オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

明治・大正・昭和史ってこんなに面白かったの!?

2010.03.04 THU


『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 加藤陽子/朝日出版社/1785円
次々と立ち現れる新しい
歴史像に大興奮

のめりこむように、読み通してしまった。本書は、日本近現代史を専門とする東大の加藤陽子教授が、中高生を相手に、日清戦争から太平洋戦争までの歴史を講義した内容をまとめたものだが、つかみの序章がじつに上手い。
講義を始めるにあたって、加藤教授は歴史の面白さを伝えるために、9.11のアメリカと1930年代後半の日本との共通点を指摘する。両者ともに、戦いの相手を戦争の相手としては捉えずに、「あたかも警察が悪い人を取り締まるかのような感覚でとらえていた」のだと。さらに、リンカーン演説の「人民の、人民による、人民のための」と日本国憲法前文とを結びつけて、「巨大な数の人が死んだ後には、国家には新たな社会契約、すなわち広い意味での憲法が必要となる」と、戦争の根本的な特徴をえぐり出す。
こうして肩を温めた後は、いよいよ本論。紋切り型の「侵略・被侵略」ではなく「日本と中国が競い合う物語」として日清戦争前夜の日中関係を捉えてみる。日本の犠牲者数が少なかったにもかかわらず、第一次世界大戦後に危機感が高まった理由を考察する等々、最新の研究成果をおりまぜながら講義は進む。夢中になって読んでいるうちに、教科書の記述からは見えてこない歴史像が次々と立ち現れてくる。
中高生だからといって手加減せず、本質的な歴史の問いを次々と投げかける加藤教授にも感銘を受けた。これならベストセラーになるのも納得。暗記科目としてしか歴史を勉強しなかった人たちにこそ読んでもらいたい。

  • 泣くよウグイス、平安京♪

    『もういちど読む山川日本史』
    五味文彦、鳥海 靖(編)/山川出版社/1575円

    日本史の教科書と聞いて、暗記に苦しめられたつらい体験を思い出す人は多いだろう。でも意外にも、いま読むとこれが新鮮で面白いのだ。しかも学校の授業ではないから、大河ドラマの舞台でもある幕末から読んでみるとか、好きな時代から読めるのも魅力的。当たり前のように僕らが生きている現代社会は、どのようなプロセスを経て出来上がったのかがこの本で一望できるぞ。
  • 不良少女と呼ばれて

    『明治 大正 昭和 不良少女伝』
    平山亜佐子/河出書房新社/1995円

    恐喝や暴力などで東京を震撼させた恐るべき少女たちの記録──と言っても、これは今の暴走族やヤンキーの話などではない。この本が扱っているのは、明治から戦前にかけて不良少女が起こした事件の数々なのだ。街を闊歩した彼女たちの姿には、まさにその時代が刻印されている。政治中心の歴史とはまた異なる、生々しい過去のレポートとして読まれたし。
  • 昭和をおぼえていますか

    『イカす大人の「昭和力」検定』
    石原壮一郎、神田憲行/日本放送出版協会/1260円

    太陽族、美空ひばり、フラフープ、輪島功一、浅間山荘事件などなど…。本書で次々に登場する昭和を彩った人やもの、トレンドを君はどれほど知っている? ひと昔前のことは誰もが忘れてしまいがち。でも、その時代から引き出せる知恵や経験までをも捨て去るのはもったいない! この検定で己の昭和力を試したうえで、そのエッセンスを平成力にも生かしてみよう。
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明治・大正・昭和史ってこんなに面白かったの!?

※フリーマガジンR25 259号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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