日本1周ご当地不思議巡り/第15回

岩手に雑誌が売れる土壌を作った男

2013.08.10 SAT


盛岡市内では地元に根差した雑誌を多く見かけました。岩手県内のスポーツを扱う専門誌までありましたよ!
宮沢賢治や石川啄木、高村光太郎を輩出し、柳田國男が『遠野物語』の取材を行った岩手県は古くから文芸にゆかりのある地。毎年秋に行われる、高校生のための文芸賞「全国高等学校文芸コンクール」では、岩手県の高校生が1999~2011年で最優秀賞を9回受賞するなど、文芸への親しみは今も健在のよう。

そんな岩手県には、実は「日本一雑誌好きな県」という横顔があります。「平成21年地域,品目別1世帯当たり1か月間の支出」(二人以上のうち勤労者世帯)によると、「雑誌・週刊誌代」が544円と全国1位。

詳しく調べてみると、その背景には、とある書店の活躍が関係していそうなことが見えてきました。本好きや書店員なら一度は耳にしたことのある有名書店「さわや書店」です。

さわや書店は県内に10店舗を有する地元の本屋さんですが、1992年から2008年まで在籍した伊藤清彦氏の活躍により、全国に名を馳せる有名書店になりました。伊藤氏が行ったのは、人が雑誌を手にしたくなる売り場づくり。2008年に日本雑誌協会が発行した、『これで雑誌が売れる!!~雑誌売り名人が明かす秘訣と工夫~』の中で伊藤氏はこう述べています。

「お奨めするのは、地元の記事が掲載された雑誌は、その記事を中心にPOPを書くこと。私の店では岩手県の僅かな記事をクローズアップして完売した。また、関連書籍を同所に置く工夫も必要だ」

また、さわや書店では、売れた冊数、残数を毎日記録し、売れる商品を優先的によい場所に置くなど、きめ細かい売り場管理を徹底しています。たとえば、時間帯によって客層が変化するため、商品の陳列の場所をそれに合わせて変えたりもするのです。

実際我々もJR盛岡駅に隣接する、さわや書店フェザン店を訪れましたが、店頭POP「盛岡にはこんなに素敵な雑誌があります。伝えたい、残したい、盛岡の『ふだん』を綴る本」 に目を引かれ、思わず盛岡発の雑誌を手にしていました。

もちろん、同店の活躍だけが岩手県人の「雑誌好き」の理由ではないでしょうが、購買行動を後押しするひとつの要因になっていることは間違いなさそうですね。
(長谷川浩史/梨紗)

※この記事は2012年8月に取材・掲載した記事です

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