自分らしさがわからない人は、自分のことが好きじゃない

「僕も、個性的な子をバッシングしてた」りゅうちぇるが辿り着いた“自分らしさの見つけ方”

ライフスタイル
自分の色を取り戻そう

をテーマに、個性的なキャラクターでポジティブなメッセージを発信しているりゅうちぇるさん。

そんなキラキラとした彼の姿を見て、いいなぁと思う反面、「自分らしさ」ってそもそも何なんだろう? どうやって見つけるんだろう? と私は思いました。

キャラクターを無理やり作るのもちょっと違うし、でも、社会に出てから周りに合わせるのに必死で「自分」がよくわからなくなっている気もする。

今回はりゅうちぇるさんに、そんな「自分の見つけ方」の答えを聞いてきました。

〈聞き手:いしかわゆき(新R25編集部)〉
【りゅうちぇる(RYUCHELL)】タレント・アーティスト。1995年9月29日生まれ、ちぇるちぇるランド出身。オリジナリティ溢れるファッションと奔放なキャラクターで人気を集め、バラエティや討論番組などに多数出演。2016年12月、読者モデル・タレントのぺこと入籍。2018年、「自分の色を取り戻そう」をテーマに音楽活動を開始

個性は“恥”だと思っていた中学生のとき

いしかわ

いしかわ

りゅうちぇるさんはまさに「自分を持っている人」という感じがしますけど、最初からそうだったんですか?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

それが…全然違うんです。実は僕、個性は恥だと思っていたんですよ。
こんなに個性しかないのに…!?
いしかわ

いしかわ

まさかりゅうちぇるさんからそんな言葉が出るなんて…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

だって、個性を出すといじめられたり、嫌われちゃったりするじゃないですか。僕の場合、生まれたときから女の子っぽかったからなおさら。

声も高かったし、カードゲームとかが流行っているなかで、バービー人形が大好きだったからそれで遊んでいたら、「あー! オカマだー!」って言われたりして。
いしかわ

いしかわ

ああ…子どもってすぐにそういうこと言いますよね。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

小学生のときはめちゃくちゃそういうことを言われて、給食のカレーに、上履きの後ろを擦り合わせてゴミを入れられたりしました。

まぁ、全部食べたんですけどね。その人の前にドカッと座って、「おいし~!」って(笑)。
ひどすぎるいじめ…
いしかわ

いしかわ

たくましい…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

でも、中学生になったら一気に弱気になりました。「このままじゃダメだ、孤独になる!」と思って、みんなに合わせるようになったんです。

悪い意味で協調性が働いたというか。とにかくひとりになりたくなくて、必死に自分を隠して、好きなものも好きな歌も何もかも嘘をつきました。
いしかわ

いしかわ

そんな時期があったんですね。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

だからそのときは、個性を出している子が本当に嫌いでしたね。その子に向かって、僕も文句をたくさん言いました。悔しかったんです。

でも、何を言われても、その子がひとりでも自信満々にいる姿を見て余計に悔しくなって。「何でアイツだけ!」って思いながら、自分が自分を出せない弱さにも気付いていました。
いしかわ

いしかわ

…まさかバッシングをする側にいただなんて、衝撃です。

そこからどのように自分を見つけていったんですか?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

僕の場合は、「友だち」がきっかけでした。この人たちといればいじめられない、と思って一緒にいたけど、自分の好きな人や先生の悪口を平気で言ったり、人の目ばかり気にして行動したりしている人たちだったんですね。

僕は孤独になりたくなくて自分を偽ったのに、そうやって接していたら偽りの友だちしかできなかった。

それで、とにかくこの人たちと一緒にいたくない!!と思って、地元の友だちが誰もいない高校に進学しました。新しい人生を始めるんだ!って切り替えちゃいましたね。
いしかわ

いしかわ

偽りの自分でいたら偽りの友だちしかできない。確かにそうですね。

今までの友だちを“捨てて”しまう怖さはなかったんですか?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

中学生のときは、個性を出したらいじめられるんだ、って決めつけていたんですけど、「あんなつまんない学生時代を二度と送りたくない」という気持ちが勝ちましたね(笑)。

そこからは、SNSで自分のことを発信しはじめて、そのうちにファンがつくようになって、どんどん自信がついていきました。

地元の人からはいまだに「どうしちゃったの?」って言われるけど、もう、どうでもいいです! 「逃げじゃん」って思われたりもするけどそれも全然オッケー!

今は自分らしくいられる自分を大好きって思うし、生まれ変わっても自分でいたい。
いしかわ

いしかわ

「生まれ変わっても自分でいたい」。言ってみたい言葉だ…

自分らしさがわからない人は、そもそも自分のことが好きじゃない

いしかわ

いしかわ

私たちは、そのいわゆる「自分らしさ」っていうのはどうやって見つけていけばいいんですかね?

たとえば社会人でも、わりと周りに流されて生きている人が多いと思うんですけど…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

僕、思うんですけど「自分らしさ」や「個性」がわからない人って、そもそも自分のことが好きじゃないんですよ。
いしかわ

いしかわ

(ギクッ)
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

たとえば、「夢がないんです」って人がよくいるけど、その人たちにはまず、「自分のこと、好き?」って聞きたい。

だって、自分のことが大好きなら自信があるから、何か新しいことをやろうって思っても「自分ならできる!」って思えるんです。反対に、自分のことが嫌いだったら、「あぁ、自分には無理かもしれない」って思っちゃう。
いしかわ

いしかわ

でも、自分を好きになるなんて…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

そう、自分を好きになるのは難しいんです。僕だって自分のことが嫌いでした。

でも、好きじゃないけど、好きになりたいじゃないですか。だから、まずはそういう「自分を好きになりたい」って欲を持つことが大事なんです
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

自分のこの目がイヤだ、じゃあメイクをしよう。コンプレックスを隠すためにこんな服を着てみよう、みたいな。

僕だって、今でも自分のすっぴんはイヤだって思います。でも、メイクをした姿を見たら、「うん、かわいい」って思える。

たとえば身体にメスを入れたり、そういう人もいると思うんだけど、それで自分が幸せって思うなら、僕はそれも一つありなのかなって思います。
いしかわ

いしかわ

まずは、「自分を好きになりたい!」って欲を持つところから。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

だって、幼稚園のときってみんなナルシストだったはずなんですよ。将来の夢とかポンポン出てくるし、自分は何でもできる、かっこいいんだってみんな思ったときがあったはずなのに、いつか忘れちゃう。

成長する途中で、どんな現実を見たのかはわからないけど(笑)。
いしかわ

いしかわ

確かに、根拠のない自信があった気がしますね。あのころの自分はどこに行っちゃったんだろうな…

目的不明な自分磨きをしている人が多すぎる。自分が何を好きか考えよう

りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

そして、自分を好きじゃないと、自分のやりたいこともわからないし、なりたいものも見つからないから、目的不明な自分磨きをしちゃうんですよね。
目的不明な自分磨き…?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

たとえば大学も、「夢は見つかっていないけどとりあえず行こうかな」って行く人が多いじゃないですか。

えっ、何も見つかっていないのにそんな高いお金を払って行くの!?と思っちゃうし、目的もないのに意味不明なお金と時間をかけるのはどうなのかなって思います。
いしかわ

いしかわ

私もやりたいことはよくわからないけど、「こんな資格を持っていたら便利そう!」と無駄に勉強していたときもありました…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

でも、たとえ目的はなくても「自分の好きなもの」って誰しもあるはずですよね

そういう目的のない人に、「何が好きなの?何をすることが好きなの?」と聞いてみたら「音楽が好き」「犬と遊ぶのが好き」と返ってくるけど、じゃあ音楽の仕事に挑戦しないの?と聞くと、パッと黙るんですよ。

それって、無理って決めつけて諦めているからだよね。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

それで、「だってお金にならないもん」って言う。でも、「じゃあお金が欲しいの?」とどんどん聞いていくと、結局ただの言い訳だったりして。そういう人ばっっっかなんです!!

だからまず、自分の時間を作って、自分でしっかりフラットに何が好きなのかを考えてほしい。自分が好きじゃない人は、そもそも自分が何が好きかも考えたことないんですよ

もし本当に出てこなかったら、映画や本、いろんなものに触れて好きなものを確かめる「勉強」をしてほしい。
いしかわ

いしかわ

うぅ…耳が痛い…。それは、りゅうちぇるさんも時折考えたりするんですか?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

「今の自分は何が好きなんだろう? 何がやりたいんだろう?」って立ち止まって、自分を見つめ直す時間はすごく大切にしています。

僕は、最初はバラエティに出てみんなに笑ってほしいって思ってたけど、今はメイクや歌のお仕事がしたいって思ってる。やりたいことってコロコロ変わるものなんですよね
いしかわ

いしかわ

コロコロ変わってもいいんですね。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

もちろん。それは軸がブレたわけじゃない。環境や自分が変化すれば変わるのは当たり前なんですよ。

自分を出すために練習をする、自分を出せる居場所を探す

いしかわ

いしかわ

でも、いきなりなりたい自分をバァン!と出すのは勇気が入りますよね。何から始めればいいんだろう…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

僕も中学生のときは出せませんでした。でもその代わり、“自分を出す練習”をしていたんです。

SNSでは、「どうやってメイクしてるの? どうやって髪をセットしてるの?」なんてコメントがたくさん来るんですけど、僕ね、超練習してたの。

どうしてみんな、練習もしないでただなりたいって甘えてるんだろう?って思いますよ。自分がなりたい自分になるために、学生時代にどれだけ努力してきたか!

親にも内緒で、鏡の前でひたすらメイクしてましたね。
いしかわ

いしかわ

自分を出せるようになるまでに、影の努力があったんですね。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

あともう一つ自分を出すために大事なのは、自分を出せる環境を見つけること。

今ある環境で出さなくていいんです。「あそこの場所にさえいけば、自分を出せる」って自分の居場所を探してください
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

僕も、学校で嫌なことあってもSNSを開けば「今日もかわいい」ってコメントが来ていて、「あぁ、よかった」ってなったことが何回もありました。家の中でもいい。配信でもいい。

最初は何にもないかもしれないけど、そういう場所を作るだけで息抜きにもなるし、自分の捌け口を作ることはすごく大事。

周りの人全員に、本当の自分を見せなくちゃいけないってわけじゃないんですよ

からかってくる人には、何も返す必要なんてない。だって、いろんな多様性があるから

いしかわ

いしかわ

でも、自分らしく生きているとどうしても周りからいじられたりするじゃないですか。

たとえば、私もちょっとブログで発信したりすると「意識高くない?」って言われたり(笑)。

そういうとき、相手を嫌な気持ちをさせずにいい感じに返したいんですけど…
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

え~? 返す必要なんてなくない?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

まず、そうやって言ってくる人と対等に話し合いしようっていうのが時間の無駄です。

それに、隙を見せたらおちょくってくる人もいるけど、自信満々に過ごしてたら、相手もそういうことを言う気が起きなくなってくるから、堂々としてるのが一番。

だから僕も、何か言われても笑顔で返しちゃいますね。
いしかわ

いしかわ

りゅうちぇるさんも自分の発信でニュースになったり炎上しちゃったりするじゃないですか。

結構ひどいことも言われて、単純に悲しくなったりしないんですか?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

うん、全然傷つかないです。

僕も昔は、ちょっとだけでもいいからみんなに愛されたい、受け入れてもらいたいって思っていた時期がありました。でも、あることに気がついたんです。

「あっ!! でも自分だって普通に嫌いな人がいるな!」って。
いしかわ

いしかわ

!!
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

みんなが大好きなあのスーパースターでも、僕は実は嫌いなのー!みたいな(笑)。

だったら、僕のことを嫌いな人も絶対いるよねって。そこからもう、みんなに受け入れてもらいたいって考えなくなりました。誰かが嫌いってことも、それはそれでその人の個性でしょ?

何なら、僕は「自分らしく生きるのは無理」っていう生き方だっていいと思ってるんですよ
えっ、いいの?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

「りゅうちぇるみたいに自分は自分らしく生きていけないと思う。だけど、そんな自分だけど、りゅうちぇるの投稿をみてとってもハッピーになれるから、あなただけは自分でいてください」

ってコメント、実は結構もらいます。
いしかわ

いしかわ

りゅうちぇるさんが「自分らしく生きよう」と発信しても、どうしても生きられない人もいると。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

そう。

もちろん、その人が自分が見つけた居場所で自分が出せたらいいとは思うけど、それも含めて「ダイバーシティ(多様性)」だと思うんです。いろんな生き方があっていいよねって。ここまで散々自分らしさについて語ってきてアレだけど(笑)。

でも、そっちも認めないと、多様性じゃないから
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

だから否定的なコメントが来たときも、「そんなこと言うんだ…」とは思うけど、それは自由な社会だから、言う人がいて当たり前。

そこに人を傷つけない思いやりがあれば一番いいんだけど、でもやっぱりそれぞれの生き方・考え方があっていいと思うんです。
いしかわ

いしかわ

自分らしさを前面に出せないのも、また自分らしさというか。
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

そう。そんな考え方もあるんだって思えばいい。僕は、自分の子どもに「リンク」と名付けたとき、キラキラネームだと批判されました。

でも、僕にも「信号待ってる時に地べたに座っちゃう人、嫌だなぁ」みたいなものがあるように、その人にとってはキラキラネームが許せなかった。そういうふうに考えれば傷つかない。
いしかわ

いしかわ

最後にひとつ、聞いてもいいですか。

自分らしさを出しても出さなくても、誰にも受け入れてもらえないかもしれない。孤独になっちゃうかもしれない。

でも、この世界のどこかには自分のことを絶対に受け入れてくれる人はいると思いますか?
りゅうちぇるさん

りゅうちぇるさん

うん、絶対にいると思います。まずは自分自身が自分を受け入れる最初の1人になることが大事だけどね。 自分のことをいっぱい愛してあげてください。

その次に、そんなあなたを僕が受け入れます
〈取材・文=いしかわゆき(@milkprincess17)/撮影=長谷英史〉

お知らせ

出典Youtube
りゅうちぇるさんの新曲、「Diversity Guys!」が配信中。りゅうちぇるさんの大好きな80~90年代の世界観がギュッと詰まったポップなメロディーに、りゅうちぇるさんの原体験から来る強いメッセージが込められていて、アップテンポな曲調なのになんだか泣きそうになってしまいます。

りゅうちぇるさんに勇気をもらいたい方、「自分らしさ」に悩んでいる方はぜひ聞いてみてください。ポジティブなメッセージを受け取ったら、大嫌いな自分のことも、ちょっぴり好きになれるかも
Diversity Guys! by RYUCHELL

Diversity Guys! by RYUCHELL

RYUCHELL 3rd Digital Single「Diversity Guys!」好評配信中です!

公式インスタ限定で「あしたの記事」をチラ見せしてます!

新R25のインスタグラムアカウントを開設しました。インスタ限定で「#あしたの予告」をしていますので、読者の皆さまはぜひフォローをお願いします!

明日登場するのは…?