オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

キャラが立ってないとダメですか?

2010.02.04 THU


『キャラ化する/される子どもたち』土井隆義/岩波ブックレット/504円
過剰なキャラの演じ合いは生きることを窮屈にする

僕らは日々、場に応じていろんなキャラを使い分けて生きている。職場で上司や同僚に見せるキャラと、友人同士の集いで見せるキャラとが違うことだって当然あるだろう。
本書はそうした「キャラ」をキーワードとして、若者のメンタリティや人間関係のあり方を考察したものだ。著者によれば、現代の若者は、「グループのなかで互いにキャラが似通ったものになって重なりあうことを、『キャラがかぶる』と称して慎重に避けようと」する傾向が強いという。
そこには価値観の多様化が一役買っている。価値観が多様化すると、自分と合う人間を見つけづらく、人間関係が狭い範囲で固定化されやすい。また、自分の価値観にも自信が持てないので、仲間にウケるコミュニケーション能力が、自己評価の重要な材料となる。そのためには、場の空気を読んで仲間のキャラに配慮しながら、自己を演出しなければならないというわけだ。
だが、何事も行きすぎは危険。著者は、人々が過剰にキャラを演じ合ったり、場の空気に敏感になりすぎることで、社会全体が、同質の人間で固まりがちになることを危惧している。それは結果として、個人の生き方を窮屈にしてしまうからだ。
即効性のある対人関係術を説いた本ではない。でも、本書の効能は場の空気ではなく、“時代や社会の空気を読む力”を授けてくれることにある。
そうやって遠い地点から自分を客観的に眺めることは、凝り固まった人間関係をほぐすきっかけにもなるはずだ。

  • さまざまな生き方、さまざまなキャラ

    『にじんだ星をかぞえて』
    上原 隆/朝日文庫/693円

    難病と闘う夫婦、ピンチをチャンスに変えたりんご農家、あきらめないボクサー…。老若男女の悩みや苦しみから喜びまでが綴られたノンフィクション・コラム集だ。どれひとつとして似たものがない人生の場面の数々。そこからはそれぞれの人の個性がくっきりと浮かび上がっている。案外、キャラなんて無理しなくても自ずとできるものなのかもしれない。
  • ダメな男だ、こりゃ。

    『こんな男は捨てられる』
    山崎世美子/ソフトバンク新書/798円

    1万人以上もの女性の相談を受けてきた恋愛・離婚カウンセラーが、男たちへ優しくも厳しいダメ出しを行う! ページをめくれば、過去の栄光にすがる男、姑息な浮気をする男、待っているだけの男などなど、真似してはいけない事例のオンパレードだ。こんなキャラになってはいけない反面教師として読むべし。人のキャラ見て我がキャラ直せ、ということですな。
  • あなたの看板は何ですか?

    『自分ブランドの教科書』
    藤巻幸夫/インデックス・コミュニケーションズ/1575円

    最初からキャラが確立できている人なんてそうはいない。だからこそ「自分ブランドはいかにして築けるか」を本書で考えよう。己の武器となる得意分野をつくり、センスに磨きをかけ、自身を表現していくのだ。無論、最初からうまくはいかないだろう。でも、場数を踏んでこそ、自分の特性も見極められる。そこで改めて自分のキャラが見えてくることもあるのだ。
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キャラが立ってないとダメですか?

※フリーマガジンR25 257号「R25的ブックレビュー」より
斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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