オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

継続のコツは“脱力”なり

2011.04.21 THU


『 間違う力 オンリーワンになるための10か条』 高野秀行/メディアファクトリー/1050円
二流のプロをめざして
全力でニッチを狙え

存在感とか個性という言葉はあまり好きではないのだ」と言いながら、「オンリーワンになる方法」をテーマに本を書くところからして、著者の「間違う力」は全開だが、その具体的な10カ条も、いわゆるジコケーハツの定石からすると間違ったものばかりだ。
たとえば第2条「長期的スパンで物事を考えない」とか、第4条「怪しい人にはついていく」とか、フツーの社会人だったらNG必至のご託宣。そんな本に何かご利益があるのだろうかと訝しがる人もいるだろうけど、じつはこれが意外とタメになるのである。
本書の最大のメッセージはおそらく“全力でニッチを狙え”ということだろう。実際、コンゴで怪獣ムベンベを探したり、ミャンマーの麻薬地帯で住み込みながらケシを栽培したりと、著者のニッチの狙いっぷりは半端じゃない。そのための第一歩は「他人のやらないことは無意味でもやる」(第1条)である。
第10条の「一流より二流をめざす」もナルホドだ。理想やプライドが高い人は、一流をめざすあまり「なかなか第一歩が踏み出せない」。それなら二流のプロでよいと腹をくくり、適当でもいいから「今、はじめる」。そして長く続けていけば、チャンスがめぐる回数や認めてくれる人が増えるので、状況とやりたいことがマッチする確率も上がるという。
と、ありがたそうな言葉を発しながら、「長くやっていればなんとかなる可能性は高い。/そう信じて、いつか自分が『一流』になる日を夢見ている」と最後に書いてしまう著者の茶目っ気がまた心地よい。

  • だからあなたも息抜いて

    『がんばらない仕事術』
    伊庭正康/マガジンハウス/1365円

    がむしゃらに仕事と向き合っているのに、すぐに空回りしてため息をつく。そんな悪循環にハマったら、ラクして成果を出すためのこの本をチェック。無駄な作業を圧縮し、周囲と楽しく働くためのメソッドが紹介されているからだ。トップセールスマンの著者は、「理解」より「実践」が重要と説く。がんばるのは大事なことだけど、どうせなら要領良くやらないと。
  • ぶっ飛んだ対談ばかりざんす!!

    『バカは死んでもバカなのだ 赤塚不二夫対談集』
    赤塚不二夫/毎日新聞社/1890円

    ギャグ漫画の巨匠であり、多くの人から慕われた故・赤塚不二夫。本書はその赤塚が黒柳徹子、立川談志、所ジョージといったそうそうたるゲストと対話を繰り広げたもの。…なのだが、ホストである赤塚は途中で酔っ払ったり、いつの間にか眠りこけることもしばしば。しかし、この大らかさから今も愛される作品がいくつも生まれてきたのだろう。そう、これでいいのだ!
  • 働くことは大変、だけど…

    『ワーカーズ・ダイジェスト』
    津村記久子/集英社/1260円

    32歳という年齢、佐藤という苗字、そして誕生日まで一緒の男女が出会い、2人はたちまち恋に落ちる──わけではない。東京の建設会社で働く重信と、大阪のデザイン事務所に勤めながらライターの仕事もする奈加子。公私にわたって多くの問題をなんとかしのぐ2人の姿は脱力術の手本のよう。これは通勤電車の中で読むのにふさわしい、働く人のための小説なのだ。
継続のコツは“脱力”なり

※フリーマガジンR25 284号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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