SNS転職の最前線

「超コネ就職」の時代が到来?

2013.05.16 THU


Facebook(以下FB)やTwitterなどのソーシャルメディアを使った就職活動、通称「ソー活」が脚光を浴びている。従来の就職活動が「企業側の募集に対して求職者がエントリーする」一方通行型なのに対し、ソー活では「SNSを通じて企業と求職者が互いにつながる」ことができる双方向型だという。この新しいスタイルは、昨年からじわじわと広がりを見せているようだ。

そんななか、FBと連動した注目のソー活関連サービスが登場した。FB上の人間関係をもとに、企業と求職者をマッチングする「WANTEDLY(ウォンテッド)」だ。求人したい企業は「ウォンテッド」サイト上に募集要項を公開、求職者はFB上でその企業の社員とつながりがあればエントリーできる仕組み。現在は、社員の「友達の友達」までエントリーが可能になっていて、企業側がリーチできる人材の数も拡大している。例えば現在ウォンテッドに登録しているA社には60人の社員から派生した約9000人のコネクションがあるという。

このサービスを立ち上げた仲暁子さんは、こうしたFB上でのつながりをあえて「コネ」と呼び、これからの転職はSNSを使った「超コネ採用」が増えていくと予測する。

「企業が人を採用するとき、履歴書や面接だけでは応募者の本当の顔はなかなかわかりません。でも、自社内に応募者の知人・友人がいれば、その人からの情報を通して応募者の人となりを知ることができます。そうすれば『この人は本当にウチの会社・職場に合うのか?』という、選考では測りがたいけど実は採用において重要なポイントについても、判断の精度を高められます」(仲さん)

つまり、応募先の企業に勤める友人からの“評価”が採用結果に影響することになる。もちろんその評価次第ではコネが逆に求職者の障壁になってしまうケースもありそうだ。コネという言葉のイメージとは裏腹に、じつはかなりシビアな選考方法なのかもしれない。しかし、そうした精査が行われるからこそ「企業と求職者双方にベターなマッチングが可能になる」と仲さんは考える。

「いくら優秀な人でも職場の雰囲気に合わないと、なかなか能力を発揮できないですよね。それは企業と社員、お互いにとって不幸なこと。入社後に気づいて後悔するくらいなら、入社しない方がいいわけです。ウォンテッドの“超コネ採用”なら応募者の素顔に近づける分、そうした不幸なミスマッチを防ぎやすいと思います」

ウォンテッドが最も重視するのは待遇ではなく「楽しく働けるかどうか」。それを判断するにはやはり「どんな人と働くか」がポイントになるという。

「これまでは、企業のホームページなどを見て、社風や資本金といった“外側の情報”を調べることくらいしかできませんでした。しかし、最近は実名SNSが広く浸透し、信頼できる個人情報がネット上に充実しています。これをうまく活用すれば“そこで働く人の素顔”も知ることができると考えたんです」

現在ウォンテッドのサイトにアップされている求人は、プロジェクトや仕事の内容以上に「どんな人と一緒に働くか」にフォーカスしたものがほとんど。そこから求人企業の従業員たちのFBページに飛ぶこともできるため、一緒に働くことになるメンバー全員のプロフィールを確認できる。この仕組みは、企業側と求職者双方にとってメリットが大きいようだ。

「ネームバリューのない会社でも、そこで働いている“人”を通じて魅力を感じてもらうことができますし、求職者にとっても会社の看板にとらわれず魅力的な職場に出会うチャンスが広がります」

ネット上のつながりと聞くと冷たいものを連想しがちだが、実情は血の通った「人」重視のサービスのようだ。SNSを使った“超コネ就職”。転職活動の新たなアプローチとして、覚えておくべきキーワードかもしれない。
(榎並紀行)

※この記事は2012年02月に取材・掲載した記事です

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