オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

2012年の論点は?

2012.01.19 THU


『最新日本言論知図』 萱野稔人・編/東京書籍/1470円
政治経済からアート、サブカルまで
主要な論点・論客をマッピング

日本のタイムリーな論点を整理している本だが、この分野の定番書である『日本の論点』(文藝春秋社)と比較すると、本書の特徴がわかりやすい。
『日本の論点』は政治・経済が中心で、一つのトピックに対して、代表的な論者の小論+編集部による基礎知識の整理、という形でまとめている。一方、本書は政治・経済以外にも、アート、芸能、サブカルチャーなどかなり広範囲に網を広げ、1トピックにつき、コンパクトな解説と図解の見開き構成。『日本の論点』に比べて、カタログ色の強い編集だ。
各トピックについて、主要なプレイヤーや論客の立ち位置をマッピングしている図解部分を見ると、その論点についてざっくりとした見取り図を知ることができる。
たとえば外交では親中派として小沢一郎、細野豪志、田中眞紀子らが並び、親米派には石原慎太郎、枝野幸男、前原誠司らがマッピングされている。文化・芸能方面でも、映画評論界の見取り図とか日本人建築家相関図などはかなりの力作で、政治や経済には縁の薄そうな文化系でも持っておいて損はない。
農業補助金、財政赤字、原発、再生可能エネルギー、婚活、非モテ、電子書籍、アイドル、ヤンキー論など、現在注目を集めている項目への目配りもよく効いている。論点整理のみならず、各ジャンルの論客や研究者、批評家のガイドブックとしても使えるだろう。ただ、こうした論点ものは賞味期限も早い。できれば数年に一度、内容をアップデートしていってもらえるとありがたい。

  • 電力の明日を選ぶために

    『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』
    NHKスペシャル「日本新生」取材班/NHK出版新書/777円

    福島の原発事故以来、この国はエネルギーについて百家争鳴の様相を呈している。NHKのスタッフによる本書は、その議論に一石を投じるものだ。エネルギー政策が右往左往した日本の過去、発電方式を市民が選択するスウェーデンのやり方や自然エネルギーを重視したスペインの制度設計などが紹介されている。手っ取り早い解決策はないからこそ、まずは事実を知ることから!
  • 必殺お役所仕事人

    『官僚を国民のために働かせる法』
    古賀茂明/光文社新書/798円

    雑誌やテレビでもよく見かける経産省の元官僚が、真正面から国家公務員制度改革を世に訴えた。省益にのみ奔走して、それに従わない者は干していくお役人の生態や、官僚の言いなりになってしまう政治家の実態がこれでもかと言うほどえぐり出されている。そして批判だけでは終わらせず、霞が関を改善するための提言を行っているのも読み応えありだ。
  • 江戸と中国の大激突

    『中国化する日本 日中「文明の衝突」一千年史』
    與那覇 潤/文藝春秋/1575円

    高校の日本史で習ったような歴史観に対して、強烈なドロップキックを喰らわす一冊が登場。近年の歴史学の成果をふんだんに盛り込み、「中国化」と「江戸時代化」という日本の二つの潮流を追いつつ、一千年の歴史を論じまくった内容だ。ざっくばらんな語り口を通して見えてくる今後の展望はなかなかスリリング。新しい切り口で歴史を振り返ってみよう。
2012年の論点は?

※フリーマガジンR25 300号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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