オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

世界一幸せな国はどこだ?

2012.03.15 THU


『小さな大国ルクセンブルク 美しき偉大な小国』 建部和仁/かまくら春秋社/2100円
1人当たりGDP世界一の
国の実態はいかに?

以前から、1人当たりGDPの世界トップを独走しつづけるルクセンブルクのことが気になっていた。フランスとドイツとベルギーに挟まれた、神奈川県ぐらいの広さしかない小国はいったいどんな国なのだろうか、と。
そこで手にとってみたのが本書。著者は、2006年から3年間、ルクセンブルク大使を務めた人物だ。
本書によれば、19世紀前半までは、貧しい農業国だったルクセンブルクに繁栄をもたらしたのは、鉄鋼と金融だという。とりわけ1970年代半ば以降は、金融セクターの躍進がめざましく、現在は、国内総生産の3割弱を金融部門が占めている。
「一般的に、性格が控えめで、思っていることをあまりストレートに表明しない国民性」で、時間にも正確というから、気質は意外と日本人に似ているのかもしれない。
だが、政治家の力量に関しては、あちらの方が何枚も上手のようだ。ルクセンブルクのユンカー首相は、1995年に弱冠40歳にして首相に就任後、現在まで首相職にとどまり続けながら、EUの拡大・統合にも格別の存在感を示している。ユンカーだけでなく、長期にわたって大臣職を務める人物も少なくないので、EUの会議等では常連メンバーとして発言力を高めているそうである。
人口の4割以上が外国人だったり、大量の越境労働者がいたりと、国の開放度は相当なものだ。そして、小学生からフランス語、ドイツ語を教える言語教育が、多様性と意思疎通の両立を支えている。この国の豊かさの秘密は、日本にもっと知られていい。

  • 愉快な国民性なのだ

    『ブータン、これでいいのだ』
    御手洗瑞子/新潮社/1470円

    国民の多くは手帳など持たず記憶できる範囲でしか予定を立てない? 失敗しても許される文化なので気楽な雰囲気に満ちている? これは昨年の国王夫妻の来日でも話題を呼んだ、ブータン王国の話。ブータン政府に1年間雇用された女性の体験記は、日本人に良いカルチャーショックをもたらすはず。インドと中国の間にある、この小さくて素敵な国の奥は深い。
  • 負担もでかいが、幸福はもっとでかい!?

    『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』
    ケンジ・ステファン・スズキ/角川SSC新書/798円

    増税論議の喧しい昨今、デンマークでは消費税が25%だと聞けば面くらってしまう。本書は、同国在住40年の著者が、「高負担でも幸せ」という感覚を生む、その社会システムを解説したもの。兵庫県ほどの人口で医療や年金などをどう扱っているのかが理解できる。また、高負担による問題点もきちんと指摘。国土や人口が違う以上、単純に模倣はできないが、参考にはなる。
  • 風車やチューリップだけじゃない

    『幸せな小国オランダの智慧』
    紺野 登/PHP新書/777円

    アメリカや中国など大国の動向にどうしても僕らの目はいきがちだ。でも、小国で大きな成果を上げている国にも、学ぶ点は無数にある。災害を抑え込みつつ、安定した経済運営を行い、幸福度が極めて高い国となっているオランダ。この本は、そのオランダを成り立たせている知識経済社会に着眼して論じている。対話や交流、地域連携に重きを置くスタイルに触れてみては?
世界一幸せな国はどこだ?

※フリーマガジンR25 304号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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