OJTやハウツーだけでは厳しい時代!?

未来の転職“スキルの理論化”が鍵

2014.03.07 FRI

リクルートのワークス研究所『ワーキングパーソン2010』によると、R25世代が転職を躊躇する大きな理由のひとつが「今の仕事の経験、職務経歴は世間一般では通用しにくいと思う」こと。たしかに、会社によって仕事の進め方やルールはそれぞれ。自分の経験がそのまま他社で通用するとは限りません。

では、どうすれば他社でも通用するスキルを身につけられるのか。人的資源管理などを専門とする東京大学大学院情報学環の佐藤博樹教授は、実務経験で得たスキルの“理論化”がポイントだといいます。

「たとえば、実務経験を積みながら知識やスキルを身につける仕組みとしてOJT(On-the-Job Training)がありますよね。OJTで獲得したスキルは、多くの場合、『同じ会社で同じ仕事』を続けて行く上で役に立つものです。これを企業特殊的熟練と言います。しかし、転職した時にポイントとなるのは、それまでの仕事で獲得してきたスキルを新しい仕事に応用できるかどうかです。そのためにもOJTで得た企業特殊的なスキルを理論的に整理し、幅広い状況に対応できるように“一般化”していくことが大切です」(佐藤教授)

つまり、日々の業務で学んだことを、より汎用性の高いスキルにバージョンアップするってことですね。でも、それってどうすれば?

「キャリアの節目節目にそれまでに獲得したスキルを棚卸しして、理論的に整理する学習の機会を持つことですね。自分で勉強会などを組織してもいいし、働きながら大学院に通ってMBAを取るのもいいと思います。ただ、その際に大切なのはハウツーよりも、きちんとした理論を学ぶことです」(同)

ハウツーではなく理論とは?

「たとえば人事職の場合、『パートタイマーの活用法』などのハウツーは、時代や状況が変われば役に立たなくなります。一方で、人事の仕組みそのものや労働法などを勉強しておけば、すぐには役立たないかもしれませんが、自身のスキルや世の中の仕組みを理解するための知識や考え方が身につくはずです」(同)

なるほど。さらに“スキルの理論化”による応用力アップが役立つのは、転職だけに限った話ではないという。

「今後は、市場環境の変化に適応するために事業内容や技術構造を変えていく企業がますます増えるでしょう、つまり、たとえひとつの企業に勤め続けられたとしても、それまでに蓄積した職業能力をそのまま生かせる可能性は低くなってくる。自分の経験を異なる分野に生かしていくためにも、やはりスキルの“理論化”が必要です」(同)

日々の仕事に追われていると、ついつい即効性のある「ハウツー」ばかりに飛びついてしまいがち。でも、たまには自分のキャリアを客観的に俯瞰してみる機会を持つべきなんですね。
(吉原徹/サグレス)

※この記事は2011年05月に取材・掲載した記事です

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