肥料からサプリメント、将来的には医薬品まで…!?

アメリカでミミズビジネスブーム?

2014.03.22 SAT


1970年代に「ミミズコンポスト」は日本にも輸入され、主に環境教育の場で活用されてきた。昨今は、ロハスブームも手伝い、個人で家庭菜園用に購入する人も増えているという 画像提供/光和商事
近年、アメリカで「ミミズビジネス」なるものが拡大、進化しているらしい。耳慣れない言葉だが、昨年末には「ニューヨークタイムズ」をはじめ、様々なメディアが実例を紹介。最近では、ミミズビジネスへの投資信託まで出てきているという。アメリカのベンチャービジネスに詳しい米バリッド・テクノロジー・グループの黒木嗣也氏によると…。

「ここでいうミミズビジネスとは、家畜のフンなど農業廃棄物をミミズに食べさせて分解したものを再利用し、化学肥料に比べて無害で良好な堆肥を作って販売するものです」

背景にあるのは、オーガニックブーム。だが、そもそもアメリカでは30年ほど前から、ミミズに生ゴミなどを食べさせて肥料を作る家庭用容器「ミミズコンポスト」が注目されていた。

さらに、「ミミズビジネス」は健康の分野にも進出しつつある。

「最近は、ミミズを粉末状にして、サプリメントへの活用事例が増えると同時に、医薬品としての認可を目指した臨床実験も盛んに行われています。たとえば2012年12月には、アメリカの大学がミミズから抽出されるタンパク質を使って、狂牛病などを引き起こす感染因子プリオン・タンパク質を抑制する方法の特許を取っています」

実は上記の方法で引用されている特許の1つは、宮崎大学の元副学部長と宮崎県の「輝龍」という企業による共同研究によるものだ。

輝龍は1990年代にミミズから抽出した「ルンブロキナーゼ」という酵素が血栓を溶かすことを発見し、日本、アメリカ、オーストラリアなど各国で特許を取得。この研究結果は、UCLA(カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校)で、がん治療に生かす研究にも発展しているという。

ただし、日本ではミミズビジネスは定着していないのが実情。日本でミミズ養殖規模ナンバーワンを誇る豊徳の笠松則和社長は「現時点では、メイン事業にするには難しいレベル」と語る。

「弊社では、地元徳島県小松島市の名産シイタケの廃菌床を使い、化学資材フリーで良好なミミズ肥料を生産しています。ここ数年で有機農家を中心に販売量が増え続けていますが、日本では有機農法への取り組みが世界より遅れているのに加え、有機農産物の販路が狭いのもあって、市場は小さい。また、ミミズ肥料の価格が化学肥料などより高いのも、拡大しにくい理由の1つでしょう。ただ、市況を見ていると、安心安全ブームの影響もあり、今後は広がっていくと予想されます」

小さな体に大きな可能性を秘めたミミズたち。しかし、日本で活躍の場が広がるには、もう少しだけ時間がかかりそうだ。
(有馬ゆえ+ノオト)

※この記事は2013年3月に取材・掲載した記事です

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