オトコの好奇心が深まる1冊をご紹介!

図鑑って面白い

2012.12.20 THU


『137億年の物語 宇宙が始まってから今日までの全歴史』 クリストファー・ロイド・著、野中香方子・訳/文藝春秋/3140円
理系と文系の断絶を埋める
画期的な宇宙と人類の歴史書

高校では、宇宙や地球の歴史は理系科目の地学で学び、人類の歴史を文系科目の世界史や日本史で学ぶ。同じ歴史なんだから、一気通貫で学べばいいのに…。

本書は、そんな「文系/理系」の悪しき断絶の溝を埋めてくれる画期的な「読む図鑑」だ。「ほんの一瞬で、宇宙は目に見えないほど小さな点から、(略)すべての星を創るのに必要なものが存在する空間へと拡がったのである」。この137億年前のビッグバンを起点に、銀河、太陽系、地球、生命の誕生、そして21世紀までのホモ・サピエンスの人類史が約500頁にわたって展開していく。

人類史を知るうえでも、理系の知見が大いに役立っていることを本書はよく伝えている。遺伝子の配列違いを読み解くことで、様々な民族の来歴を知ることができる。狩猟生活から農耕牧畜生活へ移行した理由は、気候変動による「ストレス」だという。宇宙史と人類史を接続して読み通すことで、一段も二段も深い歴史観が得られることうけあいだ。

「自分の子どもにこの地球の歴史をどう教えたらいいか」という発想から書かれた本だけあって、高校の歴史教科書よりもずっと読みやすい。図版や写真、地図も豊富に掲載されている。

本書では137億年を24時間で換算していて、第二次大戦後から現在まではわずか0.001秒。資本主義の危機、人口爆発、深刻な環境問題に触れる著者の筆致は、未来に対してどこか悲観的だ。そして日本語版には、この0.001秒の最後に3・11と原発事故の記述が加えられている。

  • 連立方程式、おぼえてる?

    『親子で学ぶ数学図鑑』
    キャロル・ヴォーダマン・著、渡辺滋人・訳/創元社/2940円

    本書は、「算数・数学で苦労している子どもを親が助けるための参考書」というコンセプトで作られたものだ。が、もちろん今も仕事で数字の扱いに苦労する僕らが読んでもきっちり役に立つ。数列、円周角、不等式などの項目の大半が、カラフルな見開きページごとに解説される構成はとても親切。とっくに忘れ去った中学時代の数学と、幸福な再会をするために一読を!
  • おじ賛歌!?

    『おじさん図鑑』
    なかむらるみ/小学館/1050円

    どのページを開いてもおじさんに次ぐおじさん…。たそがれていたり、酔っ払っていたり、ヘアスタイルがおかしかったりと、それはもう様々なおじさんが、コクのあるイラストとともに敷き詰められている。ぽっこり出たおなかやかぶっているキャップなどに向けられる観察眼は、脱帽もの。周囲を見渡してみれば、きっと愛すべき彼らを見つけられるだろう。
  • 元素のワンダーランド

    『よくわかる元素図鑑』
    左巻健男、田中陵二/PHP研究所/2100円

    「万物を織り上げている大元である元素はそれぞれに個性的」と著者らも記す通り、息を呑むほど美しく鮮やかな元素の結晶写真は、姿も中身もキャラ立ちしている。硫黄やウランといった耳にしたことのあるものから、アンチモン、テルビウムなど聞き慣れないものまで、どれもじっくりと愛でてみよう。世界の美しさは、美しい元素によって作り上げられているのだ。
図鑑って面白い

※フリーマガジンR25 321号「R25的ブックレビュー」より

斎藤哲也=文

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