み込んでイジっても大丈夫だし、本人が面白おかしく話すこともできる。情報ショーの『モデル』としてとても使いやすいんですよね」

たしかに、ここ最近はゆいP(おかずクラブ)、白鳥久美子(たんぽぽ)、平野ノラなどが交際順調な様子を明かしたり、江上敬子(ニッチェ)、やしろ優、横澤夏子などが結婚したりと、女性芸人が私生活をオープンにしている。

逆に男芸人たちは、まだ「ネタ」にプライドを持っていて、いまのテレビのトレンドに対応できていない印象なのだとか…。

『芸のプロだから』という意識を持っているより、単純に素を出せる人がテレビで活躍する傾向がどんどん強くなってますね。例えばブルゾンちえみも、強気な“いい女発言”をするときもあれば、普通に弱音を吐くなどの素を見せるときもある。女芸人たちをテレビで見ることが増えたのは、女性を中心にそういったものを求めている視聴者のニーズが反映された結果だと思います」

“こうあるべき”というルールから徐々に自由になり、素の魅力で支持を広げている女芸人たち。なんだか社会全体の動きとも通じているような感じですな。

〈取材・文=天野俊吉(新R25編集部)〉