オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

世のために働く人々

2012.06.07 THU


『人を助けるすんごい仕組み』 西條剛央/ダイヤモンド社/1500円
ネット+リアルで
被災地を直接支援する

著者の西條剛央さんがつくった「ふんばろう東日本支援プロジェクト」は、全員が無報酬で参加している完全なボランティア組織だ。震災約1カ月後に立ち上がり、2012年1月時点までに、15万5000品目の物資支援を成立させたほか、「ガイガーカウンタープロジェクト」「重機免許取得プロジェクト」「ハンドメイドプロジェクト」など、十数個のプロジェクトを展開してきた。
この組織を立ち上げる以前、西條さんはボランティアをしたことなどなかったという。震災20日後に入った南三陸町で、物資不足の惨状を目の当たりにし、ツイッターとホームページを使った直接支援の仕組みを考案した。そのポイントは、ネットだけで完結させるのではなく、被災者に直接電話して必要な物資を聞きだすなど、リアルなつながりを仕組みのなかに取り入れている点だろう。以降、組織が拡大し、様々なプロジェクトを実施していく過程でも、“人と人が直接つながる”要素が必ず入っている。
仕組みの理論的支柱には、西條さんが提唱している「構造構成主義」という哲学がある。その「方法の原理」に照らせば、「プロジェクトの有効性は、(1)状況と(2)目的から規定され」、この2点から活動方針やプロセスが導き出される。
東北復興のために「何か自分にできることはないだろうか?」と思っている人は、ぜひ本書を手に取ってもらいたい。自分なりの支援の仕方を考えるうえで、多くのヒントをもらえるはずだ。ネットとリアルを組み合わせた新しい組織論としても示唆に富んでいる。

  • 人を集める力!

    『動員の革命 ソーシャルメディアは何を変えたのか』
    津田大介/中央公論新社/798円

    ソーシャルメディアのもたらした衝撃により、大きく世の中は変化した。東日本大震災の報道、政治運動の変化、アラブの春と称された動乱など、国内外でその潮流は見て取れる。本書は、その第一線で活躍中のジャーナリストによる現状レポートだ。東北復興策やクラウドファンディングなど、社会変革の可能性を論じるキーマンとの対談部分も読み応えありだ。
  • パートタイムで社会貢献

    『働きながら、社会を変える。 ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む』
    慎 泰俊/英治出版/1575円

    若き金融マンが、本業を持ちながらパートタイムでNPOによる社会貢献を始めた。児童養護施設の子どもたちと出会った彼は、その子らに日本の社会問題の多くが反映されているのを知ったのだ。貧困や虐待など重い現実を前に、自分たちに何ができるかを考え、その課題に取り組む真摯な姿勢が行間からにじみ出ている。新しい社会貢献モデルを提示している点でも貴重だ。
  • 障害者雇用に取り組む

    『働く幸せ 仕事でいちばん大切なこと』
    大山泰弘/WAVE出版/1470円

    日本理化学工業は、チョークを主力商品とするメーカーで、積極的に障害者雇用に取り組んでいることでも知られている。本書は、この方針を推進し、社員の7割が知的障害者の組織を生み出した経営者が綴った1冊。“働く幸せ”を重視した想いの数々は、半世紀にわたり、福祉とビジネスの両立のために苦心した人によるものだけあって、深く胸に響くものがある。
世のために働く人々

※フリーマガジンR25 308号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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