話せないでは、そろそろ済まない!?

海外展開が加速 英語必須時代の波

2014.01.06 MON

旧年2010年は上海万博にW杯と、世界的イベントが注目を浴びた。経済界でも、世界市場にビジネスを仕掛けていく動きが目立ち、企業においても採用で英語スキルを求める動きが加速した。

今回は、職種ごとに海外・外国語に関する求人にどのような変化が現れたのかを振り返るべく、
リクルートエージェントの転職エージェントに各職種における動向を伺った。

●IT・通信系技術職の場合

大手企業の例をご紹介すると、楽天は、すでに台湾、タイに進出しているほか、中国やインドネシアでもネットショッピングモール構築計画が進行中。昨年6月末には米国の大手ECサイトを買収・子会社化し、北米市場にも進出する予定です。

「モバゲー」をヒットさせたディー・エヌ・エーも「世界を狙う」と表明し、昨年5月、モバゲータウンをベースにしたiPhoneアプリを海外向けにリリースしました。各社の海外事業展開に伴い、海外、外国語に関する求人も目立つようになっています。(池尻マキ)

●メディカル専門職の場合

日本の医療市場は世界2位の規模。日本でシェア獲得を狙う外資系企業の参入は今なお続いており、外資系企業と国内企業の提携も活発に行われています。最近では、イスラエルのジェネリック大手、テバ・ファーマスーティカル・インダストリーズが日本に進出し、興和との合弁会社が営業を開始しました。

ジェネリック世界大手の独サンドもおととし9月、バイオ医薬品の後発薬を日本に投入しています。仏の製薬最大手、サノフィ・アベンティスも昨年5月に日本のジェネリック市場に参入すると発表。日医工との提携交渉を進めているようです。世界との垣根が崩れるなか、医療系の専門職や管理職においては、海外との協業や英語を使用する業務が増えてきました。これまではあまり英語力を必要としなかった企業や職種でも、その必要性が高まってきています。(小笠原 敦)

●販売・サービス職の場合

昨年、ユニクロを運営するファーストリテイリングは、上海に旗艦店、モスクワに1号店をオープンし、台湾、ニューヨークへの出店も準備中。年内に数百人規模のグループ社員を海外に転勤させるとともに、本部社員全員に海外勤務を経験させる方針を表明しています。

家電量販店業界で圧倒的な強さを見せているヤマダ電機も、今期中に中国に出店する計画を発表しました。日系のコンビニとして初めて上海に進出し、300店を展開しているローソンは、内陸部へのさらなる拡大を進めています。

外食においても、中国をはじめとするアジアへの出店を進めている企業は多数。すでに現地で存在感を強めているチェーンも見られます。2010年4月、中国料理協会が選出した「中国ファーストフード企業トップ50」において、第4位に日本のラーメンチェーン「味千ラーメン」が、第6位に「吉野家」がランクイン。

また、ニューヨークで人気のラーメン店「博多一風堂」を展開する力の源カンパニーも、昨年末にシンガポールに進出。2015年までに10ヵ国約30店の出店を計画しています。世界同時不況の中で、新興国の成長力の強さ、有望性を実感したからといえるかもしれません。今後も、海外に目を向ける企業は増えていきそうです。(飯田麻希子)

●コンサル・金融・不動産系専門職の場合

2008年、野村證券が破綻した米リーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門を引き継いだ際「優秀な人材の確保を目的とした買収」と強調し、今年の新卒採用から「グローバル型社員」の適用を新卒採用にも広げ、全体の1割弱の50人程度を採用する方針。対して大和証券グループは、数年前から10人前後の外国人を新入社員としてコンスタントに採用しています。

損保・生保会社でも、アジアやロシアの市場開拓に乗り出しており、現地法人との提携や合弁会社設立の動きが目立ちます。ゼネコン各社も、国内公共工事の減少から、海外進出に力を入れており、中途採用も海外・語学力というキーワードが目立ち始めています。(岩下光星)

●電気・機械系技術職の場合

以前から多くのメーカーが海外、とりわけ新興国に進出を進めてきたのは、人件費の観点から「工場」として魅力があったからといえるでしょう。しかしここにきて、各メーカーは新興国を「成長市場」として捉え始めています。

2010年3月期決算で、自動車大手8社はすべて営業黒字を確保。回復の要因は新興国での好調な販売。各社は今後も新興国市場の拡大を重要戦略と位置づけ、需要にスピーディーに応えるべく、現地での生産・販売・アフターサービス体制を強化しています。

トヨタでは、長春の新工場稼動を2012年前半に予定し、インドでも新工場の建設を進めています。 ホンダも5月、中国での自動車生産台数を2012年後半までに現在の約3割増に引き上げると発表しました。
日産は、戦略小型車「マイクラ」(日本名:マーチ)を3月からタイで生産をスタートさせ、インド、中国、メキシコでも生産の準備が進んでいます。さらに日産は、生産だけにとどまらず日本のメーカーとして初めて北京市内にデザインスタジオを開設し、現地のニーズをふまえたデザイン開発に取り組む方針を掲げています。

電機業界でも、現地の生活様式に応じた製品開発を行うため、海外生産を強化。パナソニックは2013年3月期までの中期経営計画として、連結売上高に占める海外比率を現在の約48%から55%に高めること、将来的には新興国を中心として海外売上高比率を60%以上にする方針を発表しました。事業戦略に基づき、求人についても海外・外国語というキーワードが目立つようになっています。

2010年6月時点で、リクルートエージェントに寄せられている機械・電気計エンジニア求人のうち、5~6件に1件は、何らかの英語力を求める求人。海外とのやりとりは年々増えているため、この割合は今後増えていくことが予想されます。
海外展開している国内メーカーからは、生産技術/品質管理を中心に、設計・開発職などでも英語力を求める求人が出てきています。一方、外資系メーカーは、アプリケーションエンジニア/フィールドエンジニア/サービスエンジニアなどの求人が中心で、いずれも英語力が必要条件。

ただし、英語力が必要といっても、多くの場合、求めるレベルは決して高くありません。「英文マニュアルが読める」「メールのやりとりができる」というレベルで応募可能という求人が多数。その分野での技術力を重視し、英語に関しては「アレルギーがなく、これから学ぶ意欲があれば受け入れる」という傾向が見受けられます。

一方、「英語力は高いが、技術面での経験が浅い」という人の場合、英語力を武器に転職し、そこで先端技術を身に付けることも可能です。(竹内賢一)


●企画・事務職の場合
2010年初旬、内閣府が行った「企業行動に関するアンケート調査」によると、製造業の55.7%が海外展開を拡大・強化すると回答。海外進出の理由については、77%の企業が「現地、近隣国での需要拡大が見込まれるため」と答えています。

海外進出を展開するのは製造業だけではありません。各業界が、「成長市場」としての新興国に魅力を感じ始めています。必然的に、販路拡大の営業要員が求められるようになってきています。

経理の求人で外国語能力が求められる案件は主に2つ。海外子会社の設立、出向案件と海外関連企業との連結決算処理。いずれも、経理経験が重視される傾向にあります。特に、IFRSの経験・知識をお持ちの方は高く評価されます。外国語能力に関しては、「読み書きレベルで可」とする求人が中心で、中には「外国語にアレルギーがなく、これから学ぶ意欲があれば問題なし」としている求人もあります。

海外企業とのM&Aや訴訟案件が増えていることから、法務職も英語力があると転職に有利。
選考では「TOEIC750点以上」が目安とされ、中には「メールのやりとりができる読み書き力があればOK」とする求人もあります。ポジションが上がると、会話力も求められます。

もともと英語力を求める求人が多いマーケティング、経営企画、事業企画。海外市場への進出はもちろん、株主に海外投資家が入ってくるケースも増えていることから、英語力を必須とする求人の割合は今後も高まっていくと考えられます。

また、最近では中国語ができる人を求める求人も少しずつ見られるようになってきました。勤務は国内で、中国語の使用場面は「メール」「電話」「出張」が中心。中国の商習慣や法律の知識、政府関連のネットワークを持つ人はさらに重宝されます。(大山 正)


※この記事は2012年06月に取材・掲載した記事です

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