新R25に出てから、どんな変化がありました?

新R25が上場への第一歩に。復帰インタビューが話題になった槙野光昭氏の“その後”を取材

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記事を制作するとき、新R25では大切にしていることがあります。それは「記事で取り上げる人(取材対象者)にも読者にも、ポジティブな影響を与えること」。

そんなメディアのモットーが実現できているかをたしかめるためにスタートした連載「After 新R25」。これまで新R25に登場していただいた方々に、記事の反響やその後の変化についてインタビューしていきます。

第1回に取材するのは、美容室「ALBUM」のオーナーである槙野光昭さん

創業したカカクコムが急成長するなか20代にして突如リタイアした槙野さんが、再びビジネスの世界に戻って来るまでの軌跡は大きな反響を呼びました。
そんな新R25の記事は槙野さんのビジネスにどんな変化をもたらしたのでしょうか? “その後”を取材してきました。

〈聞き手=渡辺将基(新R25編集長)〉
【槙野光昭(まきの・みつあき)】1973年7月29日東京都生まれ。大学卒業後、パソコン周辺機器メーカーで営業に携わる。退職後の1997年『価格.com』の前身となるサイトを開設。同サイトが成長を続ける中、2001年、28歳という若さで会社を売却。2014年に美容室『ALBUM』を創業し、業界に旋風を巻き起こしている

Yahoo!ニュースのランキングで1位に「公開日に飲み屋で声をかけられました」

槙野さん

槙野さん

記事が公開された日、Yahoo!ニュースの総合ランキング1位に僕の記事があってビックリしました。

あの日は某重大ニュースがあったんですけど、まさかそれより上にいるとは(笑)。
渡辺

渡辺

知り合いからも連絡が来たりしましたか?
槙野さん

槙野さん

すごかったですよ。親戚一同から「見たよ」って連絡が殺到して。

しかもその日、夜に飲み会があったんですけどね、会計してるときに「記事読みましたよ」って声をかけられたんです。
「そんなことはじめてでしたよ」
槙野さん

槙野さん

これまでメディアには何度か出たこともあったんですが、反響でいうと過去最高でしたね

SNSでもかなり拡散して、堀江(貴文)さんや藤田(晋)さんも記事をシェアしてくれたんですよね。面識はなかったので驚きました。
渡辺

渡辺

カカクコムを辞めてから槙野さんの存在はベールに包まれていて、復帰後に大きく露出するのも初めてだったのでインパクトがあったんだと思います。
槙野さん

槙野さん

先日、ホリエモン祭りにゲストとして出させてもらったのも記事がきっかけです。

僕は記事をツイートしてくれたお礼が言いたくて、堀江さんに会いに行ったようなもんですけど(笑)。

広報求人に30〜40人の応募。来店する客層にも変化が

渡辺

渡辺

記事の最後に広報の求人情報も掲載させていただきましたが(※現在は削除)、応募はありましたか?
槙野さん

槙野さん

めちゃくちゃきましたよ。1週間で30〜40人くらい
渡辺

渡辺

お〜、そんなに来たんですか!
槙野さん

槙野さん

それだけじゃなくて、実際に美容室に来てくれるお客さんも増えたんです。

現場から「最近、新R25読んだっていうお客さんが多いです」って言われて。
渡辺

渡辺

実際の来店にもつながったんですね。うれしいなぁ。
槙野さん

槙野さん

これまでとは違う層の方々にお店に来てもらえるようになりましたね

新R25を読んで来てくれる人って、ビジネスとしての「ALBUM」に興味を持っている人なので、僕たちが日頃相手にしている「Instagramが大好きな女子」とはまったく違う層で。

美容には興味がない人も来てくれるようになって、新しい来店導線になってますね。

新R25は漫画のような読みやすさ。「これは好感度が上がってしまうな」と思った

槙野さん

槙野さん

でも正直に話すと、取材時は「どうせそんなに読まれないだろう」と思ってたんです…申し訳ないんですけど(笑)。

だから、取材中も「言っちゃえ、言っちゃえ」と思っていて
渡辺

渡辺

新R25としては、「引退後に配当だけで毎月250万円」みたいなオープンにするのをためらいそうな情報も、公開OKをいただけたのがありがたかったです。

今の時代、ありのままを伝えた方が、結果的に読者からの好感度が上がるという確信があったので。
槙野さん

槙野さん

実はね、渡辺さんから原稿が送られてきたとき、僕も同じことを感じました。「これは好感度上がっちゃうな」と(笑)。
渡辺

渡辺

(笑)。実際どうでした?
槙野さん

槙野さん

批判なんてまったくなくて、いい反応ばっかり。渡辺さんの狙い通りということで(笑)。
渡辺

渡辺

よかったです!
槙野さん

槙野さん

でもやっぱり、新R25って面白いですよね。あっという間に読めちゃうというか。
「いいですよね、この連載も」マネ凸ポーズをする槙野さん
槙野さん

槙野さん

特に今は、記事もスマートフォンから見る場合がほとんどじゃないですか。それで文章だけがずっと続くページだと、無意識に読み飛ばしちゃうんですよね。

ただ、新R25の記事はボリュームがあっても、会話調で写真が豊富だからか、漫画みたいに読めちゃう感じがあります
渡辺

渡辺

記事の読みやすさや没入感にはかなり細かいこだわりを持ってつくっているので、それは一番欲しかったコメントです(笑)。

ネット業界に認知され、新R25の記事が上場の第一歩に

槙野さん

槙野さん

こうやって美容業界を越えて注目してもらうというのは、仮に自分が発信を頑張ったとしても難しかったと思うんですよね。

だから、新R25に出てチャンスをもらってからは自分もどんどん表に出るようにしています。それが事業にも良い影響を与えるとわかったので。
渡辺

渡辺

今後槙野さん自身がメディアに出ていくのは、ビジネス的にもメリットが大きそうですよね。
槙野さん

槙野さん

はい。イベントに出たときも感じたんですが、ALBUMとして新しいブランディングができた気がします。

これまで、ALBUMの看板って「NOBU」(ALBUMの人気スタイリスト)とか「Instagram」だったんです。

新R25に出てからは、そこに「カカクコム創業者の槙野」がプラスされるようになりました
渡辺

渡辺

認知の生態系が変わったと。
槙野さん

槙野さん

はい。ファッション業界でも、『VOGUE』に取り上げられると一気にその年の流行になって、各種ブランドのコレクションに反映されるみたいな流れがあるじゃないですか。

ビジネス界も同じで、「Twitterで話題になるとこういうコミュニティに認知してもらえるんだ」ってことを学びましたね。
槙野さん

槙野さん

実は、あの記事を読んだ某証券会社の方から「事業について詳しく教えてください」と連絡がきて、そこから実際にいろいろと動き出しているところなんです。

だから、新R25が上場に向けた第一歩になってるんですよ
渡辺

渡辺

ホントですか!? ファイナンスの面でも後押しもできたというのはうれしいです。

今後ビジネスのケタを変えるポイントは、全店に導入している“アプリ”

渡辺

渡辺

前回の取材時には「5年以内の株式公開(上場)を目指す」とおっしゃっていましたが、今後はどこがポイントになりそうですか?
槙野さん

槙野さん

現在ALBUMの全店舗で導入しているアプリですね
渡辺

渡辺

アプリ?
槙野さん

槙野さん

お客さん、スタイリストの両方に専用のアプリがあるんです。お客さん側のアプリには、自分のこれまでのヘアスタイルの一覧が写真で表示されています。

スタイリスト側には担当顧客の一覧が表示されていて、ここからお客さんと話した内容を登録できたり、自分に対する評価が見れたりします。
スタイリストが使用するアプリはかなり細かなデータが分析可能になっています
槙野さん

槙野さん

ここには、対面で接客した情報や写真など、貴重なマーケティングデータが詰まってるんですよ。

ちょうど今、このデータを生かした新しい機能やサービスを検討しているところです。たとえばEC機能とか
渡辺

渡辺

なるほど。このアプリをきっかけに、サロン以外の事業でもバリュエーションをつけていくと。
槙野さん

槙野さん

はい。この前の取材でも話しましたが、美容業界って上場している会社でも時価総額50億円くらいしかないんですよ。ただ、サロン事業単体だとそれが限界だと思ってます。

だから、新R25にもらった勢いで上場するまでに事業の掛け算をして、数字がグーンと積み上がる状態をつくりたいですね
日頃自分たちの担当した記事が公開されるたびに、PV数やSNSのコメントを見ながら一喜一憂している新R25編集部。

実際にこうして「どんな変化があったのか」をお伺いできると、記事制作にかける想いも一段と引き締まります。

新R25では、今後も取材した人たちの“その後”に密着していきたいと思います
槙野さん、ありがとうございました! 今後のビジネスが加速することを願っております。
〈文・撮影=宮内麻希(@haribo1126)〉