オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

お年寄りに聞いてみよう

2012.09.06 THU


『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!』 加納明弘×加納建太/ポット出版/1890円
ガチの活動家が語った
学生運動の本質

異色の親子対談本である。かたや1946年生まれの「肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父」、かたや1974年生まれの「団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子」。対談というよりも、息子による親父インタビューという性格が強く、語られる内容は1960年代に親父が経験した学生運動である。
父である明弘氏は、東大に入学してまもなく左翼組織に参加し、ベトナム戦争反対運動のデモの指揮などで「全部で5回パクられてる」というバリバリの活動家だった。
それだけに話は生々しい。機動隊から催涙ガスを大量に浴びせられたり、組織同士の内ゲバに巻き込まれリンチされたりと、数々の修羅場トークだけでも、時代の違いというものを痛感させられる。
だが、本書の真価は、そうした個人の活動史を語るだけにとどまらず、それらを日本と世界の近代史のなかで解釈し位置づけている点にある。近代史の転換を1789年(フランス革命)、1917年(ロシア革命)、1989年(ベルリンの壁崩壊)という三つの年にみる明弘氏は、これを理性信仰に対する欲望信仰の勝利と診断する。そして自身が活動した「1960年代の後半は、理性信仰の時代から欲望信仰の時代への境目だったんだ」という。
対談が行われた2008年7月。「異議申し立てする奴が日本社会からほとんどいなくなっていった」「異議申し立てをされない権力っていうのは必ず腐敗するんだよ」と語った明弘氏は、2012年の脱原発デモをどのように評するだろうか。

  • カッコイイとは、こういうことか!?

    『悩むヒマありゃ、動きなさいよ!』
    内海桂子/牧野出版/1575円

    かつて内海桂子・好江の漫才コンビで一世を風靡し、今もピン芸人として活躍する著者は、御年90。AKB48を舞台で踊り、20歳以上年下の夫と結婚し、日々ツイッターでつぶやく彼女は今も元気いっぱい。この本では、カネの使い方から年をどう取るかまで、さまざまな人生の心構えがユーモラスに説かれている。芸歴74年の大ベテランによる直言、ありがたく拝聴しよう。
  • 年の差を超えて社会を語る

    『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります僕らの介護不安に答えてください』
    上野千鶴子、古市憲寿/光文社新書/798円

    若き社会学者(20代)が、ジェンダー研究の大御所である東大名誉教授(60代)と語り合う1冊。丁々発止のやりとりから、まさにR25世代が不安を覚えている介護や少子化、世代間格差などの論点が浮かび上がる。忌憚のないやりとりも心地よい。高齢化社会のこの国において、年の差なんて関係なく知恵を出し合う対話こそ、必要なことなのかもしれない。
  • 無数の記憶と思考が袋詰め!

    『思い出袋』
    鶴見俊輔/岩波新書/798円

    1922年生まれの思想家・鶴見俊輔。彼がここで自由闊達に綴る体験と思い出には、実に多くの本質論がふくまれている。戦前のアメリカでの見聞や軍隊での経験、そして戦後の言論人としての歩みと出会った人々の回想…。説教臭い要素は全くないが、筋の通った生き方から学び取れることは多い。自身の生と響き合う思想を紡いできた人の凄みも味わえる。
お年寄りに聞いてみよう

※フリーマガジンR25 314号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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