所得格差の拡大が諸悪の根源?

納税者6割は最低税率。所得税の謎

2012.10.18 THU


個人所得の減少や控除の拡充にともない、所得税収は年々減少。2012年はバブル期のおよそ半分にまで落ち込んでいる
図版作成/藤田としお(財務省資料より)
消費増税ばかりに注目が集まっているが、来年1月1日からは「復興特別所得税」の徴収もスタートする。東日本大震災の復興財源として基準所得税額の2.1%が上乗せされるもので、増税期間は平成49年まで。現役サラリーマンにとっては事実上の恒久増税だ。消費増税と合わせ、さらに負担が増すことになる。

だが一方で、そもそも日本の所得税の水準は主要先進国と比べて負担が軽いともいわれている。財務省主税局の河本光博さんは「日本は所得に応じて5~40%まで6段階に税率が変化する累進課税方式を採用していますが、じつは全納税者中84%の税率が10%以下。同じく累進制のフランスは税率10%以下が40%、アメリカは29%、イギリスにいたっては3%であることを考えると、国際的にみて非常にアンバランスな構成といえます」と語る。政府は昨年末、課税所得5000万円を超える高額所得層の最高税率を現行の40%から45%へ引き上げることを検討していたが、その対象者は納税者全体の0.1%に過ぎず、400億円程度の税収にしかならない。対して最低税率5%(課税所得195万円以下)のみの納税者は6割を超えており、「1%の増税でも6500億円程度の税収が見込める」(財務省)という。

ちなみに6月の国会答弁で安住財務大臣(当時)は「避けては通れない議論」として、この累進制の見直しについて言及。それだけに低所得層の所得税率アップが今後の税制改革の重要なポイントになる可能性は捨てきれない。

とはいえ消費増税で自由に使えるお金は減り、厳しい生活を強いられる低所得者にとっては、これ以上の増税を許容することは難しい。適正な税率構成は常に議論していくべきだろうが、一方で問題なのは課税所得195万円以下が6割を占める実態だろう。この格差が是正されればおのずと、税率構成のバランスも変わってくると思うのだが…。
(榎並紀行)


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