オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

学問に終わりはない!?

2011.10.20 THU


『数学は言葉』 新井紀子/東京図書/1890円
和文数訳に数文和訳、
数学を外国語のように学ぶ

「数学語を第二言語として身につける」というコンセプトが衝撃的だ。最近は、社会人向けの数学入門書がにぎわっているけれど、その多くは中学や高校の数学をわかりやすく説明するという構成。本書は、そういった本とはまったく異なるアプローチで、数学の扱い方を解説する。すなわち、数学を外国語のように学ぶというアプローチだ。

英語に英文法があるように、数学にも、命題を構成する「対象・関係・論理結合子」などの文法があり、この文法を学ぶと「日本語で書かれた数学の命題を、数学の記号だけからなる数文に変換できる」。これを著者は「和文数訳」と呼んで、「どんなnに対しても、それより大きなmが存在する」「素数は無限に存在する」など、様々な和文数訳の演習を重ねていくのだ。ふむふむ、かなり手ごわいけれど、ノリは外国語の勉強とよく似ている。

和文数訳があれば、当然その逆の「数文和訳」もあるし「数学の作文」もある。この新しい数学語の学習は「練習して数をこなす以外にはない」そうで、一朝一夕で習得できるものではないという。でも、トレーニングを積んで数学語を自在に扱えるようになった暁には、次のような副産物もついてくる。「そのとき、あなたは(中略)自分の頭の中がそれ以前に比べて、ずっと整理されていること、自分の考えがシャープになっていることに気づくにちがいありません」。

本書は“math stories”というシリーズ刊の1冊目。数学語の習得後には、『計算とは何か』『変化をとらえる』など、同シリーズの本にも手を伸ばしていただきたい。

  • 小説がこんなに面白くていいのかしら

    『文芸漫談 笑うブンガク入門』
    いとうせいこう、奥泉 光、渡部直己/集英社/1680円

    作家、タレント、音楽家と幾つもの顔を持ついとうと、芥川賞作家の奥泉がタッグを組んだ。そのコンビが挑むのは…漫談!? 夏目漱石も志賀直哉もネタにして、文芸について言いたい放題。「文学について語っちゃおう」(奥泉)、「漫談で文学を世界に広げるんだから」(いとう)とノリノリだ。ボケとツッコミの応酬が心地良い、最高のステージを堪能しよう。
  • 見上げてごらん天空を

    『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』
    村山 斉/幻冬舎新書/840円

    かたや広大な宇宙。かたや物質を形作る最小単位の粒子である素粒子。この共通点のなさそうな二つの分野の研究がクロスすることで、様々な大宇宙の謎が明らかにされつつある。この本には、かつて僕らが理科で習った内容を覆すような発見や最先端の研究成果が目白押しだ。聞き慣れない暗黒物質やクォークといった幾つもの概念が、知的興奮をもたらしてくれる。
  • 野田さんにも読ませたい!?

    『新書で大学の教養科目をモノにする 政治学』
    浅羽通明/光文社新書/777円

    日々、内閣の新しい政策や大物政治家の疑惑は報じられている。でも、そもそも政治って一体何なのだろうか? そんな疑問に応じるのが本書だ。政治の役割を位置づけ、近代国家の根っこにある思想や、世論とマスメディアの関係などにも触れ、シンプルかつ骨太に政治学のエッセンスがまとめられている。きっとAKB48以外の“総選挙”にも関心がわいてくるのでは?
学問に終わりはない!?

※フリーマガジンR25 295号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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