オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

国債から経済を考える

2012.09.20 THU


『世界国債暴落 世界を蝕む日本化現象』 高田 創、石原哲夫、柴崎 健/東洋経済新報社/1890円
バブル崩壊後、企業の
過剰債務は国債に姿を変える

いまやギリシャのみならず、イタリア、スペインといったヨーロッパの大国までが財政危機に瀕している。財政危機とは、国債の返済が滞り、財政の資金調達ができなくなるような事態のことだ。

ではなぜ、欧州は現在のような財政危機に陥ったのか。本書は国債問題から、その理由を解き明かす本だ。著者たちは、国債を「身代わり地蔵」と表現する。バブルが崩壊すると、企業は過剰債務に陥り、金融機関は不良債権を大量に抱え込んでしまう。そうなると、金融機関の資本が削り取られてしまうが、それではお金が世の中に行き渡らなくなる。そこで政府は国債を発行して、資金を金融機関に注入することで経済を回そうとするわけだ。これは「企業の過剰債務が国にしわ寄せされたことに等しい」。

だから現在、世界中で金融危機のしわ寄せが、各国の国債問題として表れており、「ギリシャ問題は2007年から3年遅れのサブプライム問題として考えることもでき」るという。結局のところ、国家の財政危機とは金融危機の身代わりなのだ。

その意味では、世界各国が直面している状況は、バブル崩壊後すなわち「1990年代以降の日本の環境に類似する」。日本は国債問題では世界のトップランナーなのである。

本書は安易な国債暴落論は退けながらも、今後は国債を通じて日本の国力が問われることになると展望する。なかなか手ごわい本だが、単純な楽観論や悲観論に振り回されないためにも、国債問題から経済を見る目を本書で養いたい。

  • あちらの事情、こちらの事情

    『ユーロ危機と超円高恐慌』
    岩田規久男/日本経済新聞出版社/893円

    書名の通り、前半はギリシャの国債不信が火をつけたユーロ危機の構造と課題を扱い、後半ではデフレと円高で袋小路に入った日本経済を分析して展望を見いだそうとしている。前半と後半の間ではドルの動きもきちんと押さえられ、通読すれば世界経済が眺め回せる内容だ。先行き不透明な情勢の中で、各国の舵取りが問われていることがひしひしと伝わってくる。
  • 日本の再建と債券の話!?

    『債券と国債のしくみがわかる本』
    久保田博幸/技術評論社/1764円

    なじみがない人も多いであろう「債券」。このとっつきにくそうなテーマに対して、本書では証券会社の新人女性と、指導をする課長と主任の会話形式でアプローチする。基本的な金利の考え方に始まり、債券市場がどのようなメカニズムで動いているのかまでもが丁寧に解説されている。債券の構造がわかってくることで国債の役割もきっと見えてくるだろう。
  • 不安を煽って得する連中に、喝!

    『「借金1000兆円」に騙されるな!』
    高橋洋一/小学館/735円

    出川哲朗ばりに日本経済が「ヤバいよ、ヤバいよ~」と騒ぎ立てる論調に対し、著者はクールな反証の刃を向ける。特に我が国の国債が暴落するとの主張については、その裏にある財務省の思惑や日本銀行の事情を暴き出し、徹底的に批判している。不安につけこむ増税ありきの発想を排し、経済のツールとして国債を使うことを示す論旨明快な1冊だ。
国債から経済を考える

※フリーマガジンR25 315号「R25的ブックレビュー」より

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