オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

新社会人よ、大志を抱け!

2011.03.01 TUE


『星野リゾートの事件簿 ──なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?』 中沢康彦/日経BP/1575円
どんな職場にだって
顧客満足度を高めるアイデアはある

軽井沢に本社をおく星野リゾートは、破綻したリゾートやホテル、旅館の再生で知られている会社だ。社長の星野佳路氏は1990年代中ごろ、低迷していた自社ホテルや旅館の立て直しに成功し、そのノウハウを生かして、他社のリゾート再生に乗り出した。
本書は、そんな星野リゾートが手がけた再生劇を紹介したものだが、ユニークなのはスタッフや社員の目線から「事件」を描いている点。たとえば、北海道のアルファリゾート・トマムでは、リフトやゴンドラ運営のスタッフが「事件」の主人公だ。
星野社長は、トップダウン方式ではなく、スタッフが自由な議論を重ねて、顧客満足度アップのための戦略を作ることを組織運営の主眼とした。しかしゴンドラのメンバーは「自分たちは後方支援部門であり、戦略と言われてもそんなものがあるわけがない」と当惑する。それでも議論を重ねていくうちに、「あいさつと笑顔」から取り組み始め、果ては雲海テラスの設置までを提案し、見事実現にこぎつけた。
ほかにも、OJT(職場内訓練)で研修中の新入社員が他のスタッフに違和感を覚えてブチ切れメールを送ったり、入社5年目で総支配人に就任した社員がスタッフ教育に四苦八苦したりと、星野リゾートは「事件」の連続。でもそのたびに、社員も会社も確実に成長しているさまがうかがえる。
リゾート業は、ホスピタリティやチームワークが最も要求される職場の一つ。様々な“他者”のために働く本書の登場人物たちは、新たな一歩を踏み出す新社会人のよき先輩役となってくれるに違いない。

  • つながることの魅力と危険

    『「つながり」を突き止めろ 入門! ネットワーク・サイエンス』
    安田 雪/光文社新書/798円

    性的接触、SNS、業務メール送受信関係などの事例を分析しながら、あらゆるヒトやモノの背後でうごめくネットワークの魅力や危うさを論じた1冊。なかでも、デキる社員のメールの特色を考察している2章、人間関係における“入り”(=自分に入ってくる関係)の重要性を説いた終章は新社会人必読。僕らの行動一つひとつがネットワークを生成しているのだ。
  • 新人目線の会社トリセツ

    『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
    山田ズーニー/筑摩書房/1470円

    会社の先輩や上司とのコミュニケーションに悩んだときに、手に取りたいのが本書。「意見を言うまえに仕事せよ!」「受けた『誤解』はすぐに解け!」など、新入社員5つの心得は、新人がやりがちなミスとその予防策を丁寧にレクチャーしてくれる。「おわび」の主役は自分ではなく相手である、というのも卓見。新人目線の会社トリセツとして活用されたし。
  • 働くことに疲れたら

    『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』
    坂本光司/ダイヤモンド社/1500円

    視察研究企業は6300社を超えるという著者が紹介する、「社員30人以下」の超優良会社レポート。たった1坪の店舗で年間3億円超を売り上げている和菓子店「小ざさ」、環境に配慮した名刺を作り続ける「丸吉日新堂印刷」など、社員と顧客をなによりも大事にしている8社の物語は、会社のあるべき姿を伝えるとともに、働く気持ちをやさしく鼓舞してくれる。
新社会人よ、大志を抱け!

※フリーマガジン別冊R22 「R22的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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