オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

ビジネス書の使い道

2012.07.05 THU


『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』 漆原直行/マイナビ新書/872円
鼻息の荒い成功勧誘
には要注意!

書店のビジネス書コーナーに足を踏み入れると、性交ならぬ成功をエサとした、無言の客引きにあっているような気分にさせられる。「お兄さん、1500円で成功できますよ!」と、あちこちの本のポップや帯が語りかけてくるわけだ。しかもけっこうな率で、顔写真まで付いている。
そんなお安い成功勧誘にコロリとヤラれてしまう前に、読んでおきたいのが本書である。勝間和代、本田直之といったキラ星スターが続々と生まれたゼロ年代のビジネス書を生暖かく概観し、『思考は現実化する』や『7つの習慣』など自己啓発バイブルにメスを入れる本書前半は、ビジネス書のアンチョコとして有益だ。
しかしなんといっても、必読は第3章「『ビジネス書』というビジネス」。ここで著者は、少なくないビジネス書が著者の宣伝ツールになっていると指摘する。つまり、本の中身よりも自分の売り込みのために本を書く。いわく「ギラついた商売っ気や自己承認欲求からビジネス書の著者を志向する人が少なくないのです」。なるほど、顔写真が多いのもむべなるかな。
そこに群がる「ビジネス書作家ワナビーたち」は、出版エージェント登録やセミナー出席に大枚をはたき、教祖やセンセイの本を買ってはアマゾンや自分のブログで書評を書くんだとか。かくしてビジネス成功本は、劣化再生産を繰り返していくというわけ。
著者はビジネス書全否定ではなく、“ビジネス書に踊らされるのはやめよう”というスタンス。どうせ読むなら、長く読み継がれているロングセラーを読むべきとの提案も同感だ。

  • ビジネス書「もどき」をメッタ斬り

    『ビジネス書大バカ事典』
    勢古浩爾/三五館/1680円

    世にあふれるビジネス書をまとなものと、ビジネス書「もどき」に選別し、後者を厳しく叩くという恐ろしい一冊。錚々たる売れっ子を相手にして、その鼻っ柱をへし折らんばかりのスタンスは圧巻。「成功」や「夢の実現」を派手に煽るベストセラーに振り回されないためにも読んで損はない。今やビジネス書は、このくらいの疑いの目を持って読むべきかも?
  • ビジネス書との良いお付き合いのために

    『「ビジネス書」のトリセツ』
    水野俊哉/徳間書店/1260円

    年間1000冊ものビジネス書を読むという著者が、ビジネス書の買い方から、読書術、活用法、さらにはビジネス書の書き方までを懇切丁寧にレクチャーした1冊。膨大なビジネス書を整理する手腕は、さすがビジネス書研究を看板に掲げるだけのことはある。厳選ビジネス書リストも重宝モノ。ビジネス書が骨の髄まで好き! そんなテンションが読者に伝わってくる。
  • ビジネス書から時代を読む

    『土井英司の「超」ビジネス書講義』
    土井英司/ディスカヴァー・トゥエンティワン/1050円

    カリスマ出版マーケティングコンサルタントが、これまでの膨大な読書量を背景に、ビジネス書のトレンドを分析しながら本質に迫った本。無数の本の背後に広がる時代の流れと変化が透けて見えてくる仕掛けも面白い。目利きによるものだけあって、取り上げる本の分野も歴史やサイエンスなど多岐にわたる。そこから自分にぐっとくる1冊を探してみよう。
ビジネス書の使い道

※フリーマガジンR25 310号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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