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転職で“天職”は見つかるか?

2011.03.03 THU


『仕事漂流 就職氷河期世代の「働き方」』 稲泉 連/プレジデント社/1680円
高学歴で有名企業に就職、
それでも転職するのはなぜ?

最年少で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している著者は、10年前に『僕らが働く理由、働かない理由、働けない理由』という本を出している。同書では、ひきこもりやフリーターなど、社会とうまくなじめずに生きてきた若者を取材しながら、著者自身が“働くって何?”“社会って何?”を問い続ける姿が印象的だった。
本書でもその問題意識は引き継がれているが、取材対象はガラリと変わり、東大、早稲田、慶應などを卒業した高学歴転職組に的を絞っている。就職先も、経済産業省のキャリア官僚、大手の商社やメーカー、都市銀行など、世間のモノサシからすれば“一流”どころが多い。そんな順風満帆のスタートを切った彼らは、なぜ就職1~2年で辞めてしまうのか?
彼らに共通しているのは「焦り」や「不安」の感覚だ。たとえば、大手電機メーカーを辞めた青年はこんなふうに語る。「時代が『右肩下がり』だというのであれば、現状維持という考え方では時代と一緒に落ちていってしまう。いまよりも自分を良くしていかないと、現状維持ですら現実には怪しくなっちゃうわけだから…」。そうした時代状況に加え、就職氷河期に就職した彼らは後輩も少ないため、“このままずっと下っ端仕事かも”という焦燥感が募りやすい。
登場する8人はみな転職して一定の満足感を得ている。それは環境の変化ばかりではなく、仕事観の変化にもよるようだ。一人ひとりに対して数年にわたって取材を重ねた著者は、そんな彼らの自己認識が変わっていく様子を丁寧に描き出している。

  • 子供の教育から世界が変わる

    『マイクロソフトでは出会えなかった天職』
    ジョン・ウッド/武田ランダムハウスジャパン/1680円

    超一流企業の要職にいた男は、ネパールで本がほとんどない学校図書館を目にする。そして、そこでの体験を転機として、彼は途上国での教育支援に取り組む社会起業家の道を歩むことに──。「子供の教育から世界が変わる」という想いを胸にして、ゼロからNPOを立ち上げ、大きな運動にしていく歩みは胸を打つ。自分のやるべき仕事を見つけた者はかくも強いのだ。
  • 御社の本心が知りたい

    『採用側のホンネを見抜く 超転職術』
    田畑晃子/阪急コミュニケーションズ/1575円

    転職を考えた際に直面する問題は幾つもある。会社をどう探すか? 履歴書はいかに作るか? どうやって面接を突破するか? それら待ち受ける関門をどう攻略すべきかについて、豊富なキャリアを持つ人材エージェントのアドバイスを聞いてみよう。著者が特に勧めるのは、企業側の視点を考えることだ。求められているものを捉えられれば、ゴールはきっと見えてくる。
  • 身の振り方を考えるために

    『転職哲学』
    山崎 元/かんき出版/1470円

    10回以上の転職経験を持つ経済評論家が、自身のキャリアを踏まえて、転職の考え方や作法を開陳。会社との上手な出会い方や別れ方を懇切丁寧に指南し、職務経歴書を“「面接」という最初のデートに漕ぎ着けるための自己紹介を兼ねたラブレター”にたとえるノリも楽しい。「転職は誰にもできる」とする著者のメッセージは、身の振り方に迷う人を上手に励ましてくれる。
転職で“天職”は見つかるか?

※フリーマガジンR25 281号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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