オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

ニッポンのものづくり!

2011.07.07 THU


『日本のもの造り哲学』 藤本隆宏/日本経済新聞出版社/1680円
アーキテクチャから見た
日本の製造業の弱点とは?

目の覚めるような仮説を提示してくれる本だ。
日本企業の「もの造りが強い割りには儲からない」のはなぜか。その理由として、著者は「アーキテクチャの位置取り」のまずさを指摘する。本書のいうアーキテクチャとは生産や工程の「設計思想」の意。「設計思想」なんていうと難しそうに聞こえるけれど、主張は明快だ。
まずアーキテクチャには、ざっくりと2つの基本タイプがある。製品を生産するのに、その製品にしか使えない専用部品を使ってつくる「擦り合わせ型」が1つ。もう1つは、「ありもの」の標準部品を使ってつくる「寄せ集め型」だ。
著者の分析によれば、日本の製造業は「擦り合わせ型」に過剰に傾いている点に、儲けが薄い原因があるという。自動車部品メーカーはその典型だ。クルマのエアコンを作るのにも、部品の大半は専用部品を使うし、顧客である自動車メーカー自体も「擦り合わせ型」である。「擦り合わせ型」の現場は、顧客からの要求が厳しいので、もの造りの能力は鍛えられるものの、利益は少なくなってしまうというわけ。
それに対して、移民の国であるアメリカは「寄せ集め=モジュラー型」の製品が得意だという指摘も納得。なるほど、アーキテクチャには国民性も反映されているのか。
製造業、企業という単位だけでなく、様々な組織を点検するうえでもアーキテクチャという発想は有用だ。自分の属する組織の仕事は「擦り合わせ型」なのか、「寄せ集め型」なのか。ドラッカーを読んだ野球部の女子マネージャーにもぜひ読んでいただきたい。

  • 現在進行形の民藝を訪ねて

    『柳宗悦民藝の旅 “手仕事の日本”を歩く』
    平凡社/1260円

    日本各地の手仕事を紹介した柳宗悦の名著『手仕事の日本』。そこで取り上げられた民藝の品々はいまなお連綿と生き続けている。本書は、そんな現代に残る「手仕事の日本」のガイドブックだ。東北から九州・沖縄までの民藝品を美しい写真や購入できるお店とともに掲載。柳宗悦の略伝や日本民藝館の案内もあり、「民藝」の入門書としても格好の1冊。
  • この技術を見よ!

    『絶対にゆるまないネジ 小さな会社が「世界一」になる方法』
    若林克彦/中経出版/1365円

    ハードロックナット──これは関西のある中小企業が作っているネジの名前だ。このネジ、実は東京スカイツリーや瀬戸大橋などで採用され、世界も注目する優れ物なのである。そのネジを生み出した社長が、ものづくりから経営哲学まで論じた一冊。中小企業は“オンリーワン商品”を生んで、本業を追求し、海外へ挑戦しよう、と熱く説く。こんな会社が日本を元気にするのだ。
  • 地球を超えて考えよ!?

    『「はやぶさ」式思考法 日本を復活させる24の提言』
    川口淳一郎/飛鳥新社/1365円

    小型惑星探査機「はやぶさ」が貴重なサンプルを採取し、地球に帰還したことは記憶に新しい。この技術的に難しい試みはなぜ成功したのか? その答えの一端は、「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーを務めた著者が教えてくれるだろう。20年にも及ぶ道のりから得た、失敗やトラブルすらもポジティブに受け止める姿勢は、宇宙ならぬこの地上の仕事でも役立ちますぞ。
ニッポンのものづくり!

※フリーマガジンR25 288号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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