"犬ヒモ"と"猫ヒモ"の違いって知ってる?

「普通こうするでしょ」は無視。年収1000万超え女性と暮らすヒモ男に学ぶ“愛される技術”

ライフスタイル
女性もバリバリ働くようになり、共働きの家庭が増えてきた。しかし「男は仕事、女は家庭」という考え方は根強く、まだ払拭しきれているとは言えなそう。

たとえば「ヒモ」と呼ばれる、働かずに女性に“養ってもらう”男性への風当たりは強いはず。そんななかでヒモとして生きている彼らには、彼らなりの「愛される技術」や、考えがあるのでは?

そんなことを考え、ヒモの飯野智司さんにお話を聞くことに!

お笑いをやりながらバーテンダー。お店の常連客と関係が進展し…

編集部・葛上

編集部・葛上

本日はよろしくお願いいたします。あれ、後ろの方は…?
飯野さん

飯野さん

マネージャーです。
編集部・葛上

編集部・葛上

えーっと、ヒモ…ですよね?
飯野さん

飯野さん

はい、現在進行形です。もう4年目ぐらいですね。
編集部・葛上

編集部・葛上

だとしたらなんのマネージャーさんなんでしょう?
飯野さん

飯野さん

僕は「大人のカフェ」というお笑いユニットを組んでいまして、それだけでは食っていけないので、交際している女性の家に住ませてもらってます。

お笑いのほうで最近ようやくマネージャーがつくところまできたんで、今日いるのはそのマネージャーです。
編集部・葛上

編集部・葛上

女性の家にヒモとして転がり込む、ってそんなカンタンにできるものなんですか?
飯野さん

飯野さん

いやいや、僕も初めてなのでノウハウはありません。たまたまそうなっただけですよ。

芸人をしつつ、アルバイトでバーテンダーをやってまして。そこに、いま一緒に住んでいる彼女が、週に2、3回常連のお客さんとして来てくれていたんです。
編集部・葛上

編集部・葛上

けっこうな頻度ですね~。すぐに関係が発展したんですか?
飯野さん

飯野さん

いえ、店員とお客さんという関係が1年ぐらい続きましたね。しょっちゅうお話していたものの、女性としては意識していませんでした。

けど、向こうはどうやら僕のことを「いいな」と思ってくれたらしく、ある日、僕たちのコントを見にきてくれました。
編集部・葛上

編集部・葛上

なるほど。それがきっかけで、進展したわけですね。
飯野さん

飯野さん

はい。舞台に立っている僕を見て「これが本当の飯野さんなんだ」と思ったみたいです。「おもしろかったから」と、飲みに誘ってもらって、勢いで家まで行っちゃいましたね
トントン拍子(?)である
編集部・葛上

編集部・葛上

おお、一気に進みましたね!
飯野さん

飯野さん

彼女の仕事(外資系企業)の話をたくさん聞いていたので、なんとなく立場もお金もある方なんだということはわかっていました。

その上、持ち家だということを聞いていたので「どんな家に住んでいるんだ」という興味もありましたね。実際すごかったです。
編集部・葛上

編集部・葛上

えー、お金を持ってる女性なんですね…。どんなお家なんですか?
飯野さん

飯野さん

写真があるので、見てもらえれば!
年収1000万円を超える彼女さんと一緒に住む、目黒区のおしゃれマンションの一室
編集部・葛上

編集部・葛上

おお~、この1室だけでも高級感が伝わってきますね!

すぐに一緒に住むようになったんですか?
飯野さん

飯野さん

そうですね。初めて家に行ってからすぐに「もっと一緒にいたい」と言ってくれて、1カ月以内には週の半分ぐらいを彼女の家で過ごすようになりました。完全に転がり込んだのは3カ月後ぐらいですかね。

昼に起きて朝5時に就寝。ヒモ生活の実態ってどんな感じなの?

編集部・葛上

編集部・葛上

身近にヒモがいないのでイメージができないのですが、どんなふうに1日を過ごしていらっしゃるんですか?
飯野さん

飯野さん

何もない日のスケジュールはこんな感じです。
12時 起床
13時 コーヒーを入れて、植木に水をあげる
14時 ワイドショーを見る
16時 夕食の買い出し
19時 夕食の支度
21時 彼女が帰宅して夕食
23時 彼女が就寝。ひとりで晩酌の続き
24時 お風呂でお酒とYouTubeを楽しむ
2時  Netflixなどの動画を視聴
5時  就寝
編集部・葛上

編集部・葛上

いろいろツッコミどころがあるのですが…まず寝るの遅すぎませんか?
飯野さん

飯野さん

ずっと夜の飲食店の仕事をしていたせいで、そういうサイクルが身についてしまいましたね。昼は12時ぐらいに起きて、豆を挽いてコーヒーを入れます。
編集部・葛上

編集部・葛上

丁寧な暮らしだ…
飯野さん

飯野さん

彼女は早くて21時ぐらいに帰ってくるので、そこまでに家事を済ませて夕食の準備をしておきます。

彼女はだいたい疲労困憊してて、夕食が終わるとソファで座ったまま寝てしまうので、引きずって布団に寝かしてから、ひとりで動画などを楽しんでいます。
「彼女はこんなふうにソファで寝てしまう」とのこと
編集部・葛上

編集部・葛上

結婚していない“主夫”みたいなものですね。
飯野さん

飯野さん

ほんとにそうだと思います。男が稼ぎに行って女が家を守るというのが、ただ反転しているだけ。
編集部・葛上

編集部・葛上

家事はすべて飯野さんがされているんですか?
飯野さん

飯野さん

ご飯、掃除は僕がやっていて、洗濯はどちらかがやるようになっています。

正直、ご飯は僕がつくったほうが全然おいしいんです。彼女も家に帰るのが楽しみだと喜んでくれています。
編集部・葛上

編集部・葛上

家事をやっているとはいえ、ダラけている時間が多いようにも見えます。

彼女さんからそういった部分を責められることはないんですか?
飯野さん

飯野さん

最初の頃は少しありましたね。ただ、僕が家に転がり込むときに全部伝えたんですよ。

「一緒に住みたいけど、経済的には貧しいし、家で酒を飲みながら映画を見たりする生活は崩したくない。そんなどうしようもない人間でもよければお願いします」と。
正直な人だ…
編集部・葛上

編集部・葛上

なんかプロポーズみたいですね。
飯野さん

飯野さん

好意的にいえばそうですね。でも僕にとっては入社試験みたいなものでした(笑)。

彼女がお金を持っているのも、魅力のひとつだということも事実なので、そう伝えました。はじめにすべてを正直に言ったので、モメそうなときのストッパーになっています。

関係を維持するために、お互い無理はしない。「女だから料理作って」はダメ

編集部・葛上

編集部・葛上

ヒモとして生活をするうえで、心がけていることはありますか?
飯野さん

飯野さん

んー、あんまり自分を変えないことですかね。
飯野さん

飯野さん

彼女の家に住まわせてもらっている立場だから、「これをしなきゃ」というように考えるのが普通ですよね。でもそこに負い目を感じてしまうと関係が歪んでしまうのではないかと。

彼女も言いたいことはあると思うんですよ。「私がお金を出しているのに」とか。でも僕からすると「家事してあげてるじゃん」と言い返したくなってしまいます。
編集部・葛上

編集部・葛上

彼女さんが一緒にいてくれている理由は、家事以外にどの辺りにあると思いますか?
飯野さん

飯野さん

彼女は僕と違ってすごいマジメな人なんです。思いつめているときに「大丈夫、死にゃーしないんだから」と楽観的なことを僕が言うと、ラクになれるみたいです。

ほかにも、彼女は最初は“自分の理想像”を維持しようと、コンタクトを外してメガネをかけることすらできなかったようです。

けど僕が部屋で屁をこいていたら、いつの間にか彼女も屁をこくようになって、すっぴんを見せるようにもなりました。そういう意味で“毒抜き”みたいなことが僕のできることかもしれません。
編集部・葛上

編集部・葛上

リラックスできる関係になったんですね。
飯野さん

飯野さん

あとはこれまでの彼氏には料理をつくってあげていたけど、そういうのがあまり好きじゃないみたいなんですよ。でも「女性だから」とイヤイヤやっていたらしくて。

そこを僕が補って、家に帰ったら夕食の支度がしてあるようになってから「うわあ、ありがてー」みたいな感じらしいです(笑)。
編集部・葛上

編集部・葛上

仕事が好きな方からすると、本当にありがたいでしょうね。

ちなみにヒモとして、もっとも努力をしているのはどの辺ですか?
飯野さん

飯野さん

出迎え…ですかね。帰ってきたら玄関まで行って「お疲れさま」とハグをしてあげます。(笑)
ちょっと恥ずかしがる飯野さん
編集部・葛上

編集部・葛上

え、家事とかよりもそこが大事なんですか?
飯野さん

飯野さん

食事なんかは、ほかの場所でもまかなえるじゃないですか。彼女が張り詰めて帰ってきて、そのままリビングに入ると“空気が濁ってしまう”から、玄関でリセットする。

ここはもう安全な場所だよ」とハグして伝えますね。

猫ヒモタイプの思考法。「普通こうするでしょ」を無視するほうが、人として面白い

飯野さん

飯野さん

あと、ヒモとして「犬になるか、猫になるか」、どちらかに専念することですね。
犬 or 猫…?
編集部・葛上

編集部・葛上

どういうことですか?
飯野さん

飯野さん

ヒモを分類すると、“犬ヒモ”と“猫ヒモ”があると思っています。それでいうと僕は猫ヒモのほう。

犬って従順じゃないですか。一般的なヒモのイメージは犬寄りですよね。彼女が命じるままに動いて、喜ばせる。

一方で、全然言うことを聞かない、自由奔放な猫のようなヒモもいるんです。僕は猫ヒモタイプで、彼女もそういうところを好きになってくれているんだと思ってます。
編集部・葛上

編集部・葛上

猫ヒモ(笑)。たしかに一般的なイメージとはギャップがありますね。
飯野さん

飯野さん

猫ヒモが犬ヒモのようになろうとしてもムリですし、魅力がなくなってしまいます。

今の僕の感じが好きで一緒にいてくれているはずなので、その自分を否定せず「これでいいんだ」と肯定をしていますね。
編集部・葛上

編集部・葛上

ちなみに猫ヒモとして、具体的にはどんなふうに行動しているのでしょう?
飯野さん

飯野さん

「~だから、こうしよう」ではなく「~だけど、こうする」という考え方で動いていますね。
編集部・葛上

編集部・葛上

「ヒモだけど、こうしてあげる」みたいな。
飯野さん

飯野さん

はい。たとえば仕事関係でいうと、「自分は後輩だから、こうしなきゃいけない」とかあるじゃないですか。

でも「~だから」という行動で与えられるものって、予想がつくからつまらない結果になってしまう

一方で「自分は後輩だけど、こうしよう」という考え方で動いていると、より結果の幅が広がるんじゃないかと思いますね。
編集部・葛上

編集部・葛上

たしかに、そのほうが良くも悪くも、印象に残ることができそうですね。
飯野さん

飯野さん

実際はそんなに打算的にやっているわけじゃありませんが、「なんでお前そんなことするんだよ」と思ってもらえるほうが、人として面白いじゃないですか。

たとえば、ヒモなのにむしろおごるとか。そんなことをしているほうが愛されるパターンもあるかな、なんて思っています。
男性である自分が、どんなパートナーといても一家の大黒柱になるとは限らない…。とはいえ、「ヒモ」になるのもなかなか勇気がいりそう。

そんなふうに思っていた自分にとって、「自分を変えない」「リラックスする」という飯野さんの言葉は、とても心強く響きました。

いざというときのため、僕も猫ヒモ流の愛され術を練習しておこうかな?

〈取材・文=葛上洋平(@s1greg0k0t1)/撮影=福田啄也(@fkd1111)〉