日常に潜む仕草のモテポイントを解説!

鍋でモテるは、静かに美しく食す 鍋侍なり

2010.12.09 THU

モテリーマン

鍋のとき重要なのは、いかに食すかである。基本的に使うのは箸のみ。音もなく豆腐をすくい上げ、マロニーを「トゥルン」となることなく、手元のポン酢まで迎える。その 箸筋 は、手錬の武士のように無駄がない。
鍋で誰もが想像するのが奉行だが、これがクセ者。ひとつの鍋に対して複数の鍋奉行が存在する場合がある。そのとき、奉行は武将へと進化。すると、鍋という領地を求めて、鍋武将同士の争いが起こってしまうのだ。ウマイ鍋のための努力は怠るべきでないが、覇権のためのそれは醜いだけである。
ここで、静かに清潔に具をすくい、食す男が注目を集めることはいうまでもない。食する以外の仕事はふたつ。まず、煮えたぎった鍋のフタを素手で取ること。繊細なだけでない豪胆なところを見せるのだ。そして鍋の灰汁取り。灰汁と称して、旨味成分までもすくい取ろうとするエセ奉行から鍋を守るのだ。座敷に一歩足を踏み入れた段階から、灰汁用オタマの所在だけは確認しておきたい。

※フリーマガジンR25 25号「プチスマートモテリーマン講座」より

  • 実は熱くない鍋のフタ

    もうもうと湯気があふれ、魅せる演出に満ち溢れたフタ開けの儀。開けた後、内部の水蒸気でテーブルがびちゃびちゃにならぬよう、仰向けに置こう
  • 箸のみですくう美しさ

    豆腐もマロニーも、しずくを垂らさずすくえるのがモテリーマン。どころか、汁の雑炊までも箸のみで完食。その動きは見ているだけでも爽快だ
  • 人間を知る男だけが灰汁を…

    完全に澄みきった雑味のないダシは、上品だがパンチにかける。適度に旨味を残しつつ灰汁をすくえるのは、酸いも甘いも嗅ぎ分けた人生経験豊富な男だけ
鍋でモテるは、静かに美しく食す 鍋侍なり

武田篤典(steam)=文
text ATSUNORI TAKEDA
Shu-Thang Grafix=絵
illustration SHU-THANG GRAFIX

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