オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

初めて読むなら、このラノベ!

2011.12.01 THU


『僕は友達が少ない』 平坂 読/メディアファクトリー/609円
カオスな会話が秀逸な
キング・オブ・残念小説!

本作の登場人物たちの残念っぷりは圧巻の一言に尽きる。第1巻での名残念シーンは、本作の主人公である羽瀬川小鷹と、ヒロインの一人である三日月夜空が出会う場面。
転校初日の自己紹介に失敗し、友達がいないまま過ごしていた小鷹は、ある日の放課後、教室でひとりの美少女が明るく喋っている声を耳にする。でも奇妙なことに、聞こえてくる声は一人。そっと教室の扉を開けると、「誰もいない空間を見つめながら、まるでそこに誰かいるかのように三日月は楽しげにお喋りしていた」。なんと美少女の三日月夜空は、友達がいないので、エア友達のトモちゃんと会話していたのである。残念!
この出会いがきっかけとなり、夜空は友達づくりを目的とした「隣人部」を創部し、小鷹も強制的に入部させられてしまう。
物語はここからが本番。この隣人部に次から次へと美少女が入ってくるのだが、彼女たちが揃いもそろって残念キャラなのだ。3人目の部員となった柏崎星奈は、容姿バツグン、スポーツ万能、成績優秀という完璧な女子なのに、「超」がつく高飛車な女王様。第2巻から本格的に登場する志熊理科は、天才発明家かつ変態腐女子。
この残念な面々が交わす、お下劣と罵倒と妄想が入り混じったカオスな会話がとにかく秀逸で、あちこちに笑いの地雷が埋まっている。
と同時に、巻を追うごとに物語は、主人公小鷹のハーレム設定という様相を呈していく。そんなモテモテの環境に気づかない小鷹がある意味、いちばん残念なのだけど。

  • ありえへん戦国時代

    『織田信奈の野望』
    春日みかげ/ソフトバンククリエイティブ/630円

    なぜか史実とは異なる戦国時代に降り立ってしまった高校生の相良良晴。彼がそこで出会ったのは、尾張の大名である織田信長…ではなくて、織田信奈!? 少女でありながら一国を切り盛りして、美濃の斎藤道三や駿河の今川義元と渡り合う信奈。その家来となってしまった良晴は、巨大な歴史のうねりに飲み込まれていく。11月に発表されたアニメ化も期待大の大河ラノベ。
  • 食べちゃうくらい、本が好き

    『“文学少女”と死にたがりの道化』
    野村美月/エンターブレイン/588円

    読書家をも唸らせるのは、この“文学少女”シリーズだ。なにせ本書に出てくる文芸部の部長、天野遠子は「本のページや紙に書かれた文字を、美味しそうにむしゃむしゃ食べ」てしまうほどの物語好き。そんな彼女と、かつて覆面美少女作家としてデビューした過去を持つ男子高校生・井上心葉が織り成すストーリー。第1巻では、太宰 治がテーマだ。思う存分召し上がれ。
  • 人の心の奥深くを覗き込む…

    『パニッシュメント』
    江波光則/小学館/660円

    新興宗教の教祖である父を持つ高校生の郁。物語は彼の周囲の出来事を描き出していく。恋や友情のエピソードだけではなく、幼なじみでもある女子高生の常磐の母が、郁の父の新興宗教にハマっていること、占いが得意なクラスメイトの七瀬から不思議なアプローチをかけられたこと…。それら幾つもの話が徐々に結びついていき、底知れない人の心を浮き彫りにしていく。
初めて読むなら、このラノベ!

※フリーマガジンR25 298号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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