不思議ビジネス案内所

第8回 “剥製師”ってどんなお仕事? 後編

2010.01.29 FRI

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これが剥製づくりの現場! ハサミやペンチがぶら下がっていて、工作室のような趣。キョーレツなニオイなどを覚悟していたのですが、ニオイは全く気になりません。1滴の血も出さずにインコを解体する技は、アートの領域です! 【取材協力】アトリエ杉本

まるでアート! 剥製師の華麗なる技



前回からご紹介している「剥製師」のお仕事。
今回は剥製づくりの現場をレポートします!
現場を見せてくださったのは、前回に続き「アトリエ杉本」の杉本恵司さんです。

アトリエに入る前、「キミ、内臓見ても大丈夫?」
と聞かれ、一瞬ひるんだものの、カメラ片手にいざ、アトリエ内へ!

剥製づくりのアトリエというからには、メスやら針やらが並ぶ手術室のようなところかと思っていたのですが、意外にもフツーのデスクが2つあるだけです。

まず杉本さんが冷蔵庫から取り出したのは、全長約10cmのインコ。
[遺骸が送られてきてすぐに作業できないときは、いったん冷凍して、作業する直前に自然解凍します。剥製づくりは遺骸の鮮度が大切。亡くなってから常温で時間が経ってしまうと、腐敗が進んで形が悪くなりますからね」

と言いつつ、杉本さんは彫刻刀のような小刀で胸を開いていきます。
う~ん、鮮血のしたたる衝撃の瞬間…!
…と思いきや、血は1滴も出ていません。

「胸の皮膚の下と内臓や骨を覆っている横隔膜の間にメスを入れれば、内臓に傷をつけることもないし、血も出ないんですよ。皮を剥ぐときも、切れ切れにしてしまうとその分縫い目が増えてしまうので、できるだけ1枚でペロンと剥がせるように細心の注意を払います」 なんとも芸術的な手さばき! 手のひらサイズの小さなインコの皮をするすると剥がして、中身を取り出していきます。

その後、くちばしや足、眼球など、細かい部分も綺麗に取り、30分ほどで、インコちゃんは皮だけに…。ところで、取りだした内臓や骨はどうするんですか!?

「内臓や頭の骨は、この鳥が生前どんな姿形をしていたのかを知る材料なので、大切に保管します。これらの形を参考に胴体部分や頭のなかにつめる「木毛」(もくも)を作ることで、より生前の形に近いものを作ることができるんです」

剥製師さんには、手先の器用さに加えて、鋭い観察力も必要なんですね~。
で、皮だけになったインコちゃんは、この後防腐のための薬剤に漬けられて、内臓や頭骨の形を参考に作った胴体を入れ、皮をかぶせたり、義眼や足、くちばし(これも作りもの)をつけたりと、約1カ月で剥製になります。
現場を見学した後に、改めていろいろな剥製を見てみると、同じ種類の動物でもそれぞれ体型や表情が違うことがわかります。こうした個性まで詳細に再現するのが、剥製師さんの腕の見せ所なんですね。

剥製づくりの現場と聞いて、血がしたたる恐ろしい光景を想像していたのですが、実際の剥製づくりは、どこまでも繊細でまるでアート製作のアトリエのような現場でした。 気になる仕事、珍しい職業をご存じでしたら、右下の投稿ボタンを押して投稿してください!

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