単なる商習慣? リスクヘッジ?

ビジネス文書にハンコは不要?

2014.02.06 THU


岩沙弁護士によると、法律上、印鑑が必要とされるのは遺言状や会社設立時の定款。これらには捺印がないと無効とされるようです イラスト/牧野良幸
「先方の押印がないので、請求書を手配し直してください」と、経理から“ダメ出し”された経験はありませんか。確かに、経理関係書類や契約書にハンコを押すのは一般常識…のように思えます。でも、最近はメールだけで見積書や請求書のやりとりを終える企業もあります。ということは、請求書は“押印”された書面でなくてもよいということ? 企業法務に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士にうかがいました。

「法律上、請求書の作成に『印鑑』や『文書での通知』が必要といった規定はありません。実は請求書だけではなく、発注書、納品書、領収書、契約書といったビジネス文書全般においても必ずしも印鑑は必要ないんです」

そうなんですか! ではなぜ経理は「ハンコハンコ」とうるさいんでしょうか?

「“商慣習”としか言いようがないですね。請求書に先方の押印を求めるのは、ねつ造による社員の横領を予防するためのリスクヘッジという面もあるかもしれません。ただ、請求行為自体は相手にその意思が伝われば完了するので、メールでも何ら問題はありません」  つまりはリスクヘッジとして、“押印した書類を郵送する”という手続きを習慣化しているわけですね…。しかし領収書や契約書にもハンコがいらないとは驚きです。

「領収書は印紙税法上、3万円を超えるものには収入印紙を貼って割り印を押す必要があります。しかし印鑑がなくても領収書として無効にはなりません。また契約は口約束でも成立するので押印のない契約書も有効です。しかし判例では社判や登録印鑑の印影がある文書の方が証拠能力が高いとされる傾向があるので、トラブルを防ぐために印鑑のある契約書を取り交わすのがベターでしょう」

裁判では、印鑑がある書面のほうが有利とされるんですね。しかし今後は電子印鑑の導入など、手間が少ない“商慣習”が浸透するとよいですね。
(熊山 准)


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