リスクもリターンも全て自分で引き受ける

全社員「フリーエージェント」会社

2012.04.23 MON


  撮影/櫻井将士
他の不動産会社とはひと味違う、こだわりの物件を取り扱う「東京R不動産」。不動産、建築、編集と各分野のプロフェッショナルによって共同運営され、スタッフは全員「フリーエージェント」という珍しい形態をとる。いったいどんな働き方をしているのだろう。

「フリーエージェントというと、“組織に属さず1人で仕事をする人”というイメージを持つかもしれませんが、そうではありません。僕らには、事務所もあるし、自分の席もある。ネットやFAXも共有のものを使えるので環境的には普通の会社員とほとんど変わらないと思います。ただし、大きく異なるのが報酬形態。固定給はゼロ。収入は100%業績と連動しています。従って、給料は時期や成果によってかなり変わりますね」

そう語るのは営業主任の室田啓介さん。収入が不安定な「完全歩合制」に怖さを感じないのだろうか。

「私はもともとデザイナーのアシスタントをやっていて、いわゆるサラリーマンになったことがないんです。そのせいか、特に怖さは感じませんね。むしろ、自分が社会に貢献した分に応じて対価を得る歩合制は、一番自然な形だと思っているんです。個人が自分の判断で自由に働き、そのリスクも見返りもすべて自分の責任で引き受けるという感覚は、心地良いとすら感じています」

こうした独立性の強い個人が集う組織は、連帯感を保ちづらいといわれる。実際はどうなのか聞いた。

「東京R不動産のスタッフは、『こだわりのある空間をもっと世の中に増殖させたい』というコンセプトのもとで働いているので、決してそんなことはないですね。お客様は東京R不動産という会社に期待してくれている。担当者によってサービスの質が異なったら、信頼を損ねてしまいますよね。そうならないように、週に一度、みんなでミーティングを実施しています。自分が扱っている物件のコンセプトはもちろん、それぞれの担当を把握し、課題や問題を共有することで、自然と連帯感が醸成されるんです」

さらに、フリーエージェントというスタイルの利点を、室田さんはこう分析する。

「仕事をするうえでのマインドセットは、一般的なビジネスマンとはまったく違うと思います。出勤に関しても勤務時間に関しても、会社に強制される“義務”はありません。『より良い空間を提供したい』という思いがあって、それを自分にとってベストな働き方で実現しているだけなので、ストレスを感じにくいんです。こういう部分は、フリーエージェントならではのメリットだと思いますね。また、物件探しから営業活動、事務に至るまで、販売にかかわる業務をすべて自分で担当できるので、自信を持ってお客様と向き合えるという良さもありますね。自分の担当する物件に思い入れと責任を持つのは当たり前のことですが、この働き方だからこそ、より強く感じられるんだと思います」

フリーエージェントであるがゆえに勤務時間だけでなく、休日も自分で決めるというこのスタイル。自由には“責任”が付き物だが、プレッシャーについて聞くと、「ないと言えば嘘になりますが、それ以上に自分がやりたいように働けている感覚があるので、気にならないですね」と、笑って答えてくれた。

シビアであることは確かだが、その分、プロとしての誇りと自覚を持った働き方といえる。

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