バイオ燃料で飛ぶ飛行機も着々と進展!

「夢のバイオマス燃料」が実現する日は間近?

2011.09.16 FRI


日本の一次エネルギー供給の5割を占める石油は、ほぼ100%を海外からの輸入に頼っている。原油は、写真のような海外のプラントで採掘されているが、藻類による原油生産が実現すれば、国内で自給することも不可能ではないという zenpaku / PIXTA(pixta.jp)
今年7月半ば、ドイツ最大手の航空会社ルフトハンザ航空が、世界で初めてバイオ燃料の試験運航を商業路線で実施しました。ハンブルク~フランクフルト間を毎日4往復するエアバスA321機に、バイオ燃料50%、ジェット燃料50%の混合燃料を使用し、半年間の試験飛行で二酸化炭素の排出量を約1500トン削減する狙いです。試験に伴う総費用は約660万ユーロ(約7億4000万円)。エンジンへの長期的影響などを調査しながら、国内定期路線で6カ月間にわたってバイオ混合燃料の試験運航を行います。

バイオ燃料の試験運行自体は数年前から航空各社が実施しており、日本でもJALが2009年1月に行っています。1時間半の間、運転状況やエンジンの空中停止・再始動といった作動確認をすることで、ジェット燃料のみで飛行した際と性能差がないことを実証しました。日本のバイオ燃料産業における大きな一歩だったといえるでしょう。

ご存知の方も多いと思いますが、バイオ燃料とは生物資源を元にして作る燃料のこと。原料となる植物は成長過程で光合成によりCO2を吸収するため、燃やしても地球上のCO2総量は増加しないと考えられています。そのため石油のような化石燃料の代替として期待されていますが、初期のバイオ燃料にはある種の批判がつきまといました。

「食料となる穀物を燃料にまわすことで価格高騰を招き、途上国の飢餓を悪化させている」

というものです。そのため、ルフトハンザやJALの試験飛行では、小麦や大豆、とうもろこしなど食料を原料とする「第一世代バイオ燃料」ではなく、廃棄された農作物から生成する「第二世代バイオ燃料」を使用していました。

ところが近年、こうした食料問題とは無縁な「夢のバイオマス」とでも呼ぶべき“燃料”が新たに発見されて注目を集めています。 それが“藻”です。

筑波大学大学院の渡邉信教授らが発見した「オーランチオキトリウム」という藻類は、石油とほぼ同じ成分を生産するのです。これまでにも石油成分を作る藻類は知られていましたが、「オーランチオキトリウム」がすごいのは、その生産能力。繁殖スピードが速いため、石油成分を効率よく大量生産できる可能性があるのです。

あくまで理論値ですが、2万ヘクタールのプールで「オーランチオキトリウム」に石油成分を生産させれば、現在の日本の原油使用量1年分を賄えるとされています。まさに夢のような石油代替エネルギーです。

新興国のエネルギー需要の拡大で、長期的な原油価格高騰が見込まれているなか、日本にとっては大いに期待したい「夢のバイオマス」といえます。今後の発表を楽しみに待ちましょう。
(筒井健二)

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