達人の“頭の中”に侵入セヨ!

第1回 敏腕マーケターの頭の中に侵入セヨ!

2010.11.19 FRI

達人の“頭の中”に侵入セヨ!

日常生活を情報収集の現場へと変えていく



現実問題として、他人のアイデアを盗むわけにはいかない。だが、「アイデアが生まれる瞬間」が分かれば、そこからヒントを得ることはできるはずだ。というわけで今回から、アイデアあふれるビジネス達人を直撃。彼らがどうやってビッグアイデアを生み出しているのかを探ることにする。どうか末永くお付き合い願いたい。

第1回目の今回、話を伺ったのは、広告やプロモーションに携わるスゴ腕のマーケター・鈴木健氏。現在、スポーツシューズメーカー「ニューバランス ジャパン」に勤務中だ。さっそくですが、マーケターとして大事なこととは何でしょうか?

「私の仕事は、お客様に商品を知ってもらい、欲しいと思ってもらうこと。そのために商品のブランディングをしたり、広告を打ったり、お客様の反応を見たりします。これはすべてコミュニケーションに関わる仕事。だからこそ一番大事なのは“好奇心”なんですね。“知りたい”という欲求がなくなったら、私の仕事はできません。幅広く興味を持ち続けられるよう、常に情報で自分を刺激しています」
鈴木健氏(ニューバランス ジャパン・マーケティング部部長)。広告代理店や外資系メーカーなどを経験し、現職
ふむ、顧客の心を捉えるには、まず自分の感度を上げておかなきゃいけないということか。刺激というと、具体的にはどんなことをするのでしょう?

「基本的なところでは、『Googleリーダー』による情報収集。そのほか、セミナーに出かけて面白い人に会ったり、旅行に行ったり、話題の本や映画をチェックしたり。何か面白い発見があったら、『Twitter』を思考メモ的に使うこともあります。その反応から学ぶことも多いですね。まずは、積極的に色々な情報を取り入れること。そこから疑問を感じ、考え、発見する。この繰り返しが強い好奇心を育て、仕事にもつながると思っています」

アクティブに動いて色々な情報に自分をさらすことで、好奇心を持ち続ける姿勢が育っていくのか。これは明日からでも真似できそうだ。では、ズバリお聞きします。鈴木さんのアイデアが生まれる瞬間はいつ?

「ランニング中が多いですね。私は、体を動かしてストレスを解消するタイプ。頭を空っぽにして走っていると、日ごろインプットした情報がアイデアとしてアウトプットされることがあるんです。『インセプション』では、夢を見ている状態でアイデアが盗み出されたけど、私はランニング中の頭が一番リラックスしているのかもしれません」

ランニング中にアイデアが生まれるとは、意外! さすがスポーツシューズメーカー勤務だ。日ごろアイデアの種となる“情報”さえ取り入れていれば、机に向かって無理やりアイデアをひねり出そうとしなくても、自ずと生み出されるということか。うん、勉強になりました!

『インセプション』は、プレゼンで使えるテク!?



夏に公開され、話題となった超大作『インセプション』が、ついにブルーレイ&DVD になって登場するという。一度映画館で観た人はもちろん、惜しくも見逃してしまったという人は特に楽しみにしていたはずだ。

そこで後編では、引き続きニューバランス ジャパンでマーケティングに携わる鈴木健氏にインタビュー。『インセプション』の魅力を解き明かしてみたいと思う。ビジネスの達人はどう観たのだろうか?

「今年一番面白かった作品ですね。なかなかこれを超えるものは出てこないと思います。まず、夢を見ている人間の頭の中に侵入して、アイデアを盗み出す&別のアイデアを植え付けるというストーリーが斬新。こんな話を考え付いた人の頭の中をこそ見てみたいですよ。また、“夢”という誰にもわからない世界をあれだけロジカルに構築して、映像として描き出したのがすごい。あ、これ以上言っちゃうとネタバレになるかな(笑)」

どうやら、映画にとって一番大事な“面白さ”に関しては太鼓判! と言ってよさそうだ。では特にどんなシーンがお気に入り?

「予告編を観た人は分かると思いますが、街が頭上から降ってきたり、人が浮いたり…と、『インセプション』はどうやって撮ったのか分からない映像が目白押しでしたね! 映画を観る前は、不思議な映像に興味がありました。でも、それは観客を驚かすためのツールでしかないんですよね。映画を観たら、面白さは世界観自体だと分かりました。やっぱり、夢の構造を描き出したシーンが一番です。監督によると、夢は何層にも深く潜れるようになっていて、潜るごとに時間の流れが長くなっていくんです。たしかに、ほんの2~3分うたた寝しただけなのに、長い夢を見ることがありますよね。その不思議な感覚を映像で目の当たりにできたのは貴重な経験でした」
映画『インセプション』のワンシーン。夢の奥深くに潜り込むと、こんな光景に出会うことも…。夢の構造について「なるほど」と感じさせられる作品だ
そのシーン、確かにすごかった! おっといけない、これからブルーレイ・DVDを観る人のために、これ以上は内緒ということで。では最後に、この映画、ビジネスマン的にどうオススメする?

「他人の頭の中にアイデアを植え付けることによって、それがあたかも自分の考えであるように錯覚させる…というのが、主人公が挑戦する困難なミッション『インセプション』。これは『マジシャンズチョイス』といって、他人に誘導されているのに自分で選択したかのように錯覚する…という、現実の世界でもよく使われる手法です。改めて、プレゼンなどビジネスシーンでも使える説得術だと感じました。『インセプション』は、変わった仕事に就いている男の物語。そう思うと、違った発見があるかもしれません」 なるほど、『インセプション』で
主人公が挑戦するのは、
かなり困難ではあるけれど、あくまで仕事。

同じビジネスマンとして観ると、
SF的な面白さとは別の面が見えてくるかも?
新ビジネスに果敢に挑む
ビジネスマンの姿。
ブルーレイ・DVD『インセプション』で心行くまで!
ではでは、お楽しみに!

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