不思議ビジネス案内所

第10回 方言を操る方言指導の専門家 後編

2010.02.12 FRI

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東北弁への方言訳中の、ドキュメンタリー映画『弁護士 布施辰治』の脚本。「薪」に「タギギ」と読みがながふってあったりします。読みがなどおりに読むと、自然と東北弁っぽく読めるのでお試しを!

長い現場は年単位!? 方言指導の実際



前編では、脚本作りから演出まで携わる「方言指導」というお仕事の大変さに驚かされました。後編では「方言指導」で生活していくことが可能なのか、検証していこうと思います! お話を伺ったのは、前回に引き続き、日本俳優連合の「ドラマの方言を考える会」で世話人を務める冨田祐一さんです。

ひとつの作品につき、方言指導が携わるのはどれくらいの時間なんですか?

「映画なのかドラマなのか、地方ロケなのかスタジオなのか、制作条件でまったく変わってきます。2時間程度のドラマなら1週間~10日程度で仕事が終わることもありますし、映画なら撮影中に脚本が変わることも多々あるので、数カ月~年単位でかかりきりになることも」

年単位! そういった現場では本業の役者で稼ぐかたわら、方言指導の仕事をする、というわけにはいきませんよね。ズバリ、「方言指導」のひと仕事あたりの収入はおいくら?

「一応、30分番組を基準に“指導料”の基本料金が設定されています。そこには方言の調査・方言訳・台本直し・セリフの録音までが含まれ、経験や年齢によって5~8万円程度にランク分けされます。ただし、制作するテレビ局や会社によって料金にはバラつきがあり、現場指導の有無やその指導人数、地方ロケの有無などでも変わります」

となると、方言指導の仕事だけで生活していくというのは…? 「そういう人も日本に数人いますが、かなり稀なケース。定期的に必要とされる仕事でもありません。たとえば私が映画で半年拘束されたら、その半年間は方言指導だけで食べていけますが、同世代のビジネスマンほどは稼げませんね(苦笑)。でも、“方言指導”は作品に深みを持たせ、セリフに温もりを与える仕事。『かわいいね』と言うより、方言で『めんけぇなぁ』と言った方が、確実に人の心に届く言葉になると思うんですよ。私を含め方言指導の仕事をする人間の多くは、そういうやりがいを糧に働いているんでしょうね」

自分のなまりを「ちょっと恥ずかしい」と思っている人は多いはず。特に私のように東京で生活していると、標準語イズベスト! な気がして、方言を必死で直そうとしたりしますよね。

でも、冨田さんのお話を伺っていたら、方言の底力のようなものを感じ、ちょっとだけ自分のなまりが愛しくなってきました。これからは堂々と、京都なまりで取材に出かけようと思います! 気になる仕事、珍しい職業をご存じでしたら、右下の投稿ボタンを押して投稿してください!

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