毎年、半分も使いきれていないのに…

会社はなぜ「有給休暇」を買い上げてくれないの?

2010.11.04 THU



イラスト:牧野良幸
有給休暇。甘美な響きである。労働基準法では「半年間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤」すると10日間の有給休暇が取得できることになっている。日数は1年ごとに1日ずつ増え、6年半後には上限の20日間の有給休暇がもらえる。

しかし、2009年の年次有休取得率が47.1%(厚労省調べ)という数字からもわかるように、実際にはなかなか取りづらく「名ばかり有休」なのが現状。NPO法人労働相談センターにも、有給休暇を取ったことによって「ボーナスの査定で『協調性がない』とされた」「別の手当をカットされた」などの相談が寄せられているそうだ。

そんなこんなで、たまっていく一方の有給休暇。どうせ消化できないなら、会社に買い取ってもらえないのだろうか。労働問題に詳しい、中田総合法律事務所の中田光一知弁護士に聞いてみた。

「気持ちはわかりますが、それは違法なんです。というのも、有給休暇という制度自体が『休んでリフレッシュする』という目的のもとに定められたものだからです」

ただし、と中田さんは続ける。

「規定日数を超えた有給休暇を企業が従業員に付与している場合、超えた分については買い取りも可能。また、人員不足などの事情でどうしても休暇を取らせることができない状況があった場合、大企業などが福利厚生の一環として秘密裏に買い取っているケースはあるようです」

また、金融庁は上場企業に対して国際会計基準(IFRS)の導入を進めている。

「これによって、結果的に有給休暇の消化を強く奨励するなど、企業の風土が強制的に変わる可能性はあり、日本がまだ批准していないILO(国際労働機関)条約の批准につながるかもしれません」(中田さん)

とはいえ、有給休暇という名のもとに自宅で仕事をするなどの「サービス有休」が増えては元も子もないよなあと、有給休暇消化率トップのフランスに思いを馳せるのであった。
(石原たきび)


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