オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

これぞ、自然の造形美!

2011.07.21 THU


『昆虫顔面図鑑[世界編]』 海野和男/実業之日本社/2100円
虫の顔面には
生態や習性が現れている

どの頁を開いても、昆虫の顔・顔・顔。チョウやバッタにキリギリス、カマキリ、クワガタムシ、カブトムシと、かつての昆虫少年にとってはなじみ深い虫が多いけれど、どの顔面アップも、思わずのけぞってしまうほどインパクトは強烈だ。しかも「世界編」ということで、日本ではお目にかかれない個性豊かな面々の大集合である。
著者の海野さんによれば、昆虫の表情はほとんど変わらないかわりに、「顔はその昆虫の習性や生態を良くあらわしたものになっている」そうだ。
たとえば、チョウよりガの方が毛深いのは、太陽光のない夜間活動中の防寒のため。活動時間によって、容貌は変わってくるという。また、バッタは見つめられればドキッとするほど、目力の強い虫だが、キリギリスやコオロギと比べると、匂いを嗅いだり周囲の様子を探る「触覚が短い」。つまり触覚が弱い分、バッタは視覚に頼って行動することで目力をアップさせてきたようなのだ。「クワガタムシのように、大顎が発達した昆虫は気性が激しい場合が多」いという指摘も「へぇー」である。
こんな具合に、「顔面」にはその昆虫の進化や適応の跡がくっきりと刻まれている。だから、この図鑑は眺めているだけでも楽しいのだけど、簡潔ながらもツボを得た解説にもぜひ目を通して、ヤツらの「顔面」を理解する楽しみを味わってほしい。
それにしても、帯で哀川 翔さんが「誰かに似てるね~」と語っているトゲトゲギスは、ほんとに“いるいる”感満点。人間と昆虫の“そっくり図鑑”なんてあったら面白いかも。

  • 惚れ惚れする元素のきらめき

    『世界で一番美しい元素図鑑』
    セオドア・グレイ・著、ニック・マン・写真/創元社/3990円

    ロジウムの輝きに思わず目を細め、蛍光を放ったアスタチンの麗しさにほれぼれ…。これら万物を形作る元素をユーモアも交えながらたっぷり紹介してくれるのが本書である。元素の純粋状態とそれをもとにした化合物などが、美しい写真によって示されており、眼福とはまさにこのこと。今年の夏は水着ギャルよりも、これら元素に見とれて過ごす!?
  • 命が吹き出す骨の存在感

    『BONES 動物の骨格と機能美』
    湯沢英治・写真、東野晃典・文・構成、遠藤秀紀・解説監修/早川書房/3675円

    スポットライトを浴びたかのごとく登場する骨、骨、そしてまた骨。ラクダやイノシシ、オランウータンなどの骨格が、モノクロームの世界に浮かび上がる。そう、この本は動物たちの骨の写真集なのだ。カメラマンいわく「肉体を失った骨(死)から命が吹き出している」。その存在感を感じ取るべく、かつて動いていたであろう姿を想像しながら読んでみよう。
  • 地球というシャングリラ

    『最後の楽園 ナショナルジオグラフィック』
    ナショナルジオグラフィック協会・編著/日経BP社/5250円

    「忙しくて旅行もできない」とお嘆きの人にオススメの1冊。ページをめくれば、目の前に7つの大陸の雄大な自然が広がり、無垢の自然の表情が見る者を圧倒する。不思議な曲線を描く南西アフリカのスケルトンコースト(骸骨海岸)、直径1mという世界最大の花が咲くボルネオのジャングル…。ド迫力の写真とコンパクトな解説が、地球そのものを満喫させてくれる。
これぞ、自然の造形美!

※フリーマガジンR25 289号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文
text TETSUYA SAITO

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