ボクらの税負担は軽くなるの?

消費税10%論議の切り札? 「軽減税率」の賛否両論

2010.08.05 THU



写真提供/時事通信社
先の参院選前に急浮上した消費税10%論議。海外の先進国では、日本の消費税にあたる付加価値税は2桁が当たり前だし、社会保障費の財源確保が急務なのもわかるけど、10%は正直痛いと思う人も多いのでは?

そんななか、菅首相が提言しているのが「軽減税率」の導入だ。海外ではよく見られる措置で、食料品など特定の生活必需品の税率を引き下げ、低所得者の税負担を和らげようというもの。これだけ聞くとありがたく思えるが、実は問題点も多いという。各国の税制に詳しい中央大学法科大学院の森信茂樹教授に話をうかがった。

「課税する品目、しない品目、税率を軽減する品目を合理的に決めることが困難なんです。海外では食料品の税率がゼロの国もありますが、そういう国でも飲食サービスには税金がかかります。たとえばカナダではドーナツを販売する際、その場で食べるか持ち帰るかで税率が違い、5個までならその場で食べる飲食サービスとして標準課税、6個以上なら持ち帰る食料品としてゼロ課税なんです」

こうしたケースは他国でも見られるという。

「イギリスでは、ビスケットはゼロ課税なのに、チョコレートがかかっただけで高級品として標準課税になります。また、温かいものには標準課税、冷たいデリカテッセンはゼロ課税のため、課税される側の業界から不満が出て、課税の“線引き”をめぐって訴訟が起きるケースもあるんです」(同)

イギリスの付加価値税の税率は17.5%。たしかにこの税率が価格に反映されるか否かは、消費者はもちろん企業にとっても売り上げに響く大問題だ。

「海外で見られるような問題は日本でも当然起こり得ますし、政治家が業界の利益を代表しがちな日本では、軽減税率対象をめぐっての陳情合戦も予想されます。混乱は避けられないでしょうね」(同)

現状、10%への税率UP自体が仮定の話でしかないが、国民の理解を得られたとしても、運用面での問題が山積みだ。
(山口 学)


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