ファストファッションに対する意外な評価

マイナスイメージにならない? 高級ブランドはなぜユニクロやH&Mとコラボするのか

  • 仕事・ビジネス
  • 2017.12.07
  • by 新R25編集部

この秋、ユニクロがイギリスの人気ブランド「J.W.ANDERSON」とのコラボ商品を発売し、話題に。「J.W.ANDERSON」といえば、「ロエベ」のクリエイティブディレクターなども務める奇才・アンダーソン氏の手がける、旬な高級ブランドだ。

このように、近頃ファストファッションと高級ブランドのコラボが話題になることは多い。チープに見えてしまう懸念もありそうだけど、一体なぜ次々とコラボが実現できるんだろう

ギャルソン、ジル・サンダー、マルジェラ… 人気高級ブランドが続々とファストファッションとコラボ

ミニマルなデザインがカッコいい! ジル・サンダーとユニクロのコラボアイテム

ユニクロはこれまでにも、ジル・サンダーをはじめ、アレキサンダー・ワンラフ・シモンズなど数々の高級ブランドとのコラボを展開してきた。ジル・サンダーは、例えばメンズのワイシャツが1着5~7万円はするが、同じようなワイシャツも、ユニクロとのコラボ商品なら4000円程度! お得感もあって、これらのコラボはいずれも大注目。発売日にはオープン前から行列ができ、即完売も珍しくなかった。

H&Mも、これまでにコム・デ・ギャルソンメゾン マルタン マルジェラなどの超人気ブランドとのコラボ商品を発売。大きな話題を作ってきている。

ファストファッションの魅力は「間口の広さ」。普段アプローチできない層に向けて商品開発ができる

アンダーカバー×ユニクロのキッズアイテムライン

高級ブランド側の「コラボによるメリット」はどんなものがあるんだろう? 男性ファッション誌を中心にスタイリストとして活躍する甲斐修平さんは、理由のひとつとして、「ファストファッションの『間口の広さ』がデザイナーのやりがいにつながっている」と話す。

「例えば、アンダーカバーというブランドがユニクロとのコラボで低価格の子供服を作りましたが、これは特定の層をターゲットとする高級ブランドでは実現が難しいこと。『自分のデザインした服を幅広い層に身につけてもらいたい』と考えるデザイナーにとっては、普段アプローチできないような層に向けて商品開発できることは意義深く感じるポイントだと思います」

億単位の契約金が動くことも!? 広告経由のブランド認知で新規顧客の開拓にもつながる

gettyimages
「コムデギャルソン」の創始者であり、日本を代表するデザイナーの川久保玲氏

そして、やはり金銭的なメリットもとても大きいらしい…。

「噂では、ファストファッションブランドがコラボパートナーに払う契約金は数億円にのぼると言われています。コム・デ・ギャルソンがH&Mとのコラボを行った際、デザイナーの川久保玲さんは『私はデザイナーであると同時に数百人の社員を雇っている企業の社長でもある』と言ったんですが、この言葉からも、高級ブランド側が得る金銭的なメリットが大きいことがうかがえます」

これに加え、世界中に存在するファストファッションブランドの店舗にコラボ商品が置かれ、ブランド名を知ってもらえることも魅力。さらにCMやポスターなどを通じた認知拡大・新規顧客の開拓も可能になるのだ。

価格や先進性が評価されているファストファッションのとのコラボは、高級ブランドにとっても誇らしい

J.W.ANDERSON×ユニクロのコラボアイテム。ファッション性と機能性をあわせ持つ

しかし、誰もが着ているファストファッションとコラボすることで、イメージダウンになってしまうといったマイナス面はないのだろうか…?

「今や『ファストファッションとコラボしてブランドイメージが下がる』と考えるブランドは少ないはずです。ファストファッションブームが始まった2000年代前半であれば、本来はTシャツでも数万円するような高級ブランドが、ユニクロとコラボして1万円前後で買えるアウターを製造するというのは、勇気のいる判断だったかもしれません。しかし、今はむしろ、ファストファッションブランドにコラボ相手として選んでもらえることは、誇らしいことになっていると思います」

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その理由は、ファストファッションの持つ先進性=安くてもいい商品を出していこうとする姿勢などが、世界的に評価されはじめているからだという。

「技術力を持ちつつ、低価格でアウトプットする。そんな“新しさ”を持っている企業とコラボするということで、時代に合わせて変化していけるブランドなんだと、良い印象を受けます。独自の世界観を持ちながらもチャレンジも恐れないブランドが、ネットやテクノロジーとの融合を含めて、どんな新しいファッションを見せてくれるのかと期待するファッション好きは多いですよ!」

たしかに、いまは「安くていいモノ」が評価される時代。ファストファッションとのコラボは、ハイブランドにとって時代に合わせたクリエーションのひとつといえそうだ。

〈取材・文=黄孟志(かくしごと)〉