15年ぶりに1ドル83円台のナゾ

日本経済は先行き不安なのにどうして“円高”なのか?

2010.09.02 THU



写真提供/時事通信社
8月24日のニューヨーク外国為替市場では一時、1ドル83円台に突入、円高が15年ぶりの水準まで進行した。だけど、国の借金が900兆円を超え、景気回復を実感できない日本の通貨が高値になる理由が今ひとつピンとこない。

「今は円高というよりドル安ですが、それを差し引いても最近の円高傾向は市場関係者も疑問に思う人が多い。そこで“強いていうと消去法的な円買い”といった答えになるわけです」と教えてくれたのは、みずほ証券のマーケットエコノミスト土山直樹氏。

「アメリカとヨーロッパは日本と違って、市場から力強い景気回復を期待されていたのに先行きが不安視されている。期待されていた分失望も大きく、通貨が売られているのでしょう。また、欧米の中央銀行はリーマンショック対策として、通貨の供給量を増やしました。これがドル・ユーロの価値下落の一因なのですが、日銀は供給量を増やさなかったので、円は相対的に価値が下落しにくく消去法的に買われているのです」

なるほど。でも、だったら経済成長が著しい新興国の通貨を買えばよいのでは?

「新興国の通貨も買われていますが、市場での取引が少ないので影響力は低い。それに、値動きが不安定な面もあるんです」

一方、円は値動きの変動幅が少ない。それも“今”円が買われる理由なのだとか。

「投資家は資金を運用して利益を出したいが、今の景況感は先行き不透明。結果、大きく儲からなくても、資金を目減りさせない円に資金が集中してしまうんです」

ほかにも、各国の緊縮財政や為替介入に消極的な日銀の存在、日本が貿易黒字国であること、デフレで実質的な金利が高いことなども円高の要因に挙げられるが、長期的に円高は続かないという見方が強い。国の借金が国内の貯蓄残高を上回ると、一気に売られる可能性もあるからだ。

どうやら、現在の円高の要因は複合的だが、決して国力が評価されているわけではない様子。むしろ、円が暴落することの方がリスクなのかもしれない。
(笹林 司)


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