給料upも期待できるというけど…

法人税率を引き下げるとホントに景気は良くなるの?

2010.07.15 THU



写真提供/AFLO
法人税の税率引き下げが話題になっている。不況で税収が減り、消費税の増税が取りざたされているこのご時世に企業だけ優遇?という声もあるが、なぜ今、引き下げなのか。

実はこの10年ほど、世界規模で法人税率の引き下げ競争ともいえる事態が起きていた。80年代には30%を超えていた法人実効税率を、今や18%にまで下げたのはシンガポール。ドイツも08年に約39%から約30%に。対して日本は約40%。これは、25・0%の中国、24・2%の韓国と比べてもかなり高い。

なぜ海外で、法人税率引き下げが行われたのかといえば、ひとつは引き下げが企業誘致につながるから。グローバル化を進める企業は、自社に最も効率のいい場所に拠点を置くことを考える。法人税率の低さは大きな魅力だ。逆に税率の高い国からは、企業が逃げ出してしまいかねない。

また、税率が低ければそれだけ利益は大きくなり、企業はそれを設備投資や研究開発に回せる。自国企業の国際競争力アップにもつなげられるというわけだ。実際、液晶テレビなどで日本メーカーと火花を散らしている韓国・サムスンの利益が、日本の全電機メーカーの利益を全部足したものよりも大きいという報道があったが、これには税率の違いによるところも大きいのだ。

そしてこの法人税率の引き下げは、個人や家計にもプラス効果が期待されている。設備投資が増えれば、それを担う企業の売り上げ増につながる。また、企業の利益が増えれば、賃金アップにも期待が生まれる。

経産省は、日本の法人実効税率を25~30%へ引き下げることを提言している。5%の引き下げで税収は1兆円減るが、企業の設備投資の活性化などで経済成長が押し上げられ、3年間で2兆1000億円の増収効果が期待できるという試算を出した。だが一方で、日本企業で法人税を払っているのは大企業で半分、中小企業では3分の1程度で、引き下げ効果はそれほどない、という声も。いろんな意見の出てくるこの議論、勉強になる。
(上阪 徹)


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト