オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

“タダ”のかしこい使い方

2011.02.03 THU


『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』 坂口恭平/太田出版/1260円
無職・無一文の視点が
生活に革命を起こすのだ

ネットの閲覧に典型的なように、僕らはおうおうにして自分たちの見たい情報ばかりに注意を向けがちだ。でも、自分の見たいものや聞きたいものを拾うだけでは、当然ながら世界は狭くなる。そこで“視点を切り替える”ことが重要になってくるわけだが、本書が推奨する視点の切り替え方はかなりユニークだ。
著者は、「無職・無一文」の自分という視点で「家」「生活」「仕事」を見直してみようと提案する。お金や仕事どころか、家も服も食べ物もない状況だ。こりゃ困った。ところが著者は「いや、まったく心配ない」と事も無げに言ってのける。
なぜ、無職・無一文でも「まったく心配ない」のか。本書の答えは、〈都市の幸〉すなわち「ゴミ」を利用すればいいというものだ。そのお手本は路上生活者。著者は、彼らの暮らしぶりを紹介しながら、都市のゴミを“狩猟採集”すれば衣食住で困ることはないと断言する。
ここまでならば、出来のいい路上生活ノウハウどまりだ。でも本書のすごみは、その先にある。なんと著者は、土地やインフラ、生業、さらには社交、娯楽などまで、0円で手に入れる方法があるというのだ。つまりこの本は、清貧の美徳を説くような生易しいものじゃない。〈都市の幸〉による暮らしは「きみが起こすことのできる、唯一の革命なのだ」とアジる著者は、資本主義がんじがらめの生活からの解放を、本気で0円ライフに見いだしている。そして、読者に革命の可能性を感じさせるだけの言葉の力が、本書には確かに宿っている。

  • 所有なんてもう古い?

    『シェア 〈共有〉からビジネスを生みだす新戦略』
    レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース:著/日本放送出版協会/1995円

    共有することで、経済も社会も変わる――と壮大なビジョンを語る本書。フェイスブックのようなソーシャルネットワークが台頭し、それらを軸として自転車、空き部屋、人のスキルまでをもシェアしようとする無数の試みが次々と紹介されていく。何でも所有するだけでなく、利用していった方が刺激的だと思わせられる読後感を、あなたも共有してみない?
  • 野生の知恵を獲得せよ

    『サバイバル! 人はズルなしで生きられるのか』
    服部文祥/ちくま新書/798円

    食糧や装備を極力減らして厳しい道を歩む長期登山、それがサバイバル登山だ。簡単にお金で様々なものが手に入る世の中にあって、文字通り体を張って険しい山々に挑んだ登山家の記録は迫力あり。食料調達や焚き火のやり方なども、実に具体的だ。そこから汲み取られるサバイバル登山の思想と方法は、能動的に生きることの大切さを感じさせてくれるだろう。
  • モノづくりの現場を見放題

    『工場見学 首都圏』
    昭文社ムック/880円

    最近はテレビ番組でも工場見学モノが大流行り。食品、飲料、エネルギーに乗り物など、モノづくりのあるところには必ず工場がある。で、本書を読んで驚いたのだけど、そうした工場見学のほとんどは無料なのだ。しかもうれしいことに、試食や試飲サービスがあったり、帰りにおみやげをもらえたりとサービスも充実。金欠のときのデートコースとしていかが?
“タダ”のかしこい使い方

※フリーマガジンR25 279号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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