『「仕事ができるやつ」になる最短の道』著者に聞いた

採用のプロが教える「差がつく志望動機」。履歴書にはどう書く? 面接ではどう話す?

キャリア

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「転職したい!」と思って転職サイト転職エージェントを調べてみたりはするも、なかなか一歩踏み出せない転職活動。

なかでも私たちを悩ませてくるのが、選考を受ける会社の数だけ考えなくてはいけない「志望動機」。履歴書にどう書くか、面接でどう伝えるのか…。

「お、なんか優秀なヤツだ」と思われるようなイケてる志望動機の作法ってないのでしょうか…?

そんな淡い期待を持って話を聞きにいったのが、ビジネスマンに大人気のメディア「Books&Apps」の管理人であり、数多くの企業の採用支援を手がけた経験を持つ安達裕哉さん。

『「仕事ができるやつ」になる最短の道』(日本実業出版社)という本も出してる安達さんなら、転職市場で最短で内定を勝ち取る志望動機の伝え方、書き方を教えてくれるはず…!
【安達裕哉(あだち・ゆうや)】経営・人事・ITコンサルタント。ティネクト株式会社代表取締役。1975年東京都生まれ。Deloitteにて12年間コンサルティングに従事。大企業、中小企業あわせて1,000社以上に訪問し、8,000人以上のビジネスパーソンとともに仕事をする。現在は仕事、マネジメントに関するメディア「Books&Apps」を運営する一方で、企業の現場でコンサルティング活動をおこなう

転職で“テンプレ志望動機”をそのまま使うのは「僕は思考停止してます」と言っているようなもの

青木

青木

転職活動って、企業に合わせて志望動機を考えるのがめっちゃ大変じゃないですか。

なので、ついインターネットで検索すると、「こんな志望動機なら受かる!」みたいな必勝法がたくさん出てくるのですが…あれって信じていいものなのでしょうか。
安達さん

安達さん

あまりアテにはならないです。
青木

青木

えっ、ダメだったんですか。
安達さん

安達さん

“テンプレ志望動機”が面接官に与える印象は「凡庸」「型にはまっている」でしょう

そういうのが好きな会社もありますけどね。
青木

青木

プラスどころか、それじゃあむしろマイナスじゃないですか…!

履歴書の志望動機の書き方で気をつけるべきポイントとは

青木

青木

まずは志望動機の書き方から知りたいのですが…

テンプレがNGということは、書き方になにかテクニックがあるんでしょうか?
安達さん

安達さん

作法はあります。書類は対面と違って弁解の余地がないし、落とす理由を探しながら見られるので、ある意味面接よりシビアなんですよ

ポイントは以下の2つ。
<志望動機の書き方のポイント>

① 足切りされないためのフックをたくさんつくる

② 組織のニーズを想像し、必要とされているスキルをアピール

志望動機の書き方のポイント(履歴書)① 足切りされないためのフックをたくさんつくる

安達さん

安達さん

志望動機を含め、履歴書などの応募書類を書くときに重要なのは、とにかく具体的にたくさん書くことです。

書類で足切りされないためには、相手が求めている最低限のスペックを満たしてることを示さなくてはいけない。だから、興味を持たれる可能性がある項目は、できるだけ列挙するイメージで書くんです。
青木

青木

たくさん書くだけならできそうではありますけど、そんなんでいいんですか?

逆に情報過多になりすぎて読み飛ばされそうです…。
安達さん

安達さん

もちろん、ただたくさん書けばいいわけではないです。

自分というサービスを紹介するホームページ」をつくるイメージです。
ホームページに必要な要素をメモしながら考えるといいとのこと
安達さん

安達さん

仮に、青木さんが「プログラミングスクールに通いたい」と思ったとします。

ホームページを見て比較検討しようとしたときに、料金もサービス内容も、事例すら書いていないホームページだったら、そもそも問い合わせしないですよね。
青木

青木

間違いない。むしろ、こわいです。
安達さん

安達さん

「こういうプロジェクトに参加した経験から、貴社に興味を持ちました」というだけでは、魅力的なホームページにはなりませんよ。

そのプロジェクトでは具体的にどういうことを考え、どういう交渉があり、その結果なぜうちを志望したのか…という自分の考えの変化を詳しく書いてあげたほうが、「うちが求めている人に近いかも?」と面接官に思ってもらいやすい。

企業側が、応募者に問い合わせるためのフックをたくさんつくっておくのが重要です。

志望動機の書き方のポイント(履歴書)② 募集要項から推測したニーズに合わせてアピール

安達さん

安達さん

さらに応用編として、「その企業が人を採ろうと思った理由」を分析して、合致する志望動機を書ければベストです。
安達さん

安達さん

だから、志望動機を書きはじめる前に、まず応募する会社で何が起きているのかを想像しましょう。

中途採用しているということは、企業側には「人員が必要になった理由」があります。
青木

青木

ちょっと難易度が高く感じるのですが…。
安達さん

安達さん

たとえば、「IT業界で、受託開発メインだった会社が、中途でマーケティング専任のポジションを募集している」とします。この場合、どんなことが想像できるか。
青木

青木

マーケティングってことは…「自社開発商品に力を入れて、そこを強化していくのか?」と思います!
安達さん

安達さん

その可能性がありますね。そこから「つまりこの部署は新設かもしれない」と予想できる。そうなると、同じマーケティング経験者でも、部署の立ち上げに携わった経験や、新商品開発の経験があるほうが引っかかる可能性が高い
青木

青木

単純に募集職種の経験をアピールするのではなく、よりマッチするようにものをメインで書くと。
安達さん

安達さん

そうです。さらに余裕があれば、競合他社についても調べたほうがいいでしょう。その上で志望動機が書けると「この人はぜひ会ってみたい」と思われますよね。

志望動機のテンプレ例文を添削してもらった!

安達さんによると、志望動機の書き方のポイントは以下の2つでした。

① 足切りされないためのフックをつくる

② 募集要項から推測したニーズに合わせてアピール


今回は、よくWebサイトなどで「志望動機の良い例」として書かれている(であろう?)テンプレ志望動機を、安達さんに直接添削していただきました。

志望動機の例文①(人材系の営業事務から人材系営業への転職)

安達さん

安達さん

このテンプレ志望動機のままだと、「具体的」な部分まで落とし込めていないので、誰にでも語れそうな薄い内容になってしまっているのが残念なポイントです。

また、会社の理念に共感しているのは新卒であれば許されるとは思いますが、転職の場合、中途で「理念に共感しているだけ」なのはあまりにも薄っぺらい印象を覚えます。

いずれにせよ、自分が今までしてきたことや、今後何をしていきたいのか、「具体的に」説明しなければ、何も相手には伝わらないでしょう。

志望動機の例文②(受託開発企業のエンジニアから自社プロダクト開発ができる企業への転職)

安達さん

安達さん

こちらも同様に、具体性に欠けていますね。せっかくアプリを作る経験があるような側面を見せているのに、果たして「どのくらい」のスキルなのか、ここがわからないとフックにはなりません。

「面接で聞かれたら詳細を答えれば良い」と思うかもしれませんが、実際に作った制作物や習得したスキルに関してはもう少し触れたほうが、書類選考もより通りやすくなると思いますよ。

ただ志望動機を答えるだけじゃ不十分。優秀さを示す“メタ情報”でアピールすべし

青木

青木

書き方がわかったところで、面接での志望動機の伝え方についても知りたいです。
安達さん

安達さん

多くの人は「転職の面接で見られていること」を勘違いしてます。

そもそも面接官は、「志望動機」の内容は、あまり重視していません。真偽の判定が難しいからです。嘘をつかれてもわからない。

見ているのは、質問に対する回答を通した、その人物の“メタ情報”です。それであれば、その場で判定ができます。
青木

青木

メタ情報、ですか?
安達さん

安達さん

そう、こんな感じです。
〈メタ情報〉

✔説得力がある話ができるか(コミュニケーション力、交渉力)

✔自分の考えを適切に表現できるか(プレゼンテーション力)

✔面白い話ができる人物か(ユーモアのセンス)

✔どの程度の業界のことを調べているか(調査・分析力)

✔話の筋が通っているか(論理的思考力)
青木

青木

「志望動機」と一言で言っても、こんなにさまざまな観点から見られてるんですね。伝える内容は、これらを見てもらうための手段でしかないのか…

でも、これ全部を志望動機でアピールするのは難しすぎませんか?
安達さん

安達さん

もちろん全部をカンペキに満たすのは難しいですが、どんな人でも自然にメタ情報でアピールできるテクニックがあります。

大事なのは面接で“会話”をすること。つまり、双方向なコミュニケーションの場にすればいいんです。
青木

青木

(すればいいんですって…いや、全然ピンとこない)

面接はただ自分を理解してもらう場ではない。大事なのは、面接官の要求を探ること

安達さん

安達さん

面接を「自分のことを話して、面接官に理解してもらう場」だと思っている人が多いですよね。でもこれ、本当は逆なんです

面接官にどんどん語らせて、自分に何を要求しているか察知できたら勝ち。その要求に合わせて、提供するメタ情報をカスタマイズすればいい。
青木

青木

その場でニーズを探る意識はなかったです…

でも、どうしても面接だと質問者と回答者は固定されがちですよね。会話って、どうすればいいんでしょうか。
安達さん

安達さん

そんなに大層な話でもないのですが、3つほどポイントがあります。

それぞれ解説しますね。

面接での“志望動機攻略術”① とにかく質問する

安達さん

安達さん

一番効果的なのは「質問すること」です
青木

青木

面接では一番最後に「何か質問はありますか?」って必ず聞かれますよね。その時にするってことでしょうか?
安達さん

安達さん

違います。「志望動機を教えてください」と言われた時に、逆にこっちから質問してしまうんです
えっ、そんなのアリなの…
安達さん

安達さん

以前、私が出会った方で、面接官が転職したい理由を聞いたところ、「『前の会社をやめよう』と思った理由と『違う職に就きたい』と思った理由の、どちらから話したほうがよいですかね?」と面接官に質問してきた人がいました。
青木

青木

おお! 逆質問してる!
安達さん

安達さん

こういう質問をされた時点で、面接官は「お、なんか面白そうな人だな」って思いますよね。
青木

青木

たしかに。この返しはテンプレにはありませんね(笑)。
安達さん

安達さん

ほかにも、「今の御社の状況だと、こんな課題がありそうだとおもってますが、いかがでしょう?」って聞いちゃうとか。

ハズしても、相手から情報を引き出せるし、それに対して相手が乗ってきたら、その流れで「その課題に対し、私はこういう点で貢献できると思い志望しました」と伝える。

そうすると会話の中で志望動機も伝わるし、コミュニケーション力も感じ取ってもらえます。まあ、これは簡単ではないですけどね。

面接での“志望動機攻略術”② 会話のきっかけになる意外な入りをする

安達さん

安達さん

質問するのが難しい場合は、「意外な入りをする」ことを意識するのもいいでしょう。

要は、できるだけ早く一問一答の“面接状態”から抜け出して、面接官と“会話”するきっかけをつくることが大事なので。
青木

青木

会話のきっかけですか…
安達さん

安達さん

たとえば、「今日は、事前に志望動機を考えてきたのですが、実際に会社の雰囲気をみて考えが少し変わりました」って先に言ってみる。
青木

青木

あー、たしかに! そう言われたら、面接官は「どう変わったんですか?」と聞きたくなりますね。
安達さん

安達さん

そうそう。自分が会話のボールを持ったら、面接官の心のなかに引っかかりをつくれば、そこから自然な会話が生まれます。

その流れさえつくってしまえば、面接は楽しいやり取りの場になる。
安達さん

安達さん

ほかにも例をあげるとすれば、「今朝のプレスリリースを拝見して、こういう風に感じました。前から思ってたことと今日のリリースを見て思ったことは違いますけど、一貫しているのはこういう部分ですよね? やはりそこが御社の魅力だなと」とか。

そうすると、「あのプレスリリースはね~」とか「そうそう。うちが重視してるのは~」というような感じで、相手が話し出すきっかけをつくれますよね。

面接での“志望動機攻略術”③ 面接官の人物像に合わせて準備する

安達さん

安達さん

これは面接本番ではなく、準備の話になりますが、事前に面接官の情報を集めておくのも重要です。

どうしても入りたい企業であれば、どんな人が面接官なのかを口コミやSNSからリサーチして、その人に刺さりそうな志望動機を用意しておくといいです。
青木

青木

でも、事前に面接官がわからないことも多いと思うのですが…
安達さん

安達さん

だいたい面接官として出てくる人って、人事担当者現場のボスのどちらかなんですよ。

人材会社の担当者が知っているケースも多いので、聞いてみてはどうかと。事前に把握できない場合は、どちらのパターンも準備しておいて、その場で話すことを微調整するのがいいでしょう。
青木

青木

なるほど。たしかに、そのくらいなら準備できますね。
安達さん

安達さん

人事は、「現場の責任者に評価される人を送りたい」という思いが根底にあるんです。なので、現場に「なんであんなやつ通したんだよ」と言われないように、外形的なスペックを重視して判断をすることが多い

華やかな経歴や実績が、現場に納得してもらう材料になりますから。
安達さん

安達さん

なので、プレゼンとしての難易度は、相対的に低いですよね。ただ、面接なれしているので、話がわかりやすくないと切られちゃいますが。
青木

青木

では、②の「現場のボス」が出てきた場合はどうアプローチするのが有効なんでしょうか?
安達さん

安達さん

ボスの場合は、まさに面接している人をほしがってる“張本人”なので、それを逆手にとって率直に聞いちゃうのがいいと思います。

たとえば…
応募者「今、かなりお忙しいと聞いていますが、人も足りていないのでしょうか?

面接官(現場のボス)「まぁ人が足りないわけではないですけど…」

応募者「なぜ募集を?」

面接官「今後、プロジェクトで▲▲ができる人が欲しいからです。」

応募者「そのニーズに合致するかわからないですけど…ちょっと私にできそうなことをお話ししますね」
青木

青木

うまい(笑)。これならすぐに使えそうです。

企業が面接をする理由は「気が合うかどうか」を確かめたいから

青木

青木

今日のお話を聞いて、志望動機は相手のニーズを考えて伝える必要があるんだとわかりました。まさに、コミュニケーションそのものなんですね。
安達さん

安達さん

そうです。そもそも、企業がわざわざ面接をして採用するのって、シンプルに「この人と働きたいか、働けるか」を確かめたいからなんですよね。

だから志望動機の内容よりも、それをきっかけとして伝わる人物像のほうが大事
青木

青木

だからこそ、面接官と会話するべきということなんですね。
安達さん

安達さん

そうです。面接官の反応を見て「この人のニーズをどうすれば満たせるのか?」と瞬時に考えられるのが、仕事においては優秀な人なんです。

それは、どんな職種や仕事であっても活かせるスキルですから
イケてる志望動機を求めて取材をお願いしたのですが、それ以上に、そもそも「デキる人とはどんな人か」まで知ることのできた時間でした。

面接で本当に大切なのは双方向のコミュニケーション。独特な空気感にのまれて固くなりがちな人も、肩の力を抜いて面接官とのコミュニケーションを楽しむくらいがいいのかもしれません。

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