オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

趣味を通じて世の中を観る!

2012.02.02 THU


『幸せな未来は「ゲーム」が創る』 ジェイン・マクゴニガル・著、妹尾堅一郎・監修/早川書房/2940円
しょぼい現実世界は
ゲームにしてしまえ!

筋金入りのゲーム脳である著者は、次のように、びっくりするような現実の見方を提示する。「ゲームと比べると、現実は抑圧的だ」「ゲームと比べると、現実は非生産的だ」「ゲームと比べると、現実は希望がない」などなど、ゲームの世界に比べて、現実はダメダメであるというのだ。

一方、優れたゲームには、越えることが困難な障壁に挑ませたり、他人と協力して物事に取り組ませるなど、人をポジティブにする様々な機能が備わっている。だから、ゲームの考え方を現実に取り入れることで、もっと社会をよい方向に変えていこうというのが本書の趣旨。

たとえば著者が例として出している「チョアウォーズ」は、家族やルームメイトとともに、現実の世界の家事をゲームとしてプレイするものだ。プレイヤーは、現実の世界で食器を片付けたり、洗濯をしたら、ゲームにログインして自分の活動を記入する。それに応じて、アバターのパワーアップ、バーチャルな金貨や財宝などの報酬が得られることになる。さらに、このバーチャルな金貨を現実生活のごほうびに引き換えることもゲームの目的になっている。

このチョアウォーズのように、現実の世界と仮想世界とをドッキングさせるゲームを「ARG(代替現実ゲーム)」といい、本書では数多くのARGの紹介にも紙数を割いている。

適度にゲームで遊ぼうといったぬるい話ではなく、ゲームによる現実社会の変革という発想の大転換。賛否両論あるだろうが、この極論はなかなかに刺激的だ。

  • 盤上をご覧ください

    『シリコンバレーから将棋を観る 羽生善治と現代』
    梅田望夫/中央公論新社/1365円

    『ウェブ進化論』などで知られる著者の趣味は将棋…ではなく、将棋観賞。「指さない将棋ファン」として、棋聖戦や竜王戦を観戦し、羽生善治や若き棋士らと語り合い、そのエッセンスを本書にまとめあげた。観る側の興奮とともに届けられた、現代将棋の最前線レポートから、棋士の個性によって、進化を続けるその世界の深みや広がりが体感できるだろう。
  • キング・カズかく語りき

    『やめないよ』
    三浦知良/新潮新書/777円

    40代半ばになった今もなおグラウンドを疾駆するカズ。本書は彼が5年にわたって、新聞で自身の思いを書き綴ったものだ。子供の頃から夏休みでも「サッカーばかりやっていた」という彼が、プロの選手となってからも高いモチベーションを維持したまま活躍できる理由がここからは垣間見えるはず。その全力で常に戦う姿勢にシビれること、間違いなしだ。
  • バンドとマーケティングやろうぜ!

    『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』
    デイヴィッド・ミーアマン・スコット、ブライアン・ハリガン/日経BP社/1785円

    グレイトフル・デッドは、1960年代に結成されたアメリカのバンドである。このバンド、数十年も前から先進的な取り組みを行っている、実にユニークな存在なのだ。ネットのない時代に会報でファンらの輪をつなげ、ライブでの録音を推奨し、慈善団体に協力して社会へ恩返しをする─。今のビジネスにも通じる見事な音楽活動から、学ぶべき点は無数にある。
趣味を通じて世の中を観る!

※フリーマガジンR25 301号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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