欧米企業では少ないらしいけど…

サラリーマンの「転勤」ってなんのために必要なの?

2011.03.03 THU



画像提供/アフロ
3月といえば人事異動の季節。全然違う部署に異動になったり、転勤したりする人もいると思うが、考えてみると、なんで転勤という仕組みがあるのだろうか。

たとえば米国の場合、定期的な人事異動をおこなう会社はほとんどない。米国では社員は専門知識を持ったスペシャリストに育てるのが一般的で、転勤すると新しい知識を勉強させる必要があるし、職場でも仕事を教えてあげなくてはいけない。よけいなコストが発生するうえ、転勤する側も中途半端な知識では労働市場で評価されないので嫌がる。労使ともに転勤にはメリットがないと考えられているのだ。

じゃあなぜ日本には転勤があるのか。一番大きいのは、多くの会社に「終身雇用」という日本特有の長期雇用制度が定着していたこと。就職した会社で定年まで働くことを前提とした従来の日本企業では、正社員として採用した人に対し、仕事や部署、勤務地を限定せず、社内で必要な能力を長期的に身につけてもらうことが人事管理的にも重要とされてきた。転勤することで仕事を覚え、社内の人脈作りにも役立てる。それが組織の活力につながるというわけだ。また、付き合いが長くなると取引先などとの癒着も生まれかねない。そうした法令違反を防ぐ意味もあるし、人気のない勤務地に同じ人を赴任させておくのは不公平なので、処遇を平等化するという理由もある。そのうえ、会社によっては転勤で地方勤務を経験していることが役員への昇進の条件というところもあったりするぐらいなのだ。

もっとも、日本の会社の基本だった終身雇用も、最近ではだんだんと崩壊しつつある。リストラによって会社に解雇される人がいる一方で、能力のある人は自分から会社を変えていき、また、早い時期に関連会社に転籍していくケースも少なくない。終身雇用とセットになってきた「転勤」だが、古い時代の慣習として少しずつ変わっていくのかもしれない。
(押尾銅山)


関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト