オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

言葉に深入りしてみよう

2012.12.06 THU


『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』 小山鉄郎・著、白川 静・監修/新潮文庫/420円
「なりたち」を知れば
漢字と友だちになれる

故白川静さんは、独創的な漢字研究で知られる、漢字の鉄人のような研究者だ。本書は、著者が白川さんに取材をし、いわば翻訳者となって旨みたっぷりな白川漢字学の収穫をわかりやすく紹介したものだが、読むなり「漢字のなりたち」の面白さを誰かに話したくなってうずうずする。

たとえば「止」は「【足】をめぐる漢字の基本」だという。その古代文字を見ると、なるほど人の足の形がそのまま字形になっていて、「足」は「止」に「□」をくっつけてできあがったらしい。そしてこの「□」はひざの皿の形を表す。で、「歩」「走」「正」「政」「葦」の中にはじつは「止」が隠れている。ほらほら、もう誰かに言いたくなるでしょ?

【人】をめぐる漢字も、目からウロコの連続。「従」と「比」という一見、関係なさそうに見える二つの漢字だが、古代文字ではどちらも人が二人前後に並んで歩いている形で、「二人の人間が左を向いているのが『従(從)』、右を向いているのが『比』」。さらに、二人が背中合わせになった字が「北」。だから背中を向けて逃げることを「敗北」というなんて説明を読むころには、もう漢字のワンダーランドにどっぷりとハマっているに違いない。

古代人も僕らに負けず劣らず、絵文字が好きだったようだ。その遺伝子は顔文字のような形でいまも受け継がれている。

古代文字に付けられている説明イラストもわかりやすくてグッド。本書で漢字の楽しさに目覚めた方は続編の『白川静さんに学ぶ 漢字は怖い』にも手を伸ばしていただきたい。

  • この辞典を見よ!

    『新解さんの謎』
    赤瀬川原平/文春文庫/540円

    肝硬変の項目には「肝臓がかたくなる病気。治りにくい」とあり、おこぜの項目には「ぶかっこうな頭をしているが、うまい」なんて説明がされている辞書──それが三省堂の『新明解国語辞典』だ。この個性的すぎる辞書の横顔について、作家・芸術家の赤瀬川原平が愛を込めて描き出す。日本語のおかしさと深さがじんわりと伝わる内容を、味読されたし。
  • めくるめく振仮名世界へようこそ

    『振仮名の歴史』
    今野真二/集英社新書/735円

    書名はちと堅苦しいけど、読み始めると刺激的。日本語をもりたてる名脇役としての振仮名にスポットライトをあてた1冊だ。太宰治の『人間失格』を皮切りに、サザンオールスターズの歌詞から『平家物語』や『南総里見八犬伝』までを論じていく。先人の工夫を感じるとともに、新聞や漫画を読む時に、どれほど振仮名のお世話になっていたかもよくわかる。
  • コレハヤクニタツ!!

    『そうだったのか! スゴ訳 あたらしいカタカナ語辞典』
    高橋健太郎/高橋書店/945円

    「コンシューマーに対して我が社のコア・コンピタンスを示すために最適なコミュニケーションチャネルを考えよ」──こんな指示が上層部から飛んできても、本書があればノープロブレム。よく目にする横文字が、使用例やイラストとともにユーモアたっぷりに解説されているからだ。読後はリテラシーもぐっと高まって、タスクがはかどることは間違いない!?
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※フリーマガジンR25 320号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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