生活保護を受けたり、ホームレスになる人も…

一度は廃止された「議員年金」が復活!? その背景にある落選議員の厳しい末路

社会・政治2017.12.25by 新R25編集部

平均所得は2412万円(2016年分。朝日新聞調べ)、それに加えて有名なところではJR全線無料、航空券無料(月最大4往復分)、格安議員宿舎など、さまざまな優遇があるといわれている国会議員。

ところが、ここにきて一度は廃止された「議員年金」の復活が、新制度として検討され始めたらしい…!

国民年金にプラスで支払われていた「議員年金」。“議員の特権だ”と批判殺到で廃止された

gettyimages

以前の議員年金制度には、国会議員を対象とした「国会議員互助年金」と、地方議員を対象とした「地方議会議員年金」の2種類があった。

国会議員は10年以上、地方議員は12年以上在職していると65歳から支給され、その最低年額は国会議員で約412万円、地方議員が約96万円だった。ちなみに、これは国民年金にプラスして支給されていた。

これに対し「議員の特権だ」「公的年金に比べて優遇されているのは不当だ」といった批判の声が上がり、国会議員互助年金は2006年に、地方議会議員年金は2011年に廃止された。ただし、制度が廃止となる以前まで保険料を払っていた議員に対しては、減額ながらも議員年金が支給されるという。

このままでは議員のなり手がいなくなる? 元議員たちが「生活への不安」を続々吐露

出典

中尾由里子/アフロ

※画像はイメージです

しかし、「不当だ」といわれて廃止したものを、なぜ復活させるのか…?

その理由について、自民党の森山裕国会対策委員長は「地方議員のなり手不足が問題」だと語っている。さらに、自民党の竹下亘総務会長は「元国会議員で生活保護を受けたり、ホームレスになったりする方もいると聞いている」とも。

つまり、「議員を辞めたあとに金銭的に苦しむ議員が多いため、それを救済しなければいけない!」という話のようなのだ。

例えば、元衆議院議員の井脇ノブ子氏は、『週刊現代』の取材に対して「いまの収入は国民年金が毎月7万8000円。そこから毎月3万円だけ払って、(元支援者の)部屋に住ませてもろうとんねん」と窮状を訴えている。

元参議院議員の金子洋一氏も、自身のブログで落選後の不安を次のようにつづっている。

どうやって家族の生活費を稼いでいくのかという大きな問題です。当然収入を得るためには働かなければなりませんが、果たして国会議員経験者というめんどくさそうな経歴の人間である私に、希望に合った条件の職場が運よく見つけられるかどうかという大きな問題がありました。

出典http://blog.guts-kaneko.com

同様に元衆議院議員の井戸まさえ氏も、自身のブログで、落選後は薬局でアルバイトをしたり、家庭教師などをしたりしていた経験を明かしている。

個人の能力や築いてきた人脈の差はあれど、おもに落選が理由で辞職を余儀なくされた議員たちのその後は、かなり大変なようだ。

日本維新の会は党を挙げて反対。杉村太蔵氏も「国会議員しかできない人たちなのか」と指摘

出典

Rodrigo Reyes Marin/アフロ

自身が優遇される制度に反対する議員はなかなかいないのが現状だが、“議員年金復活”に反対する声は政界からもあがっている。

2017年8月、地方議員年金制度の復活に反対する勉強会を開いた日本維新の会・松井一郎代表はこう話している。

一度廃止したものをもう一度やろうというのは、地方議員からスタートして国会議員に(年金制度を)広げようという政治家の厚遇、優遇でしかない。これはもう絶対にやめさせる。とにかく納税者もなめられたもんだと思う。

出典 2017年12月8日付『朝日新聞デジタル』より

いまのところ、党を挙げて反対を表明しているのは日本維新の会だけのようだが、地方議員のなかにも反対の姿勢を示す人はいて、広島県議会議員の佐藤一直氏は自身のブログで、「地方議員の厚生年金への加入を求める意見書」に対して1人だけ反対したと述べている。

前大阪市長の橋下徹氏は、自身のTwitterで「議員年金がないと地方議員の成り手がいないだって?ふざけるな!定数が多すぎるんだよ!」と怒りをあらわに。

タレントの杉村太蔵氏も『橋下徹の即リプ!』(AbemaTV)の番組内で、「若いうちに議員なって辞めたあと、みんな生活保護だって言うんですよ。それって国会議員しかできないような人が国会議員やってるのかと思ってしまう」と指摘していた。

出典

アフロ

「身を切る改革」を掲げる日本維新の会の前代表・橋下徹氏は議員年金の復活に怒りを露わに

ちなみに、現段階で検討されているのは、非難轟々だった旧制度そのままというわけではなく、地方議員に関しては「地方自治体の職員とみなし、厚生年金に加入できるようにする」という案。国会議員に関しては具体的な案は報道されていないが、「“議員年金復活”の流れを国会議員にも広げよう」という発言が見られるという状況のようだ。

議員だけが特別な年金を受け取れるなんてズルイ? それともしっかりとした人材を確保するために、生活を保障すべき? ポジショントークになりがちなお金の話だけに、冷静に見ていきたい。

〈取材・文=新R25編集部〉

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