法人減税で浮いたカネ、給与には反映されない!?

「社員に還元」は6社に1社だけ

2013.11.07 THU


帝国データバンクの調査によれば、法人税引き下げ分の使い道として最も多いのは「内部留保」。給料アップはあまり期待できないのかも 図版作成/藤田としお (「法人課税の実効税率に対する企業の意識調査」※帝国データバンク調べより)
世界的にも高いといわれる日本の法人税率。重い税負担が利益を圧迫し、国際競争力を失わせているとの声も強い。現在、日本の法人税実効税率は約38%(※復興特別法人税を含む)。対して、中国は25%、韓国24.2%、シンガポール17%と、確かにアジアではダントツだ。では、仮にアジア並みの税率になると、企業の利益はどの程度上がるのか?

「法人税が1%下がると、企業全体の税負担は4000億円軽くなるとされています。たとえば現在、政府が打ち出している設備投資減税に加え、復興特別法人税が1年前倒しで廃止されると、日本全体で約1兆6300億円の増益が見込まれます。日本企業の当期純利益の合計を約30兆円とすると、5%程度の利益が上積みされる計算です」(みずほ総合研究所エコノミストの風間春香氏)

単純に考えれば、法人税がアジア諸国並みの20%台前半になった場合は、約7兆円もの利益が上積みされることになる。

一方で気になるのは、この利益分が従業員の賃金に反映されるのか? という点だが、帝国データバンクの調査(2013年9月)では、法人税減税時の使い道として「社員に還元」と答えた企業はわずか16.1%。また、日本の企業は75%が赤字で、そもそも法人税を納めている企業自体が少ない。大多数の企業は減税のメリットを受けられず、そこで働く人も恩恵にあずかることは難しそうだが…。

「確かに、法人税減税が直接的に賃金に反映される見込みは薄いです。ただ、安倍政権の成長戦略はまず企業を元気にしてから、家計への波及効果を狙うというシナリオ。中長期的に見れば、減税で企業の業績が改善し、日本全体の経済規模が拡大することで、賃金アップにつながっていくと考えられます」

日本と並び法人税が高いアメリカも、減税の改革案を発表した。企業優遇との批判もあるが、果たしてこの問題、あなたはどう思うだろうか?
(前田智行)


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