31年ぶり貿易赤字に大騒ぎだったけど

投資立国ニッポンの実力とは?

2012.04.19 THU


じわじわと厳しさを増していった貿易収支に対し、2000年代に入ってから大きく伸びた所得収支。2005年に“稼ぎ頭”は入れ替わっていた
図版製作/藤田としお
2012年1月の貿易赤字が過去最大の1兆3816億円に。こぞって報道したメディアからは「日本の“稼ぐ力”が弱くなった」と悲観的な論調が目についた。貿易がダメだと日本は稼げない、と言わんばかりだった。

確かに日本は貿易で稼ぐ国、と子どもの頃から教えられてきた。実際、かつての日本は、原材料を輸入して「モノづくり」をして輸出することで外貨を稼いできた加工貿易立国だった。しかし、だいぶ前から様子が変わっていたことは、あまり報じられていない。実は2005年から、貿易以上に日本が稼いできたものがあったのだ。それが、「所得収支」である。海外に投資をすることによって得た、利子や配当などのリターンである。

貿易収支が巨額の赤字になったことで「貿易立国」の終焉などと騒がれたが、すでに7年前から「投資立国」としての稼ぎのほうが大きくなっていたのだ。高度成長以来、溜め込んできた貿易黒字は海外に投資され、2010年末時点での海外資産は563兆円と日本の年間GDPに匹敵する。ここから負債を差し引いた対外純資産は251.5兆円。中国の167兆円、ドイツの114兆円を引き離し、世界でダントツの資産規模なのだ。これが、莫大な所得収支を生んでいたのである。

そもそも1月の貿易赤字は、特殊要因を指摘する声も多い。今年は中華圏の春節という長期休暇が1月末に始まったことで中国との取引が例年より減少、さらにタイの洪水、原発の停止による燃料の輸入増…。本当に「日本はもう稼げない」などと悲観しなければいけないことだったのか。

確かに、貿易収支は2011年の年間を通しても赤字に陥った。しかし、所得収支のほうは前年比13.1%増、金額にして1兆6235億円も増えている。経常収支のニュースでは、貿易収支と同時に、この所得収支の動きを、今後もぜひ見続けたい。
(上阪 徹)


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